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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第九十一話『鬼火と呼ばれた男。』

本日投稿分の、

2話目になります!!



「ハァァァァァァァァァッッッッ!!!!」


獅子の如く咆哮し、スキルで強化されたシャオの一撃が、

地面を砕き、発生した衝撃波で、

半径数メートルに及びそうなクレーターを造り出した。


なんちう(なんていう)女じゃ。

あげ(あんなに)華奢な腕をしとるのに。

……乳もデカい。

一発でも、まともに(もろ)うたらマズいの」


そう言いながらも、

鬼神の様なシャオの凄まじい気迫に、臆する事無く、

先程からロウウェンは攻撃を躱し続けていた。


───『蒼焔の蓮華(ブラインド)


ロウウェンが放つ蒼白い波状の火炎が、

シャオを飲み込むように襲いかかろうとし、

火炎が触れそうになるのを、

地中が盛り上がって出現した土壁が防いだ。


直ぐに亀裂が入り、

土壁がボロボロと崩れ去ろうとする前に、

シャオは火炎の届く範囲から素早く離れた。


火炎は尚も、シャオに絡み付こうと追撃してきたが、

シャオの周囲には結界魔法による防壁が張られ、

火炎はそれに弾かれた。


「ユンタさん、メイさん、ありがとうございます!」


「てか、マジやべーし! 

あたしの魔法じゃ防ぎきれねーし!

知らんけど!」


「凄まじいですね、鬼火のロウウェン」


てんめーーー(ロウウェン)!!

女子相手に本気出してんじゃねーよ!!」


「ワシに言われてものう。

ガコゼは未だ見つけられんのか?」


「魔力をかなり抑えてぇ、逃げてるみたいぃ。

それにぃ、ロウウェンのせいでぇ、

感知に集中出来ないぃ。

もうちょっと攻撃抑えれないのぉ?」


「やれんの。お前ら(感知役)を狙う様に、

命令されとるからの。

(はよ)うせんと、逃げられるけの」


「そー言うなら、もーーちょっと協力しろよ!!」


「殭尸じゃけ、仕方なかろう?

いらん(余計)な事は言われん様にしとりやがるの。

ワシに仕込んどる魔力を辿れんのか?」


「……ソレを今やってるんだけど。

うるさいから黙ってて……」


そげ(そう)か。そりゃ悪かったのう。

ほいでも(それでも)、急がにゃ厄介なんが出るぞ」


そう言いながら、ロウウェンの身体は、

陽炎の様に揺らいで歪んだ後、

その身は誰の視界からも映らなくなり、

ソッと姿を消していった。


「また消えるヤツかよーー! お前ソレやめろよーー!」


「また魔力消した……。

さっきの雑魚殭尸を吹き飛ばした攻撃の予備動作……」


「“悪いのう。巧いこと躱してくれの”」


「バカーーん! ざけんな!!」


そして、また周囲を牢獄の様に火炎が取り囲み、

誰一人逃さない勢いを持って激しい音を立てた。



───『ラクーンロードチャガマーーーーーッッ!!』


チャガマの防御結界が、火炎と一向の間に割り込む様にした張られ、炎は散り散りに弾け飛ばされていった。


「チャガマが()ったら、こんくらいの火力じゃ、どうにもならんのう」


ロウウェンはそう言って再び姿を表した。


ロウウェンの身体が、陽炎の様な状態から、

実体を持ったものに戻った瞬間、

疾風の様な迅さで、

ヤエファがロウウェンの頭を蹴り飛ばし、

続けざまに、

トナカイの巨大な蹄が、

ロウウェンの頭上に振り落とされ、

大地から激しい土煙が上がった。


「無駄口が多いな、ロウウェン。

昔も言ったが、俺は時間を無駄にするのが嫌いだ」


そう言ったトナカイの顔面を、

激しく舞い上がる砂塵の中から飛び出して来た、

ロウウェンが勢いをつけて、殴り飛ばした。


「やれんの。死体なんじゃけ、

もうちょっとは脆くならんもんかの」


舌打ちをした瞬間、

ヤエファはロウウェンの放った炎により(くる)まれ、

火だるまとなった。


「せっかちじゃのう。

もう死んどるんじゃ。無駄も何も無いと思うがのう」


「トナちゃーーーん!!?」


「♪遥か遠い昔の出来事 傷つき疲れた一人の騎士が 辿り着いたは妖精の都 美しい花の様な妖精たちに囲まれ 騎士は深い愛と癒しを得たのだとさ」


───『蜜とミルクの花唄(フェアリーケアル)


トナカイがその巨体を地面に突っ伏そうとした瞬間、

ロロの呪歌(バードソング)が、

優しい歌声と共に響き渡り、

仲間達の傷を癒していった。


「グラスランナーの姉ちゃんも、

先刻(さっき)から中々やるのう。

片っ端から回復してくけ、削ってもキリが無いのう」


「ゼェ……。ゼェ……。

ぞりゃどうもッズ(そりゃどうもッス)……」


「二重に歌が聴こえる時があるけ、

相当無茶な事をしよるのう。

背は()まいのに、大したもんじゃ。

おまけに、

別嬪じゃし、乳もデカい」


「イケメンに褒められちゃったッスねー……!」


ほじゃけど(だけど)

(なご)うは保たんのう」


ロウウェンの言う通り、

ロロは『二枚舌(スキル)』での、

呪歌を立て続けに歌っていた。


激しく咳き込んでしまいそうになるのを、

堪えながら、ロロは再びリュートを爪弾き始めた。


「やれんのう。乳に負けず劣らず、

根性も凄まじいのう」


ロウウェンは再び、炎を造り出し、

その身を業火に包む様にして、

ロロに狙いを定めて構えを取った。


───『消し飛べ(ジャオシー)!』


スイの声が鋭く発せられた。


───パァァァァァァンッッ!!!


ロウウェンの上半身が、

音を立てて、散り散りに消し飛んだ様に見えたが、

誰一人として、戦闘態勢を解く事は無かった。


消し飛んだロウウェンの身体は火の粉になり、

吸い寄せられる様に、元の形へと戻っていき、

そこには、

先程と何も変わらない様子のロウウェンがいたのだ。


「誰も皆、別嬪で粒揃いじゃが、

一番やれん(やばい)のは、

お嬢ちゃんじゃのう」


「……」


先程から数回放たれた、

スイの精霊魔法への対処を、

ロウウェンは、戦闘により染み着いた習慣で、

どうしたものかと、考え続けていた。


(さっきから詠唱をしよらん。

吹き飛ばしたり、切り刻んだり、

それ自体は特別珍しいもんじゃないがの。

防御がいっそも(全然)出来ん。

初めて見る術式じゃ。

何者じゃ、この娘)


◆◆

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