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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第七十九話『もう一人の義妹。』

本日投稿分の、

1話目になります!



「本当に? 

そんな人が居るなら、とても助かるよ」


「わっちも、感知をどうするかと思っていたからの。

最初からソイツを頼りにしとったんじゃ」


「でも、他の(義妹)でも無いんだよね?

此処には来てないのかな?」


「恥ずかしがり屋での。

声は掛けたんじゃが、行かんと言うての。

でも、わっちらの様子は何処かで見とる筈じゃ。

おーい、ハツ。

見とるんじゃろ?出てきんさい(来なさい)


「……」


既に夜も更けて、辺りは暗闇になっていたので、

誰も気づけなかったのだろうか。


背の高い、

前髪で視界を覆う様にして

眼を隠した女が、

何処からとも無く、ソッと姿を現した。


「蟲女来てたのかヨ!」


「相変わらず存在感薄いし! 知らんけど!」


「ハツちゃーーん♪ お疲れ様ですー」


「出てくるまでぇ、わかんなかったぁ、

いつも思うけどぉ、どうやってるのぉ?」


ヤエファの義妹達が次々に、

ハツと呼ばれた女に声を掛け、

居心地悪そうにしながら、

女はヤエファに言った。


「……ヤエファ。

私、こういう場所が、とても苦手なんだけど……」


「知っとる。

ほじゃけど(だけど)

あげ(あんなに)近くに居ったんなら、

一緒に来れば良かったと思うがの」


「……だって恥ずかしいから。

知らない人ばっかりだし……」


「照れ屋じゃの」


「ヤエファ。

その娘が、ヤエファの頼りにしてる人?」


「そうじゃ。

ハツと云うての、人間じゃが、

わっちの義妹じゃ。

イファルに着いてから直ぐに、

監視されとったのに気づいたんで、

取っ捕まえてみたのが、この娘だった訳じゃ」


「監視?ヤエファ達を?」


「元々は、この都に潜り込んどったらしくての。

都に来た、わっちらに警戒して監視をしとったらしい」


「もしかして、

ハツは具現派魔術師(ソーサリースフィア)なのかな?」


「……え?

何で知ってるの……?」


「此処に来る前に、

君の仲間と出会(でくわ)したから。

各国に、

諜報員を送り込んでいると云うのは本当だったんだ」


「スイちゃん!?

ウクルクから伝達が来ていた、

怪しい組織って云うのが、まさかソレかい!?」


「クアイおじさん、そうだよ」


「参ったな……、どうやって国王に報告するかな……」


「ハツ、わたし達が会ったのは、

イェンと云う男だったよ。

知ってる?」


「……変なマスクを着けてる人」


「その通り。

やはり、彼は組織内でも浮いてるんだ」 


「……面識は無いよ。向こうが私の事を知らないと思う」


「そうなんだ」


「……私は貴女の事を知ってるよ。

ウクルクに強い精霊術師が居るって聞いた……。

まさか、こんな子供だとは思って無かったけど……」


「わたしは十九だよ? もう子供じゃない」


「……歳上だったんだね」


突然現れた、ハツとスイの会話に、

誰もが呆気にとられていた。


「どうかの? この娘は見ての通り、

恥ずかしがり屋じゃけ、

少々コミュニケーションには問題が有るが、

魔力の量は、凄まじいものがあるからの」


「……ヤエファ。

その言い方だと、私が誤解されちゃう……。

私は戦闘要員じゃないから……」


「誤解されても別に()かろ?

事実と違うんじゃけ」 


「……そういう問題じゃ無く」


「スイちゃん、

ハツがガコゼを見つける事が出来たら、

さっきの話、本当にやってくれるかの?」


「……もう何日か探してるけど、見つから無いじゃない……」


こげ(こんなに)広い都じゃ。

それにガコゼが此処に()るんは、

もう確定しとるけ」


ヤエファはニンマリと笑って、

クアイの方を見た。

そのヤエファを見て、

クアイは困った様子で、

苦笑いを浮かべていた。


「やろう。

わたしも、ガコゼと云う男が何だか許せなくなってきた」


「スイ!? 落ち着いて下さい!」


「そうだぞ!? 何か危険な香りしかしないんだが!?」


「わたしは自棄になって、言ってるんじゃないよ。

それに、わたしも無策じゃない」


「どんな策があるんでしょうか?」


シャオが不安そうに尋ねた。


「クアイおじさん、イファル王に会いたいんだけど、

おじさんと一緒に会いに行けるかな?」


「国王にかい?それは勿論出来るけど、

会ってどうするんだい?」


「イファル王にも、

ガコゼを捕まえる協力をしてもらう」


皆が驚く中、

スイは堂々とそう言った。


ユンタは何か言いたそうにし、

スイを心配そうに見ている。


スイはユンタに笑いかけ、

こう言った。


「コトハさんなら、きっと、

こうするだろうなって事を思いついたんだ」


先程の、

悲しみで自棄になっていたスイとは違うのはわかる。

いつも通りの様子で、

振る舞う彼女の、

気持ちを汲んでやれたら良いのだが、

と、ユンタは思っていた。

どうしても、

スイをまだ幼い頃の様に、

扱ってしまう。


──この娘が危険な目に遭うなら、自分が必ず守る。


ユンタは、そう考えていた。


◆◆

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