第七十二話『まるで宴の様な。』
本日投稿分の、
3話目になります!!
◆
「遅くない!?」
随分と待たされた割には、悪びれる様子も無く、
ゆっくりと合流して来た女性陣に、
リクが喰ってかかった。
「ヤエファが居たんだよね。
君は出会わなかった?」
「え! ヤエファ居たのか?」
「何だよ。
やけに嬉しそうだね?」
「どーーせリクっちなんか、おっぱいだろ!?」
「意味がわからん! どういう事だよ!?」
「ユンタは今、少し荒れてるから。
待ってる間、退屈じゃなかった?
色々見て回れば良かったのに」
「一人でウロウロして迷ったら、
またお前に迷惑かけるだろ」
「何だ。君もそんな気が使えるのか」
「どんな奴だと思ってんだ」
「巨乳好きの変態」
「聞き飽きたわ!」
「そう云えば、ヤエファが仲間を連れてたんだよ」
「ヤエファの仲間?」
「義妹達が居ると言ってただろう?」
「リクっちーー!
リクっちはヤエファがシャオちんの家に来たら、
ヤだよなー!?
なーー!?」
「何なの!?」
「ヤエファの仲間がーー! すんげーー生意気なんだよーー!」
「荒れてるのって、それが理由か?」
「ウチの事、ババアって言ったんだぞーー!!」
「じょ……、情緒が不安定!!」
「まあ、シャオが良いと言ってるんだからさ。
わたし達は任せるしか無いよ」
「ええ。
私はヤエファさんをご招待しなくては、
ならないのです……ゴゴゴゴゴ……」
「ゴゴゴゴゴって……。
シャオは、また一体どうしたんだ……?」
「色々あってさ。シャオも荒れてるんだよね」
「シャオもかよ!」
◆◆
夕食の時間が近づくと、屋敷では、
使用人や料理人達が慌ただしく駆け回り、
沢山の料理や飾り付けられたテーブルが並べられ、
将軍の一人娘の友人を招くと云う、
パーティーの準備が進められていた。
「凄いね。昨日も凄かったけど、今日は更に」
「豪華ッスね! セレブッス!」
「ところでシャオは何処に行ったんだろう?」
「着替えて来るって言ってたッスよ?」
そうして日が暮れる頃、
準備の整った会場に、ヤエファ達一向が到着した。
「こりゃ豪勢じゃの」
ヤエファは昼間の服装とは違い、
貴族の夜会に向かう様な、上品な深紅のドレスを着ており、
蠱惑的な彼女の所作に、
屋敷の者達も、
すっかり心を奪われてしまっている様子だった。
「素敵なドレスだね」
「粧し込んで来たけ」
「迷わなかった?」
「道を尋ねたら、すぐに教えてくれての。
品の有る娘じゃとは思うとったけど、
まさか将軍様の娘じゃったとはの」
「大きなお屋敷だものね」
「マジすげーし!! お城みたいだし!! 知らんけど!!」
「シャオは金持ちだったんだヨ!!」
「なんかぁ、私達ぃ、場違い?じゃないかなぁ?」
「ロロたそーー♪ キャー! こっち向いたー!!
きゃわわわわわ!!」
「大人しくしてろよーー? 特にお前とお前な!!」
「お前じゃねーし! 知らんけど!」
「何で猫娘が偉そうなんだヨ!」
そうやって賑やかな会話をしている中、
クアイが、カヤを連れて、客人達を出迎えた。
「ようこそ! ヤエファさん。
シャオから、お話は伺ってます。
今日はどうか、楽しんで行ってください。
ね、カヤ?」
「ええ、クアイ。
お綺麗な方ですのね!
それに、お連れの方々も皆さん、とっても可愛い!!」
「これはこれは。お招きに預かって光栄じゃの。
わっちらは、貧民窟の育ちの、
賎しい亜人じゃけ、こういう場に馴れとらんから、
失礼が有ったら許してくれの」
「とんでもない!
シャオが誰かを家に招待するなんて、滅多に無い事ですから、
僕達はとても喜ばしく思っていますから!
ね、カヤ」
「ええ、クアイ。
私達、おもてなしする事が好きなものですから!
お客様が沢山来てくださって本当に嬉しいのです!」
「男前じゃし、ざっくばらんな将軍様じゃ。
お心遣い有難いの。感謝するけ。
それと、奥さんエロエロじゃの」
「おめーーが、一番失礼じゃねーーか」
「その外見で、子持ちの人妻とか一体どんだけ、
わっちを狂わすんじゃ。罪な女じゃの」
「まあ! 褒めてくださるのね?
ヤエファさんも本当に、お綺麗な方!
お化粧も素敵! どちらで買ってるのかしら?」
「ヤエファで構わんけ。
カヤちゃんは化粧気も少ないのに、本当に美人じゃの。
わっちは何でも知っとるけ、
今度、品揃えの良え店に連れてっちゃろか?」
「嬉しい!是非一緒に行きたいわ!」
「ええよ。その後はの、
わっちの部屋で、二人きりになってから、
ゆっくり酒でも飲むのはどうかの?」
「素敵!」
「やれんの。
どスケベな身体しとるのに、そげ、
生娘みたいな顔をされたら、
取って喰ってしまいそうになるの」
「きゃー! こわい!」
楽しそうなヤエファとカヤの様子を、
クアイもニコニコと満足そうな表情で眺めていた。
「ようこそいらっしゃいました!!」
着替えに行くと言っていたシャオが、
戻って来たのだろうと、
スイは振り向いた
そこには、
見るからに質の良さそうな高級な生地で出来た、
綺麗な青いドレスを着たシャオが立っていた。
◆◆◆




