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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第七十一話『女癖の悪い女。』

本日投稿の、

2話目になります!



誰もが顔を見合せるだけで、

静まり返ってしまう様な沈黙の中、

ヤエファが口を開いた。


「先約はシャオちゃんだったんかの?

(なん)じゃ。

二人とも女が好きなんなら、

()よ言うてくれりゃ()かったのに」


「いや……、わたしは別に……」


「スイは私と結婚します!!」


「いや……、しないよ……」


「こりゃ目が離せんの」


「私は子供の頃から、ずっとそう思ってたんです!!

だから、スイは誰にも渡せません!!」


「シャオちゃんは、顔が()え上に、

尽くすタイプじゃの。

おまけに、乳もデカい。

ナイスじゃ」


「む……、胸の話はどうでも良くないですか!?」


「そうなんだよ。ヤエファも物凄く大きいね」


「触ってみるかの?」


「どうしたら、そんなに大きくなるの?」


「気になるかの?」


「わたしとシャオは同い歳なんだけど、

全然大きさが違うから、どうしてなんだろうと思ってて」


「大きけりゃ、偉いって訳じゃないけ」


「それはそうなんだけど……」


「気にする事は無いと思うがの。

スイちゃんくらい有りゃ、充分じゃけ」


「いまいち説得力が無いよ」


「大きいのが良えと言われた事が有るんかの?」


「え?」


「リクちゃんじゃろ。男は単純じゃけ」


「確かにリクは巨乳好きだけど」


助平(すけべ)じゃの」


「スイ! リクさんの好みに合わせる必要はありません!」


「わっちは女の胸は好きじゃが(こだわ)らんけ、

可愛がっちゃろか?」


「いい。遠慮しとくね」


「あはは。

そろそろ上がるかの。

別嬪と風呂はいけんの。

逆上(のぼ)せてしまうけ」


「本当にクラウドナインなら、証拠見せてみろヨ!」


(なーーん)でウチが、わざわざそんな事しなきゃなんねんだよーー!?」


「じゃあ嘘だって事だし! 渋るところが怪しいし!

知らんけど!」


「何じゃ。まだやっとるんかの」


「ヤエファーー! お前、西方じゃ、

ウチが有名だって言ってたじゃねーーか!?」


「有名じゃ。ほいでも(だけど)

ユン姉があっち(西方)()ったんは、随時昔の事じゃけ。

この娘らがユン姉の顔を知らんのも、無理なかろ?」


「ユンタは有名人なんだね」


獣巫女(クラウドナイン)は有名だヨ!

だけど、この猫娘はニセモンだヨ!!」


「クラァッーーー!!? 誰がニセモンじゃい!!?」


「そうやってムキになるところが怪しいし!

知らんけど!」


「えーー……。

ロロたん、もう行っちゃうんですかー?

ミンシュ寂しいんですけどー?」


「ちょ……、

ミンシュさん、力強いッス……。

は……、離してッス」


「やだやだー。ミンシュさんとか、超他人行儀ですー。

ミンシュって呼んでくださいー♪」


「わかった……、わかったッスから……」


「困った顔も、きゃわわわわわわわわ!!

ロロたんはー、特別にー、

ミンミン♪って呼んでもオーケーですからー♪」


「あんたら、

(しま)いにしんさい。続きは夜じゃ。

皆、困っとるけ。

シャオちゃんすまんの。

こげ(こんなに)騒がしい連中じゃけ、

親御さんに、よう(宜しく)言うとってくれの?」


「わかりました。……わかりましたけど……」


「スイちゃんの事、

無理矢理に()ったりせんけ」


「本当ですか?」


「わっちの性分じゃけ。堪えてくれの?

可愛(かわえ)え娘は、(みーんな)口説く事にしとるけ」


「わかりました……。お待ちしてますね……」


そげ(そんなに)(せん)ない顔されちゃ、

(うず)いてしもうてかなわんの。

心配せんでも、シャオちゃんの事も(ねろ)うとるけ。

スイちゃんの事ばっかり見よったら、()(さろ)うて、

あんたの事を先に喰ってしまうかも知れんの」


「な……!? な!?」


「あはは。

しっかり戸締まりして寝る事じゃの」


◆◆


「い……、行ったッスね……」


「ムッッキーーー!! あいつら呼ぶの、やっぱ止めよ!?

絶対迷惑!!」


「わたしは好きだけどな。彼女達、陽気だよね」


「陽気……、なんスかね……?」


「ロロもすごく好かれてたね。

ミンシュだっけ?あの娘、可愛いかったじゃないか」


「か……、可愛いんスけど……。

思いの(ほか)、めっちゃ力強かったッスよ……?」


「ウチは絶対反対ーー!!

シャオちんも、あんなのが家に来たら困るっしょ!?」


「え?で……、でも……」


「絶対、散らかして帰るよーー!?」


「でも、私は……。

ヤエファさんと、

もう一度ちゃんと話した方が良いかと思ってます」


「えーーー!? なんでよーー!?

スイを嫁にするとか何とか言ってたから!?」


「そうです!」


「ヤエファは基本、あーゆーー奴なんだってーー!

女癖の悪い女なんだから!

相手にしちゃダメだーー!!」


「女癖の悪い様な(ひと)に、スイを絶対に渡せません!」


「じゃあ、家に呼ぶのを止めたらどうかな?」


「駄目です!!」


「なんでさ?」


「あの人は……、何だか危険です……!

魔性の香りがプンプンと漂ってました……」


「まあ。君の家だから、好きにしたら良いよ。

そろそろ行こう?

リクが待ってるよ。きっと」


◆◆

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