第六十七話『忘れてはいけなかった事。』
本日投稿の、
1話目になります!
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パーティーが合流出来たのは結局、
夕方近くになってからだった。
魔法の使い過ぎに因る空腹で、
スイは動けなくなりそうになり、
シャオに肩を借りながら、なんとか歩きながら、
遠目に見える仲間達に向かって手を振った。
「おつかれーーー。ゴメンーー。
無理させちゃったなーーー。
温泉は、また明日にしよーー」
「大丈夫だよ。
ありがとうユンタ。
わたしは、お腹が空いているだけだから。
皆楽しみにしていたでしょ?」
「いえ。温泉はまた明日にしましょう。
建物もすごく広いですし、
流石に、スイはもう歩けないかと……。
私が勢い余って、皆さんを迷子にさせちゃって、
本当にごめんなさい!!
とにかく私の家でご飯にしましょう!!
ご馳走を用意してもらいますから、
皆さん沢山食べてください!!」
「シャオちん家でパーティーーーー。うぇーい」
「ほんとに大丈夫か?めっちゃ辛そうだぞ?」
「心配かけてすまないね。
でも大丈夫。ところで。
その人は?」
「この娘がスイちゃんかの?
わっちはヤエファじゃ。ユン姉の妹じゃ」
「妹? 知らなかった。
ユンタに妹さんがいたんだ」
「違う違うーー。
昔の仲間の妹。その自己紹介さーー、
ややこしーーから辞めない?」
「否定するからじゃろ。スイちゃん宜しくの。
コトハと血は繋がっとらんと言うとったが、
スイちゃんも負けず劣らず別嬪じゃの」
「コトハさん? ヤエファはコトハさんを知ってるの?」
「知っとるよ。コトハも別嬪じゃった」
「そうなんだ。それはとても嬉しいな。
ヤエファも凄く綺麗な人だね。
それに、お化粧もとても素敵だ」
「あら。お上手じゃの。
惚れてしもうたらどうするかの。
スイちゃんは本当に綺麗な顔じゃ。
まるで、お人形じゃ」
「スイーー。今すぐコイツから離れてーー」
「それで、もう一人のお嬢さんは何て名前かの?
こちらも……。
またえらい美人じゃの」
「ヤエファさん、はじめまして。
私の名前はシャオといいます」
「シャオちゃんか。
行儀も良えし、育ちが良さそうじゃ」
「誰目線だよーーー」
「それに良え身体しとる。
甲乙付け難いの。
正直どストライクじゃ」
「もーーコイツ嫌だよーー」
「あはは。とても楽しい人だね。
どこかで偶然出会ったの?
一緒に、わたし達の事を探してくれたのかな」
「そーー。たまたまね」
「運命的じゃったけ」
「それは本当にご迷惑をおかけしました……!
そうだ!
ヤエファさんも、私のお家に来ませんか?
お礼に食事をご馳走させてください!」
「悩むの。正直めっちゃ行きたいんじゃが、
義妹らが待っとるけ。
大勢で押し掛けても迷惑になっちゃいけんけ、
折角じゃが、すまんの」
「いえ!
それでしたら、明日の夜にでも是非いらしてください!
義妹さん達も、ご一緒に!」
「ふふ。亜人が大勢行っても迷惑にならんかの?」
「そんな訳無いです!!
両親もお客さんが増えて、きっと喜びますから!!」
「そりゃ有難いの。楽しみにしとくけ。
それじゃ、
一先ず今日のところは退散するけ。
また明日の。
ユン姉。わっちは『今宵亭』って宿におるけ、
何か有ったら来てくれの?」
「はいはい。用が有ったらなーー」
「それじゃの。
お嬢さん達、次の機会にゃ美味しい店に連れてくからの」
◆◆
「良い人だったね?」
「どこがーー?
ウチはあんまり会わせたくなかったんだけどーー」
「そうなの?
わたしはコトハさんの話が聞けるかも知れないから、
明日の夜が楽しみだよ」
「シャオちんーー。ゴメンなーー?
本当に迷惑になんないかなーー?」
「心配なさらないでください!!
私も楽しみにしてますから!!」
「ならいーーんだけどさーー。
ところで。
クアイ君って未だイケメン?」
「え?
どうでしょうか……?娘の私には何とも……」
「昔から美男子だったからなーー。
イケおじになってんだろなーー」
「シャオのお父さんて事は、ハーフエルフなのか?」
「うんにゃ。ハーフエルフなのは、シャオママ」
「シャオのお母さん……。ハーフエルフ……」
「シャオママ、めっちゃ美人で巨乳だぞ?」
「バッッ!!?」
「バッ!!?て何だよ。バッッて」
「そうだ。おばさんは凄いんだった。
きっと、リクがいやらしい目で見るんだ」
「決めつけないでくれるかな!?」
「君の考える事は大体わかるさ。
短い付き合いなりに」
「カヤちゃんに逢うのも久しぶりだなーー。楽しみだわ」
「わたしもだよ」
「父様と母様も、
スイに逢えるのを本当に楽しみにしてますから!!」
シャオにそう言われて、
スイは、ふと思い出した。
(そうだった……!! おじさんとおばさんには……、
シャオがわたしを好きなのがバレてるんだった……!!
大切な娘を、わたしが奪ったと知れてるなんて……!!
いや、わたしは奪っては無いんだけど……。
でも!
どっちだって同じ事だ……!!
わたしは、どの面下げて逢えば良いんだ……!!
すっかり忘れてた……。こんな大事な事を……
わたしはバカなのか……!!?)
スイの表情は、
困惑と、様々な想定を繰り返す思考で、
微かに翳り、
大きな溜め息を、不安とその他諸々の感情と共に、
ゆっくりと吐き出した。
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