第七十話『彼女達と残響。』
本日投稿分の、
1話目になります!!
◆
ロロは突然の事で驚き、目をパチクリとさせて、
どう反応すれば良いものか考えていた。
他の女達に比べて、小柄な亜人の女が、
自分の事をえらく気に入っている。
「あなた! お名前は何て言うんです!?」
「じ……、自分はロロって名前ッスけど……」
「ロロたん!! きゃわわわわわわ!!」
「あ……あの、ヤエファさん、こちらの方は……」
「すまんの。その子はミンシュって云うての。
ロロちゃんみたいなタイプの子に目が無くての。
騒がしいけ、煩わしいかも知れんが、
勘弁してくれの」
「そ……、そんな事無いッスけど……」
「お目目が大きぃぃーー!! やだやだ!!
可愛さの権化ーー!! きゃわわわわわわわ!!」
「あ……、圧が……」
◆◆
「それでぇ、昨日聞いたのはぁ、クラウドナインの仲間のぉ、
お宅に招待してもらったって言ってたけどぉ?」
「そうじゃの。
ラクシェ。こっちのお嬢さんが、
シャオちゃんて云うての、シャオちゃんが招待してくれたけ」
「そうなんだぁ、私達がぁ、行っても迷惑じゃ無いのぉ?」
「迷惑だなんて、とんでもないですよ!
是非皆さん、いらしてください!」
「彼女達が、ヤエファの義妹達なんだね」
「皆、可愛え娘達なんじゃが、
育ちが良くないけ、行儀が悪かったら、すまんの」
「おい! ヤエファーー!! このガキなんとかしろよ!!」
「ガキじゃないし!
あんたの方が、よっぽどガキに見えるし!
知らんけど!」
「そうだヨ!
クラウドナインって、
もっと怖えババアかと思ってたヨ!」
「はーー!? ババアじゃねーーしーー!?」
「メイ。レイフォン。
行儀良うせにゃ、お呼ばれされんくなるけ」
「悪すぎんだろーー!?」
「まだやんちゃでの。わっちも手を焼いとるけ」
「それでぇ、ヤエファぁ、こっちの子はぁ?」
「スイちゃんじゃ」
「スイぃ?
昨日ぉ、街中で精霊をぉ、使ってたのはぁ、スイぃ?」
「うん。わたし」
「そうなんだぁ。街中にすごくぅ、たくさん精霊が居てぇ、
私ぃ、驚いてたぁ」
「君も精霊魔法を使うの?」
「ううん私はぁ、魔力の感知がぁ、得意だからぁ。
あんなにぃ、たくさんの精霊を一気に使うってぇ、凄いねぇ」
「そんな事無いよ。
結局あの後、魔力切れを起こしちゃったから」
◆◆◆
「えー……、それでそれで、
ロロたんはー、今フリーなんですー?」
「フ……、フリーかフリーじゃないかって云えば、
フリーでは有るッスけど……」
「えー! どうしよどうしよ!!
ちなみにー、この後って予定は有るんですー?」
「こ……、この後は皆と色々お店を回る予定なんスけど……」
「えー残念ー!
あ! でも、夜にまた逢えるです!」
「そ……そッスね……」
「えー、お酒飲んじゃおっかなー?」
「あ……、あざとい言い回しッスね……」
「ミンシュ。あんたは酒は駄目じゃ。
こないだも滅茶苦茶だったけ。
酔うたら何するか、わからんからの」
「えー! ヤエちゃんの方が酒癖悪くないですー?」
「わっちは暴れんから良えんじゃ。
それに、こげ別嬪ばっかりが揃っとる席で、
飲まん訳にはいかんけ」
「ずる!」
「ご無沙汰じゃけ。
早う夜にならんか待ち遠しいの」
「合コンじゃねんだぞーー!!」
「え?あの、ヤエファさんて、もしかして……?」
「ん?何じゃシャオちゃん。
女が好きなんかと思うたかの?」
「なんとなくそうかなーとは、思ってたんですけど……」
「その通りじゃ。
どっちかと云えば、女の方が好きじゃの。
シャオちゃん達みたいな可愛え娘に目が無いけ。
試してみるかの?」
「け……、結構です!?」
「なんじゃ残念。
スイちゃんはどうかの?」
「どうと聞かれても」
「ス……、スイも駄目です!!」
「えらいムキになるの。
そげ怖がらんでも。
なんなら、二人一緒に面倒見ちゃろか?」
「あはは。ヤエファはやっぱり面白いね。
すごく下品な事を言ってるのに、
いやらしく聞こえないね」
「下品には思うとったんじゃの。
スイちゃん、あんたも良えね。
コトハに似とるの」
「ありがとう」
「わっちはコトハもお気に入りじゃったが、
スイちゃんも気に入ったけ。
スイちゃん、わっちの嫁にならんかの?」
「な!? ヤエファさん!?」
「こりゃ冗談じゃ無いけ。
亜人は嫌かの?」
「ヤエファさん! 駄目に決まってます!!」
「誰か、お相手がもう居るんかの?」
「いや、相手は居ない。
居ないんだけど……、
こうも短い間に、女の人に求婚されるとは……」
「先約がおったんかの?」
「まあ……、その……」
「わっちも野暮じゃないからの。
茶化したりはせんけ」
「あ……、あのさ……」
「ん?」
その時だった。
「ヤエファさん!
スイはお嫁に行きません!!!
私がお嫁さんにしてもらうんです!!!!!!」
シャオの声が高らかに、
施設中に響き渡る様にして、
しばらくの間、残響を起こし、
周囲の人々を唖然とさせた。
◆◆◆◆




