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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第八十七話『ガコゼは独り言が多い。』

本日投稿の、

2話目になります!!



女狐(ヤエファ)は自分を殺す事を諦めていない。


ガコゼはそう思うと、

逃げても、追いつかれ、

自分の行動を推測され、足跡を辿られ、

執拗につけ狙われる感覚に、気分を悪くしそうだった。


「しつこ過ぎるやろ。どう考えても」


ガコゼはそう言って、舌打ちをした。


(偶然か、なんかよう知らんけども、

わざわざワイ()を追っかけて此処(イファル)に来たんか?

なんでやねん。

頭沸いとるんと違うか。

アイツ(ヤエファ)兄貴(ロウウェン)も、

イカれとったけども、

妹も(おん)なじやで。

兄妹揃ってクレイジーが過ぎるわホンマ)


遺体を手に入れる為に、

金で買収していた葬儀屋から連絡が入り、

共謀して空の棺を埋葬していた事を、

亜人の女達が探っているのを知った。


(もうイファルには()られへん。

ネイジンまで帰らな、

何処までも追っかけて来よるからな)


ヤエファは一人では無いらしい。

自分(ガコゼ)は、亜人に忌み嫌われているので、

仲間を集めるのは、さぞかし楽だっただろう。


指切り姫なんぞと呼ばれていた時には、

独りぼっちだった癖に。


(あの脳筋女、

なんぼかは、頭を使う様になったらしいわ。

そやけど、本質的なもんは変わっとらん筈や。

絶対、楽には殺してくれへんで)


ガコゼは、そう考えると、

無い筈の指が痛む様な気がしていた。


左手の五指は、ヤエファに全て切り落とされたのに。


痛みを忌々しく思いながら、

ヤエファの狂暴な性格を知る自分が、

彼女の事を確かに恐れているのだと認識していた。


(きっしょ(気持ち悪い)

未だに夢に(うな)されてんねん。

とんだトラウマ植え付けよってからに)


そして、目の前に並べられた遺体を見て、

どうしたものかと思案を続けた。


(全部で七体。

運ぶにはしんどいし、

捨てるには惜しいわ)


悩んでいられる時間は決して長く無い。


(クソや。

一体なんぼしたと思うてんねん)


思えば、昔から自分は損をしてばかりだ。


(餓鬼の頃から、ずっとそうや。

ワイの好きなもん、やりたい事を、

周りの奴らは、いっつも否定しよった。

ワイの能力だってそうや。

皆いつかは死ぬんや。

死体や言うて気味悪がりよってからに。

せやけど、

ロウウェンだけは、面白がって重宝してくれたけどな。

死んでもうたけど。

アホや。

アホやアホやアホや。

生き方がアホ過ぎんねん。

もっと、上手にやらんかいな。

せやから、足元(すく)われんねん。

人間なんか、争う相手やない。

上手い事丸め込んで、

おいしいとこだけ貰っとけばええねん)


イファルの(ルーファン)を離れてから、

自分が今、

操っている殭尸(キョンシー)との接続を切るつもりだった。


脱け殻を見つからない様な場所に捨てたかったし、

接続を切った瞬間に、魔法の効果領域を特定され易い。

自分の姿が相手に(さら)されてしまえば、

それは殆ど、ガコゼにとっての死を意味していた。


(相手(ヤエファ)の連れてる人数もわからへん。

ワイの能力を知っとるなら、探知役が居るやろうし、

追跡してくるんも、ヤエファ一人じゃあらへん。

亜人じゃ無い奴らも居るみたいやし、

急に国王から呼び出しも有った。

けったいなタイミングや。

イファル側にも追われとるんか。

あかんわ。

滅入ってくるわ。

コレ、詰んだんちゃう?)


ガコゼは焦っていた。


(教会に泣きついたら、まだ助かるやろか?

葬儀屋が全部ゲロってたら、あかんかも知らんな。

ネイジンに戻ったら、上手い事立ち回らなあかん。

教会にとって、

ワイの使鬼尸(ネクロマンサー)は、

まだ利用価値がある筈や。

ゴミ同然の死体から兵隊が造れるんや。

利用され尽くされるまでは、生きれる筈や)


大勢の人々に紛れ込み、

何とか城門まで辿り着こうと、

目立たずに行動を続けた。


殭尸に感覚は無いが、

周りに大勢の人の存在から来る鬱陶しさは、

焦っているガコゼの神経を逆撫でさせ、

苛立たしい気持ちにさせた。

それでも、

どうにかして耐えなければならない。


(あないに、上質の遺体を捨てたんや。

自棄を起こして、ええかげんな事してもうたら、

水の泡やないか)


ガコゼは、自分にそう言い聞かせた。


遠目に見えていた、北の城門が段々と近づいてきて、

ガコゼは本当に少しだけ安堵し、

生きた心地がしない、この(ルーファン)には、

二度と来るものかと心に誓った。


(生きた心地て。

殭尸やから、もう死んどんねん)


衛兵の姿が見えたので、

通行証を出そうと上衣を探ろうとした時、

ガコゼは呼吸が止まりそうになる程に、

身体中が張り詰めて、強張(こわば)り、

誰かの視線が自分のすぐ(かたわ)らから、

自分を逃がさない様に捉えている事に気づいた。


(見つかってもうた)


探知魔法に、自分の居場所を完全に特定されてしまった。

もう足だけで逃げ切るのは不可能だ。


ガコゼは、指切り姫(ヤエファ)が自分を追跡して、

追って来る事を想像すると、

胃の中のものを全て吐き出してしまいそうになり、

自分を追い詰めてくる存在の全てを、

呪ってしまいたかった。


(せやけど) 


ガコゼには切り札があった。 


(ヤエファが相手なら、

まだワイは巧く立ち回れるんや。

あのブラコンにゃ、兄貴の姿をしたもんを、

どうする事も出来へんやろ。

出番やで。

『鬼火のロウウェン』

未だ、お前を、この世からは消させへん。

昔の(よしみ)やないか。

ワイを生かしてくれや)


◆◆

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