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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第七十四話『悲しそうに見えたんだが。』

本日投稿分の、

2話目になります!!



「クアイちゃん。どうかの?

大切な娘さんじゃとは思うが、

わっちの嫁にさせて貰えるかの?」


当の本人で在るシャオは突然の事に、ただただ驚き、

真っ赤にした顔を引き()らさせて、

口を開いたまま、

すっかり固まってしまった様子だった。


「シャ……、シャオをヤエファさんにですか!?」


クアイも珍しく動揺している。


「そうじゃ」


「ヤエファーー!! 

クアイ君、困ってんだろがーー!?」


「ど……、どうなってんスか一体!? 

ふ……、風紀が乱れてるッス!!」


「シャオの事も狙ってるって云うのは本当だったんだ」


ヤエファは狼狽(うろた)えるクアイに声をかけた。


「わっちはシャオちゃんに惚れてしもうての。

こげ(こんなに)別嬪(べっぴん)で、

姉妹の様な美しい妻と娘を抱えとって、

わっちはクアイちゃんが羨ましい限りじゃ」


「そ……、そう言って頂けるのは、とても嬉しいですが……」


「心配せんでも、

何も本当に取って喰おうと云う訳じゃないけ。

中にゃ、生き血を好む様な亜人(ゲテモノ喰い)もおるがの。

わっちはそげ(そんな)事はせん。

こげ(こんな)美しい娘は、

花の様に愛でて愛でて、

幸せにしてやるけ」


「ヤ……、ヤエファさん。お心遣いは有難いですが……」


「それでもの。

ガコゼの事を教えて欲しいのも、

丁度、(おんな)じくらいに、

わっち()にとっちゃ、重要な事での。

どうしたもんか、迷っとるけ」


(シャオを寄越すか、

情報を寄越すか選べと云う事か)


「もーーーあっったま来た!!

表出ろ!!こんにゃろーーー!!」


「ユン姉。将軍様の御前じゃけ。

物騒な事は言うたら良くないの」


「このクソ狐ーー!!!

いつまで過去に囚われてんだって話だよ!!」


「過去?

過去と言うたかの?

流石、ユン姉くらいになると言う事も立派じゃの」


「ヤエファ……!!

お前マジでウチをおちょくってんだな!?」


「そう聞こえたかの?

耄碌(もうろく)したの。

昔の事を水に流して、人間様に取り入って、

使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「ヤエファ。

そのくらいにしとこうよ。

ユンタは、わたしの事を思って、

この旅に協力してくれてるんだ。

ユンタを侮辱する事は許せない」 


あげ(あんなに)ようけ(たくさん)

敵も味方も死んだ大戦(おおいくさ)を経験しとって、

未だ、気づいとらんのかの?

どの国も躍起(やっき)になっとるが、

女神の力を手に入れて、一体どうなる?

持て余して、

惨めな思いをする(もん)らが生まれるだけじゃ」


「それとこれとは話が別だよ。

君は、わたしの大切な友人を侮辱した。

訂正して、ユンタに謝ってくれ」


「コトハに、よう(良く)似とるの」


「きっと、コトハさんも同じ事を言うと思う」


「“()()()()()()()()()()()()”ってコトハは言うとったの。

スイちゃんも一緒じゃの」


「どういう意味?」


「わっちはコトハの、

そう云うところも気に入っとったがの。

ほじゃけど(でも)、あんまりに強うなり過ぎると、

小まい(小さい)物は見えんようになるらしいの。

それが例え、命でもの」


「ヤエファ。

今度はコトハさんを馬鹿にするの?」


「なんだヨ! スイー! 

ヤエファと()んのかヨ!?」


「そうだし! 

ヤエファ、お前より強いんだし! 知らんけど!」


「おめーーらチョット黙ってろ!!!」


そげ(そんなに)怒らんでくれ。

コトハの事を気に入っとると言ったじゃろ。

わっちがコトハに惚れとったのは顔も好みじゃったが、

一番の理由は、憧れじゃ。

わっちも、そう在りたかったんじゃ。

コトハの様にの」


「わたしには、

ヤエファが何を言おうとしているのか、

わからない。どういう事なんだろう?」


「ふふ。わからなくて()えよ。

愚かで、(いや)しい、

醜い亜人が、じら(わがまま)を喚いとるだけじゃけ」


「わたしには、君がとても悲しそうに見えるけど」


()()()()()

わっちがかの?」


「うん」


「ははは。

スイちゃんには、そう見えるんじゃの。

もし、そう見えとるんだとしたら、

わっちは、とんだ道化だった様じゃ、

よいよ(本当に)せんない(やるせない)の」


「悲しいんじゃないの?」


「そうじゃの。

年月(としつき)が経ちすぎて、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「ねぇ、ヤエファ。

それはきっと、君が無理をしてるって事なんじゃない?」


「無理?

ふふ。わっちがかの?」


「そう」


「ふふ。

それなら、どげ(どう)しようかの?

スイちゃんが、わっちを慰めてくれるかの?」


「出来る事ならね」


「それなら、まず、

肌と肌を合わせて温もりを感じたいかの」


「出来る事ならって言ったよ?」


「なんじゃ、随分意地悪じゃの?

コトハなら、そうしてくれとったがの」


「それは嘘だよ」


「ヤエファさん!?

貴女は一体何がしたいんですか!?

それに、スイにちょっかいかけるのは止めて下さい!!」


「スイちゃん、すまんの。

本妻が()いてしまうけ、

続きは今度じゃの」


「や……!! 妬いてませんからね!?」


「そうよヤエファ! 浮気はダメよ!?」


「ちょ……、母様は少し静かにしていて下さい!!」


「私、難しい話はよく解らないけど、

スイちゃんの言う通り、ヤエファは苦しいのかしら?

私、折角、ヤエファとお友達になれたのだから、

ヤエファが苦しいのなら助けたいわ」


「参ったの。

そげ(そんな)事言われたら、

(うず)いて仕方ないけ」


「疼くの? だったら私が、何とかするから!

どうしたら良いの? 

私、解らないから、ヤエファ教えて」


やれんの(いけない)

旦那が其処に()らにゃ、

押し倒してしもうとる(しまっている)の」


◆◆

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