第七十七話『信用を得るという事。』
本日投稿の、
2話目になります!
◆
「まあ。その、何じゃ。
わっちの所為で泣かしてしもうたかの……、
そう云うつもりじゃ無かったんじゃが……、
ゴメンの。
スイちゃん、そんなに泣かんとてくれんかの?」
「……ぐすッ、ぐすッ……」
「じーーーー………」
「ユン姉も大きな声出しよったじゃろ?
そんな眼で見ちゃいけんよ」
「ど……、どうしましょう!?
スイがこんなに泣くなんて……、
ユンタさん!? ヤエファさん!?
スイを泣かせないで下さい!!」
「ス…スイちゃん!
自分も気にして無いッスから!
そんなに泣かないで下さいッス、
自分も悲しくなっちゃうッス」
「だ……、大丈夫かよ?
ほら?チョコ有ったぞ?
食うか?」
「……ぐすっ、……ごべん……、
皆に心配かけて……、ぐすっ、……」
「スイ。ウチもごめんなーー……、
大っきな声出しちゃって、怖がらせちゃったなー……」
「ぐすっ、……ユンタは悪くないよ……」
「父様、母様、
今夜は御開きにしませんか?
スイを少し落ち着かせないと……」
「……スイちゃん!!!
おじさん……、おじさんが情け無くて、力になってあげられなくてごめんね!!!」
「おばさんもよ!!
スイちゃんが辛い思いしてたのに……、
私何にもしてなくて……!!」
「クアイおじさん……、カヤおばさん……」
「私もです!!
スイが……、スイが悲しんでいるのに……、
私はどうしたら、スイの悲しみを……、
私が出来る事なら全部やります、
少しだけでも良いんです……、
少しでも、悲しさを、和らげる事は、
出来ないのでしょうか?」
シャオは、ドレスの端を掴み、
声を震わせながら、大粒の涙を零していた。
「シャオ……。ありがとう……、
心配かけて、ごめん。
コトハさんが帰って来るまで、
気長に待てるつもりだったんだ。
でも、
考えたら悲しくなっちゃって。
もう、大丈夫だから、今度はシャオが泣かないで?」
「健気が過ぎます……、私なんて……、私なんて……」
「いやはや、美しいの」
「お前チョット静かにしてろよーー」
「そんなに悲しむ必要も無いと思うがの」
「はーー?何言ってんだよヤエファ、
聞いてたか話?」
「聞いとったよ。
難しい局面に見えて、物事は実に単純明快じゃ。
スイちゃんはコトハを。
わっちはガコゼを。
その間に居るんは聖域教会じゃ。
目的が偶然にも一致しそうじゃの」
「いや、全然一致してねーーだろ。
無理矢理が過ぎる」
「クアイちゃん。
ちょっと訊いてみるがの、
ガコゼが、
イファルで狼藉を働く様な輩だった場合、
それを懲らしめたら、
イファルに迷惑は掛かるかの?」
「それは、事の大きさに依るかも知れませんが……、
仮に何か犯罪を冒したとしても、
教会側に揉み消されてしまう可能性もありますね」
「明確な理由と、確固たる証拠が有ればどうかの?」
「ガコゼ氏の占める、
教会内での関係性の割合にも依ると、
僕個人は思いますけど」
「そりゃそうじゃの。
要は、ガコゼを切り捨てても已む無しと、
教会が判断すりゃ、
何の問題も無い筈じゃ」
「まあ……、それはそうですが……」
「どうゆう事ッスか?」
「十中八九、
ガコゼは教会を後ろ盾に何か悪さをしとる。
そういう奴じゃからの。
その尻尾を捕まえて、言い逃れ出来ん様にしてしまえば、教会としては、
無理にガコゼを擁護する必要が無いって事じゃ」
「そんなに上手く行くんスか?」
「ロロちゃんは可愛えの。
まあ、考えてもみんさい。
幾ら繋がりが有ると云うても、
悪事が露見すれば、
ガコゼも所詮、しがない亜人じゃ。
教会からすりゃ、メリットが無けりゃ、
それまで、とは思わんかの?」
「えーー。何で、
そんな自信たっぷりなんだよーー、
怖いんだけど」
「ユン姉もガコゼの事は、
よう知っとるじゃろ?
姑息で意地汚い、
他人を陥れて理由するくらいしか、能の無い、
そげ生き方しか出来ん奴じゃけ。
それに欲深い。
餌を仕掛けて、
此方が網を張っとれば、
必ず掛かる筈じゃ」
「どうやんだよ?」
「そこで、皆さんに協力を仰ぐって事じゃの。
何せ、わっちに一度殺されかけとるけ、
わっちが罠を仕掛けたんじゃ、
警戒して寄って来ん。
あいつは鼻が効く。
亜人の動きにゃ敏感じゃ」
「私達が罠を仕掛けるという事ですか?」
「シャオちゃん、そうじゃの。
イファルに堂々と出入りしとって、
軍部とも面識が有るんじゃ、
罠を仕掛けるにゃ、うってつけの好機じゃ
」
「クアイ君にやらせるって事?そりゃ無理だろーー」
「わっちは無理とは思わんがの。
クアイちゃん次第じゃ」
ヤエファはクアイの様子を伺い、
彼が判断を、迷い倦ねている事に気づいていた。
「でも、ガコゼの悪事の証拠を押さえたとして、
それでスイの気持ちが治まるんでしょうか?」
「シャオちゃん、鋭いの。
コトハはネイジンに行って、消息を絶っとる。
ネイジンと云う国は、
誰でも彼でも気軽に出入り出来る様な国じゃないけ、
其処に巧く入り込んどるガコゼは、
必ず何か情報を持っとる筈じゃ。
コトハはあげ強い人間じゃったからの、
知らん筈が無いと、わっちは思うとるの」
「でも、それは確証が無いんですよね?」
「無い。
じゃが、ガコゼの事は、よう把握しとる。
強者を理由する為に、
擦り寄る性質のクズじゃからの」
「もし、ガコゼが何も知らなかったら?
私達が危険を冒してまで、
協力する意味が無くなりませんか?」
「わっちが責任持って、必ず吐かせる」
「どう信用すれば良いのでしょうか?」
「ま。そうじゃの。
ぶっちゃけると、ガコゼを取っ捕まえる所までしか、
未だ考えとらんかったけ」
「真面目にやって下さい!!」
「そう怒るな。怒った顔も美人じゃがの。
策が無い訳では無いんじゃ。
クアイちゃんが、ガコゼを誘き寄せるのに協力してくれたらじゃがの」
「その策とは……、一体何でしょうか?」
クアイが神妙な面持ちで、ヤエファに尋ねた。
「ガコゼが何も知らんかった時には、
わっちがガコゼの首を取って、
世界中の亜人を煽り、賛同を得て、
戦力を搔き集める。
ガコゼと聖域教会に、
恨みを抱いとる連中はようけおるけ、
その連中を先導して、ネイジンに直接乗り込む。
相手方の本拠地に行けば、情報も得られるじゃろ」
「そんな事が、本当に可能なんでしょうか……?」
「よいよ最悪の策じゃがの」
◆◆




