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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第八十話『作戦会議の様なもの。』

本日投稿分の、

2話目になります!



「スイ。

コトハなら、

やりそうな事って、一体何?」


ユンタは今までに無く、

真面目な様子でスイにそう尋ねた。

スイの大きな瞳を、

とても真っ直ぐに見つめながら。


「ユンタなら、()ぐに解るんじゃないかな?

コトハさんは、色々な事に不真面目で自堕落だし、

飽きっぽくて、他人の気持ちが理解出来ない、

どうしようも無いところも有ったけど」


「悪口?笑」


「でも、大切なものを見捨てる事はしなかった。

現に、わたしはコトハさんに守ってもらった」


「いや……、それは知ってんだけどさ……」


「ユンタ。君もわたしを守ってくれた」


「うん……、スイ、だけどさ……」


「わたしはコトハさんの模倣をするよ。

ガコゼは、とても卑怯な男なんでしょ?

そんな奴を相手に、

真っ向に戦う必要なんて無いと、わたしは思う。

コトハさんは、きっとそうする。

それに、ヤエファと友達なら、きっと見捨てない。

ユンタの事も絶対に」


ユンタは、それ以上に、

今は言葉が思いつかず、口をつぐんだ。


「真っ向に戦わない……、

例えばどうやってですか?」


「シャオはどう思う?

例えば、ガコゼを捕らえる為の罠なんだけど、

罠を張ってガコゼを待つよりも、

()()()()()()()()()()()()()()()()

言い逃れ出来ない状況を作ってやるのさ。

それには、イファル王の協力も不可欠だよ」


「スイ……。ごめんなさい、

私には少し理解が……難しいですね……」


「その辺りは、ガコゼの習性をよく知る、

ヤエファが居るからね。

欲深いガコゼが執着するものが、

あるとすれば一体何だろう?」


「権力じゃの。

それと、奴の能力の特性上、

死体や彷徨っとる霊魂を常に探しとる。

それも生前に強かった者をの。

ガコゼ自身は大して強く無いからの、

死体や霊魂を操る能力で、自分の身を守る手駒を、

常備(ストック)しとるんじゃろ」


「悪趣味だね」


「墓を漁りに来るかと思うて、

わっちも墓地を中心に張っとっんじゃ。

未だ姿を見せよらんがの」


「すごく罰当たりな表現だけど、

イファルは軍事大国だから、

強い戦士や魔法使いの亡骸(なきがら)が、

たくさん有るね。

ガコゼからすれば、喉から手が出る程、

欲しいかも知れない」


「どうかの?

クアイちゃん、幾ら他国の客人と云うても、

英霊達の墓所を勝手に掘り返すのは、

行儀が悪くないかの?」


「国民で有れば、盗掘の罪に相当しますね……。

それに、不法侵入や不敬罪も合わさるとは思いますが」


「まだ、ネタ(決め手)が弱いかの?」


「国王がどう判断するかにも()りますが……、

往々にして、ネイジン側は、

(いささ)か強気に出てきますから」


「わたしはイファル王を信じるよ」


「スイちゃん……、

僕も信じてない訳じゃ無いんだけどね……」


「そもそもさ、ガコゼは、

どんな用向きでイファルに来てるの?」


「イファルにも聖域教会の教会があるからね、

彼は表向き、聖職者と云う事になっているから、

視察とかじゃないのかな」


()()()()()()()って?」


「教会の事は、祭祀部の管轄だからね。

軍部としては来客の警護を頼まれているだけなんだ」


「ガコゼはどんな男なの?

外見とか」


「うーん……、

何だかペラペラと喋り過ぎてしまっている様な……。

ね?カヤ?」


「いいえ。クアイ。

何だか貴方、往生際がとっても悪いわ!」


「え!? ……参ったな……。

ガコゼ氏はね、

お世辞にも気持ちの良い人物では無かったね」


「クアイちゃん、

吊り目の、顔色の悪い亜人じゃったかの?」


「え? いえ……、吊り目では無かった様な……、

それに、どちらかと云えば、

恰幅(かっぷく)が良くて、

顔色も良かった気がしますね」


「ふむ」


「それにしても、聖域教会って、

あちこちにあるッスよねー?

自分が前居た村にも教会があったッスよね」


「世界に在る宗教で、

信者数の一番多い宗教ですからね」


クアイはロロにそう答えた。


「でも、ウクルクこ国教は違ったッスよね?

確か水の神様だった様な」


「イファルにも、建国の神話に在る、

白い巨鳥と、巨鳥を、

この地に導いた神の遣いを信仰する国教が在ります。

聖域教会は、まだ新しい宗教だけど

だけどネイジンはその新しい、

自分の国で始まった信仰を、

他の国にも根付かせ様としている、

だから分派した、教会の支部を色々な国に、

あちこち建立しているんです」


「皆で女神様を崇めようって事なんスかね?」


「そうすれば、

再び女神が降臨すると考えているのかも知れないですね」


「ま。

女神の痕跡の保有率が、世界一多い国じゃ。

そげ(そんな)事を考えとっても不思議じゃないの。

過去の記録では、自分達の味方につかなかった女神を、

今度は巧く扱いたいのかも知れんの」


「ソーサリースフィアもそうだったよね?」


スイがハツにそう聞いた。


「……うん。

でも、

ソーサリースフィアは、女神自体じゃなくて、

女神の魔法技術の再現に拘ってる……」


「魔物を造り出した装置とか?」


「……まあ、そんなとこ……」


「皆、考える事がとても物騒だね」


「……でも、貴女達もそうでしょ?

痕跡を集めて回ってる……」


「そうだね。どんな大義名分を掲げても、

本質的には一緒だ」


「……」


「ところでの、わっちは引っ掛る事が出来たんじゃが、

ええかの?」


「どうしたの?」


「ガコゼの事じゃが、わっちの知るガコゼと、

クアイちゃんの見たガコゼ、

余りに見た目が違い過ぎての。

あの外道の考えそうな事じゃが、

ここ(イファル)に居るガコゼは、

替え玉かも知れんの」


「どういう事?」


「死体を操って、姿を偽っとるのかも知れん」


◆◆

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