第八十五話『リクのスキル。』
本日最終投稿です!
ブックマークしてくれた方、
ありがとうございます!!
今日、親知らず抜いて痛かったんで元気無かったんですけどめっちゃ元気出ました!!
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「し……、しごくって……」
「アホ。
ようこの状況で助平な事を考えたの。
異世界の男はどうなっとるんじゃ?」
違うとは解っていながらも、
顔がニヤけてしまうリクに、ヤエファがそう言った。
「か……、考えてないけどね!?
……要するに修行するって事か?」
「そうじゃ。
考えてもみんさい。
リクちゃん以外は女の子じゃろ?
リクちゃん一人だけ、何もせんと云うのは、
如何なもんかと、わっちは思うがの?」
「……ぐッ」
「確かに」
「スイちゃんも、そう思うじゃろ?」
「うん。それに、良い機会だよ。
君のスキルは対人でしか、
効果を発揮出来ないでしょ?
無機物にスキルが有れば別だけど。
ヤエファが練習相手になってくれるなんて、
良かったじゃないか?」
「ほれ見てみ。
スイちゃんも言うとるじゃろ」
「やらないとは言ってないからな!?」
「よし。
そんなら一丁、やってみるかの。
試しにスキルをわっちに向けて発動してみんさい」
「お……、おう!」
リクは深く息を吸い、呼吸を整えた。
魔力が殆ど無い為、
その代替として、
身体中のエネルギーを根削ぎ消費して、
自分のスキルはようやく発動出来る。
未だ、数える程しか使用していないが、
スキルを発動した時の独特な感覚は、
既に自分の身に染み着いた様に、
忘れ難いものであると、
リクは思っていた。
──『所持スキル、
技能賃貸を使用しますか?』
リクは構えた手が段々と熱を帯び、
発光する瞬間を狙って、
頭の中で聴こえる声に命じた。
(発動せよ!! 技能賃貸!!!)
◆◆
「そげ落ち込まんでも。
練習なんじゃけ、失敗なんかしても誰も嗤わんけ」
「そうですよ。未だ、
リクさんも上手に扱える感覚が無いんですもんね?」
「森で戦った時にはバッチリだったじゃないッスか?
あの時はかっこよかったッスよー」
「にゃはは。だっさーーー笑」
「ユンタ。笑ったら悪いよ」
リクは激しく落ち込んでいた。
何となくだが、スイ達と一緒に居て、
自分も強くなったと勘違いしてしまったのだろうかと、
根拠の無かった自信は脆くも崩れ去り、
仲間に励まされながら、
浅はかさを嘆いた。
「いつまで落ち込んどるんかの?
ほれ。次撃ってみ」
「ヤエファ……、俺一発しか撃てない……」
「問題の一個目じゃの。
弾数の少なさじゃ。
無理してでも撃ってみ。
死ぬ前にゃ止めちゃるけ」
「鬼……」
「能力の基礎を底上げすると云うのは、
こういう作業が重要じゃ。
ウダウダ言っとらんで、撃て。
わっちにゃ、まだ限界な様には見えんけ」
「やれば良いんでしょ!?」
「あ、逆ギレしたーー」
「ヤエファも物好きだヨ。
アイツ、魔力なんか殆ど底辺値だし、
鍛えたところで、どうにかなんのかヨ?」
「今回は役には立たねーし。 知らんけど」
「ヤエファはぁ、若い子が好きだからかなぁ」
◆◆◆
「ほれ。
二発目が撃てたじゃろ?」
「ゼーーーッ……!! ゼーーーッ……!
あの……、すみません……、死にそうなんですけど……」
「魔力が少ないけ、
他のエネルギーで代用しとるじゃろ。
スキルが発動する時に、
意識的にエネルギーの流れを操作する様にしてみ」
「ゼーーーッ……! わかんないんですけど……」
「全力で一発を撃つ必要は無いんじゃ。
手を抜いて試しに一発撃ってみ」
「ゼーーーッ……! (死ぬ……)」
「なかなかスパルタだね」
「まーー、あんくらいしないと駄目だったんだろなー」
「わたし達は少しリクを甘やかしてたのかもね」
「鬼だねーー笑
まーー、でも意外と根性あるなーー?」
「そうだね。やはり彼は、
なんだかんだ云っても異世界から来たんだし、
コトハさんや、ミナトとは違うけど、
彼もやっぱり、
この世界に何か必要とされてるんじゃないかな」
「にゃはは。期待しとこーーぜ?」
「よし。三発目じゃ。
どうかの?
制御しながら撃てそうじゃの」
「ヒーーーッ……! ヒーーーッ!!」
「ふふ。
良え面になってきたの。男前じゃの?
ほいじゃ、
次の問題に取り掛かるけ」
「ヒーーーッ……! ヒーーーッ!!」
「二個目の問題は、
命中率の悪さじゃ。
さっきから、わっちに一発も効いとらん」
(わかってた……。わかってたよ……!!
俺のスキル……、マジなんなん……!?
こんなにしんどいのに……、マジ意味ねー……!!)
リクは朦朧とする意識の中で、
自問自答を繰り返していた。
もう、身体の何処にも、
何一つ残って無い搾りかす滓になってしまった気分で。
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