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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第六十七話『忘れてはいけなかった事。』

本日投稿の、

1話目になります!


パーティーが合流出来たのは結局、

夕方近くになってからだった。


魔法の使い過ぎに()る空腹で、

スイは動けなくなりそうになり、

シャオに肩を借りながら、なんとか歩きながら、

遠目に見える仲間達に向かって手を振った。


「おつかれーーー。ゴメンーー。

無理させちゃったなーーー。

温泉は、また明日にしよーー」


「大丈夫だよ。

ありがとうユンタ。

わたしは、お腹が空いているだけだから。

皆楽しみにしていたでしょ?」


「いえ。温泉はまた明日にしましょう。

建物もすごく広いですし、

流石に、スイはもう歩けないかと……。

私が勢い余って、皆さんを迷子にさせちゃって、

本当にごめんなさい!!

とにかく私の家でご飯にしましょう!!

ご馳走を用意してもらいますから、

皆さん沢山食べてください!!」


「シャオちん家でパーティーーーー。うぇーい」


「ほんとに大丈夫か?めっちゃ辛そうだぞ?」


「心配かけてすまないね。

でも大丈夫。ところで。

その人は?」


「この娘がスイちゃんかの?

わっちはヤエファじゃ。ユン姉の妹じゃ」


「妹? 知らなかった。

ユンタに妹さんがいたんだ」


「違う違うーー。

昔の仲間の妹。その自己紹介さーー、

ややこしーーから辞めない?」


「否定するからじゃろ。スイちゃん(よろ)しくの。

コトハと血は繋がっとらんと言うとったが、

スイちゃんも負けず劣らず別嬪(べっぴん)じゃの」


「コトハさん? ヤエファはコトハさんを知ってるの?」


「知っとるよ。コトハも別嬪じゃった」


「そうなんだ。それはとても嬉しいな。

ヤエファも凄く綺麗な人だね。

それに、お化粧もとても素敵だ」


「あら。お上手じゃの。

惚れてしもうたらどうするかの。

スイちゃんは本当に綺麗な顔じゃ。

まるで、お人形じゃ」


「スイーー。今すぐコイツから離れてーー」


「それで、もう一人のお嬢さんは何て名前かの?

こちらも……。

またえらい(すごく)美人じゃの」


「ヤエファさん、はじめまして。

私の名前はシャオといいます」


「シャオちゃんか。

行儀も()えし、育ちが良さそうじゃ」


「誰目線だよーーー」


「それに良え身体しとる。

甲乙付け難いの。

正直どストライクじゃ」


「もーーコイツ嫌だよーー」


「あはは。とても楽しい人だね。

どこかで偶然出会ったの?

一緒に、わたし達の事を探してくれたのかな」


「そーー。たまたまね」


「運命的じゃったけ」


「それは本当にご迷惑をおかけしました……!

そうだ!

ヤエファさんも、私のお家に来ませんか?

お礼に食事をご馳走させてください!」


「悩むの。正直めっちゃ行きたいんじゃが、

義妹(いもうと)らが待っとるけ。

大勢で押し掛けても迷惑になっちゃいけんけ、

折角じゃが、すまんの」


「いえ!

それでしたら、明日の夜にでも是非いらしてください!

義妹(いもうと)さん達も、ご一緒に!」


「ふふ。亜人が大勢行っても迷惑にならんかの?」


「そんな訳無いです!!

両親もお客さんが増えて、きっと喜びますから!!」


「そりゃ有難いの。楽しみにしとくけ。

それじゃ、

一先(ひとま)ず今日のところは退散するけ。

また明日の。

ユン姉。わっちは『今宵亭』って宿におるけ、

何か有ったら来てくれの?」


「はいはい。用が有ったらなーー」


「それじゃの。

お嬢さん達、次の機会にゃ美味しい店に連れてくからの」 


◆◆


「良い人だったね?」


「どこがーー?

ウチはあんまり会わせたくなかったんだけどーー」


「そうなの? 

わたしはコトハさんの話が聞けるかも知れないから、

明日の夜が楽しみだよ」


「シャオちんーー。ゴメンなーー?

本当に迷惑になんないかなーー?」


「心配なさらないでください!!

私も楽しみにしてますから!!」


「ならいーーんだけどさーー。

ところで。

クアイ君って未だイケメン?」


「え?

どうでしょうか……?娘の私には何とも……」


「昔から美男子だったからなーー。

イケおじになってんだろなーー」


「シャオのお父さんて事は、ハーフエルフなのか?」


「うんにゃ。ハーフエルフなのは、シャオママ」


「シャオのお母さん……。ハーフエルフ……」


「シャオママ、めっちゃ美人で巨乳だぞ?」


「バッッ!!?」


「バッ!!?て何だよ。バッッて」


「そうだ。おばさんは凄いんだった。

きっと、リクがいやらしい目で見るんだ」


「決めつけないでくれるかな!?」


「君の考える事は大体わかるさ。

短い付き合いなりに」


「カヤちゃんに逢うのも久しぶりだなーー。楽しみだわ」


「わたしもだよ」


「父様と母様も、

スイに逢えるのを本当に楽しみにしてますから!!」


シャオにそう言われて、

スイは、ふと思い出した。


(そうだった……!! おじさんとおばさんには……、

シャオがわたしを好きなのがバレてるんだった……!!

大切な娘を、わたしが奪ったと知れてるなんて……!! 

いや、わたしは奪っては無いんだけど……。

でも!

どっちだって同じ事だ……!!

わたしは、どの面下げて逢えば良いんだ……!!

すっかり忘れてた……。こんな大事な事を……

わたしはバカなのか……!!?)


スイの表情は、

困惑と、様々な想定を繰り返す思考で、

微かに(かげ)り、

大きな溜め息を、不安とその他諸々の感情と共に、

ゆっくりと吐き出した。


◆◆◆

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