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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第七十三話『クアイの職務。』

本日投稿分の、

1話目になります!



「シャオ。素敵なドレスだね」


「ありがとうございます。

誕生日のお祝いに、父様から贈って戴いたものです」


「シャオちゃん綺麗ッスーー! お姫さまみたいッスね!」


「今日は敗けられない戦いですから……!!」


「戦いに行く格好には見えないけど」


「女の戦いですから!」


「そうなんだ。本当に素敵なドレスだね。とても似合ってるし」


「そんなに褒めてくれると……。照れますから」


シャオに向かって、

ヤエファが蝶の様にヒラヒラと手を振り、声をかけた。


「よく似合っとるの。不覚にもグッと来てしまったの」


「ありがとうございます。ヤエファさんも素敵です」


「今夜は招待してもらって、すまんの。

義妹(いもうと)達も、

すっかり楽しんどるみたいで、喜んどるけ。

それに素敵な親御さんじゃ」


「楽しんでもらえて、何よりです。

あの……。母様と何を話してたんですか……?」


「心配せんで()

正直、カヤちゃんの色気に理性を保つので精一杯じゃが。

この都は、まったく別嬪揃いで参るの」


「カヤちゃんって!? さっき来たばかりですよね!?」


「エルフは、わっちら(私達)と同じで長命の種族じゃが、

年月(としつき)を重ねても、こうも美しさを損なわんとはの」


「もうヤエファったら……。

そんなに褒めても何も出ませんからね?」


「おまけに母娘揃って、乳がデカい」


「きゃー!」


「母様!」


「あらシャオ。やっぱりそのドレス良く似合うわねぇ!

クアイったら、シャオに似合う最高のドレスをって、

仕立ての職人さんの工房に通ってたのよ?

迷惑よねぇ」


「ははは。僕もまだまだ子煩悩が終わってないみたいだよ」


「大国イファルの将軍様じゃけ、

どんな恐ろしい男かと思いよったが、

器の大きな優しい御仁じゃの」


「そんな事はありませんよ! 

僕はどうも、仕事と家庭は切り離して成立させたい、

我が儘な男らしいので」


「屈託無いの。おまけに男前じゃ」


「ははは。お恥ずかしい」


「少年の様じゃ。流石、

某ハーフエルフの国の王女じゃったカヤちゃんを、

(めと)るだけは有るの」


「あの!? 

ヤエファさん、さっき来ましたよね!? 

何でもう知ってるんですか!?」


「わっちは何でも知っとるけ」


ヤエファは舌を出して悪戯そうな笑みを浮かべた。


「それでの。クアイちゃんに相談があるんじゃが」


「何でしょうか?」


「イファルは大きくて強い国じゃけ、

他国間との牽制もさぞかし、緊張感溢れるもんじゃろ。

それだけに情報と云う(もん)ようけ(たくさん)

溢れとる筈じゃ。

わっちら、下々(しもじも)の耳にゃ、

全部が入りきらんくらいにの」


「国の事ですので大きな声では言えませんが、

そうですね」


そげ(そんなに)警戒せんでも良え。

わっちら、亜人じゃが、悪人では無いつもりじゃ」


「それは承知しています」


「その懐の深いクアイちゃんを見込んで、

ひとつだけ教えて欲しい事を頼みたいんじゃがの?」


「僕が答えられる範囲ならば」


クアイは笑みを絶やさずにそう言った。

そのクアイを見て満足した様に、

続けてヤエファが問い掛けた。


「ガコゼと云う亜人の名を聞いた事があるかの?」


「ガコゼ?」


ヤエファは、ほんの少しだけ眉を潜めた。


「クアイちゃん。

わっちは他人の嘘を嗅ぎ分けるスキルがあるけ。

あんたが今まで、

本心で喋ってくれとったんは分かっとるからの」


「それは失礼しました。

ですが、僕も立場上、色々とありますのでご容赦下さい」


「無理を言うてすまんの」


「ちょっとヤエファーーー!!

おめーーいい加減にしろよーー!?」


「ユン姉、こげ(こんなに)広い都、

チマチマ探したところで、どうにもならんけ」


「てんめーー!! それが目的で来たのかよーー!?」


「まさか将軍様のお宅とは知らんかったからの。

初めは純粋に可愛え娘らと、

飲み食いしちゃろと思ったんじゃがの」


「ヤエファさん。もし仮に僕が、

今貴女に有益な情報を与えれなかったとしたら、

貴女は僕達に危害を加えるのでしょうか?」


「悪人じゃ無いと言うたろ?

そげ(そんな)事はしゃあせん(しない)


「良かった。でしたら、

僕としては、これ以上お話出来る事は無いのですが?」 


クアイとヤエファの姿を、

ハラハラとした様子でカヤが見守っている中、

ヤエファが言葉を続けた。


「わっちは可愛(かわえ)え娘の味方じゃけ。

教えてもらえんでも危害は加えんが、

別の(もん)欲しゅう(欲しく)なったの」


「別の物ですか?」 


クアイは緊張を解いてはいなかった。

()()()()()()()()()()()()()()()()


ヤエファの存在感が圧倒的だったからだ。

思えば、屋敷にヤエファが来た瞬間から、

普通に振る舞っているにも拘わらず、

場の空気を明らかに一変させていた。


彼女の内から零れ出す様な、凄まじい強大な力は、

潜めていた片鱗を現し、

大国の軍のトップで在る、

クアイに張り付く様な焦りを与え、

ヤエファは、そのクアイの様子を、

手玉に取る様にして(おのの)かせていた。


「それは一体何なのでしょうか?

僕に出来る事でしたら、お応え出来ますが」


「クアイちゃん。

シャオちゃんを、わっちの嫁に貰えんかの?」


「…………はい?」


その場に居る者達、全員の視線が、

音も無くシャオに集まっていった。


◆◆

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