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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第六十三話『その名前。』

本日投稿分の、

1話目になります!



「ね?()えじゃろ?

連れの子らも、行きたいじゃろ?」


「無理ーー。ウチら、人探してるからーー」


「わっちも、一緒に探すの手伝うけ!」


「しつこ!!!」


「まーまー。ユンタちゃん、自分は行きたいッス!」


「ほら!

嫌がっとるのユン姉だけじゃ!」


「ロロ子ぉーーん!」


「俺も別に構わないからな」


「おい! おめーー、

ヤエファがエロいからって、

ホイホイ着いてくんじゃねーー!」 


「何で俺には酷いの!?」


「おませさんじゃの」


ヤエファはリクを見てニタニタとしていた。


「それじゃ。決まりじゃの?

ロロちゃんとリクちゃんが行くって言うんじゃけ、

ユン姉も行くじゃろ?」


ヤエファは嬉しそうに耳と(しっぽ)をパタパタとさせ、

ユンタは渋々にでも承諾する他に無かった。


◆◆


「ところで。誰を探しとるん?」


「パーティーの仲間ーー」


「パーティー?

ユン姉、冒険の旅にでも出とるん?

こげ(こんなに)若い子らと?」


「そーー。だから忙しいーー」


「注文も済ましたんじゃから、

往生際悪いのは良くないけ」


「お茶飲んだら行くからなーー」


「探すの手伝うって言っとるろ?

この都は広いけ。

闇雲に探したって、

見つかりゃせんよ?」


「ヤエファ。随分詳しいんだなーー?」


「まあね」


「何か悪さしよーーとしてねーだろな?」


「せんよ。クスクス。

一遍(いっぺん)、コトハに懲らしめられたじゃろ?

もう懲り懲りじゃ」


「ヤエファさんも、コトハさんと知り合いなんだ?」


「リクちゃん。

ヤエファで()えよ」


「昔、ヤエファは、

滅茶苦茶に悪い、おたずね者で、

依頼を受けたコトハにやっつけられてんだぞーー。

悪い奴なんだぞーー」


あが(あんなに)強い人間は、先にも後にも初めてじゃったからの。

最初は、

いけ好かん女じゃと思うたけど、

結局わっちは、コトハの事が好きになったけ」


「そりゃ、おめーーが、女が好きで、

コトハの顔が良かったからだろ?」


「ユン姉。

わっちは両方いける性質(たち)じゃ」


「知らんし」


「コトハの顔が良えと思ったんは事実じゃの。

ニホンから転移して来たって言っとったが、

他所(よそ)の世界の別嬪(べっぴん)も、

わっちは好きじゃ」


「リクっちもニホンから来たんだぞーー」


「え?そうなん?」


「地味だろ?笑」


「うっさいわ!! 気にしてんだぞ!!」


「見かけに()らんねぇ。

わっちは嫌いじゃないけど」


「え?そ……、そっすか?」


「なかなか可愛(かわえ)え顔しとるし、

わっちを見ても物怖(ものお)じを、しよらん(してない)し、(きも)が座ってて良えと思うがの?」


「違うよーー。

物怖じしてないのは、

怖さよりスケベが上回ってるからだよーー」


「どう考えても、

リク君が喜びそうなエッチなお姉さんッスもんね!」


「おい! 今、せっかく褒めてもらったんだけどな!?」


「あはは。

こんな亜人の女でも喜んでくれる?

サービスせんといけんかの」


「サ……、サービス……!!」


「やめとけーー。

すっからかんになるまで、吸いとられんぞ?」


「ふふふ。お姉さんが相手しちゃろか?」


ヤエファにそう言われて、

リクは様々な妄想が頭の中を駆け巡った。

ヤエファの(なまめ)かしい肢体を想像すると、

自然と顔が弛んでしまい、

それを堪えようと取り繕うのに必死になった。


「キモ。絶対想像してんだろーー」


「リク君。気持ちはわかるッスけど、

いやらしい事ばっかり考えてちゃ失礼ッスよ?」


「か……、考えてないわ!」


「あはは。揶揄(からか)った訳じゃ無いけ。

人肌が恋しくなったら、いつでも()んさい」


「はいはい。

リクっち、マジ童貞だから。

あんまり刺激すると、ヤベーーから」


「わっちは狐の亜人じゃけ。

惑わして狂わして、

メロメロの虜にするのが役割じゃ」


ヤエファはそう言いながら、

出された茶を一口(すす)った。



◆◆


「わっちもね。人を探しとるんよ」


「イファルで探してんのーー?」


「此処に居るんかは、わからん」


「探してるのって、どんな奴ーー?」


「ガコゼじゃ」


ヤエファが、

その名前を口にした瞬間、

ユンタは表情を曇らせて、

凍りついて、時間が止まってしまった様に、

そのまま黙り込んだ。


「憶えとるじゃろ?

裏切り(もん)の、

ガコゼの(じじい)じゃ」


ヤエファは、店員に声をかけて、

茶のお代わりを頼んだ。


「まだ、あの爺は平気な顔をして生き長らえとるんじゃ。

人間様に媚びを売って、甘い汁だけ吸うて。

あげ(あんなに)

ようけ(たくさん)仲間が死んだって云うのに、

(とむら)いもせずにの」


「お前………」


「わっちも、まさか、

未だガコゼが生きとるって知らんかったけ。

亜人の、

寿命が長いのが幸いしたの」


店員が茶のお代わりを持って来て、

ヤエファは、それを受け取った。


「昔、一度殺し(そこ)なっとるけ。

わっちが探しとるんに気づいたら、警戒するじゃろの。

それでも。

今度は逃がさん」


「ガコゼと関わってもロクな事になんねーーと思うけどな」


じゃけ(だから)殺すんよ。

そうじゃ。

ユン姉も一緒にやらん?

手伝って欲しいんじゃがの」


「やんねーー」


「ロウ兄が死んだのも、ガコゼのせいなんよ?」


「……。ロウウェンはそんな理由で死んだんじゃねーよ。

あんなクソッタレの名前で、

ロウウェンの最期を汚すな」


「ロウウェン……。

ユンタちゃん、ロウウェンって、まさかッスけど……」


「ロロちゃん。

あんたグラスランナーじゃけ長生きしとるんじゃね?

ロウ兄の名前を聞いた事あるんじゃの」


ヤエファが嬉しそうに、そう言った。


「あの、

西方諸国の昔話に出てくる(かた)ッスよね?」


「そうじゃ」


「『鬼火のロウウェン』」


「そうじゃ。

未だその通り名を聞けるとは、嬉しいの。

もう大昔の事じゃけ、誰も憶えとらんと思っとった」


「自分、吟遊詩人なんで古い歌とかも、たくさん勉強したッスから!」


「ヤエファ。もう大昔の事なんだぞーー?

亜人って云っても、いつかは死ぬんだ。

復讐とか、やめとけよーー」


「そう云う訳にはいかんの」


「何でだよーー?」


「わっちは、鬼火のロウウェンの妹じゃ。

ロウ兄は出来んくて、口惜しく思って死んだんじゃ。

わっちが代わりに、

ガコゼの身も心も、魂までも焼いて滅ぼしてしまわんとの。

転生さえも、叶わんくらいにの」


◆◆

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