第六十話『傾向。』
本日投稿の、
1話目になります!!
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瞼を閉じて、
眠ってしまったスイに、
シャオが遠慮がちに、
そっと声をかけていた。
「スイ……。スイ………。
まだ眠たいですか……?」
「……………ん。………シャオ。
わたし、眠ってしまってたんだね。
どのくらい時間が経ったかな?待たせてしまったね」
「いえ……。
そんなに長く寝てないですから……。
それより……。
私こそ、ごめんなさい……。
あんなに泣き喚いて……。
スイを困らせてしまいました………」
シャオが顔を臥せて、
恥ずかしそうにしながら、スイに言った。
ふ。
と、スイは短く笑って、
シャオの頭を軽く撫でた。
「もう泣き止んでいたんだね?」
「はい……」
「なんだか子供の頃に戻ったみたいだったなぁ。
それに今ね。
とても懐かしい気分になる夢を見ていた」
「子供の頃も……。
私、スイの前でたくさん泣いてましたもんね……。
昔の夢を見てたんですか?」
「うん。昨日の夜も見たんだ。子供の頃の夢」
「それで、なんだか楽しそうに寝ていたんでしょうか?」
「え?
わたし笑ってたりしたのかな?」
「とても穏やかな顔をしてて……。
なんだかむにゃむにゃと言っていた気がします」
「寝言も言っていたんだ。
恥ずかしいな……。でも素敵な夢だった」
スイは立ち上がり、背伸びをした。
少し眠ったことで、頭もスッキリとして、
胸のモヤモヤも、晴れた様な気分で、
調子を取り戻した様な気がしていた。
「シャオはさ。
ニホンの人たちは、
ニホンの人たち同士で、
自然と、お互いの存在を呼び寄せ合ったりしていると思う?」
「え?どうでしょう……。
イファルには、
余りニホンからの転移者が来た事がないですから……。
私にはちょっとわからないです……。
スイはそう思うんですか?」
「うん。
思っている。
最近だと、リクが来て、
おそらくミナトであろうイェンという男が現れて、
わたしは、
コトハさんの夢を立て続けに、二回見た。
わたしの期待もあるから、こじつけの様に思えるけどね」
「えーと……。
たしか、リクさんの前の方って、
ミズチさんって方でしたっけ?」
「そう。
ミズチさんが、こっちに来た時にはどうだったのかなぁ?
もしも。
その時にも、
何かニホンの人に関する事が、
ミズチさんに、
接触してきていたのだとしたら、
きっとニホンの人たち同士には、
何か、
そう云う法則めいたみたいなものが、
有るのかも知れない。
女神様の痕跡の発生が、
ニホンの人の転移に少なからず関与していると考えると、
あながち的外れでは無い気もしてこない?
そうすると、わたしは、
コトハさんに逢えそうな気がしてきて、なんだかとても嬉しい」
「ふふ。
スイ、とても楽しそう。
……可愛いなぁ」
「シャオ。
わたしは、絶対にコトハさんを見つけるんだ。
見つけて、連れて帰って、
いつかまたあの家で一緒に暮らすんだ」
「はい!
そうなったら……。
本当に、どれだけスイは幸せになれるんでしょうか……。
私もスイがそうなれるように、
本当に願っていますからね!
私、スイの為なら何でも出来ます!!」
「ありがとう。
君の様な優しい幼なじみがいてくれて、
わたしは幸せだなぁ」
スイは軽やかにそう言うと、シャオを連れて路地を出た。
「そんな……。
私の方こそ……ありがとう……。
私はずっと……スイを傍で支えていたいから……」
シャオは、顔を赤らめながらボソボソとそう言った。
スイに聞こえていたかは、わからなかった。
「とりあえずリク達を探そうか。
すっかり、はぐれてしまったね」
「私のせいで……。
皆さん、迷ってしまって、
困って無いと良いんですけど……」
「リクが特に迷子になりそうだね。
ユンタが、しっかり見ててくれてるさ」
「後で、ちゃんと謝ります!」
「あはは。
ユンタは、面倒見がとても良いからね。
きっと、気にして無いと思うよ」
「スイとユンタさんって、
いつ頃から知り合いなんですか?」
「わたしが、コトハさんに拾ってもらってからだからね。
すごく長い付き合いだよ」
「私は、まだその頃にはスイに出逢って無いですね」
「そうだね」
「なんだか、
スイと、ユンタさんに初めて逢った時の事を思い出します」
「懐かしいね。
ユンタには、子供の頃から、
ずっと優しくしてもらって、お世話になった。
わたしもコトハさんも、
きっと、
ユンタがいなかったら、
すごく困っていたかも知れない」
「優しい方ですよね」
「うん。
コトハさんには生活していく能力が、
壊滅的に無かったから。
ユンタがたくさん助けてくれて、
何とか二人で暮らして行けた。
ユンタが、コトハさんの友達でいてくれて、
本当に感謝しないと」
「ふふふ。
壊滅的って。
そうでしたっけ?」
「そうだよ?
掃除も洗濯も料理も、
コトハさんは、どれも苦手だったからね。
……わたしもなんだけど。
それに、
家計の遣り繰りも、
とっても苦手だった」
「何だか、
浮世離れしている方だなって印象は有りました」
「少し変わった人だったと思う。
でも、わたしは大好きだ。
ユンタの事も」
「ふふ。
それじゃ、早くユンタさん達を見つけてあげないとですね?
この都の事なら、
私に何でも任せてください」
シャオは、
そう言って笑って、
曲がりくねった路地を抜けると、
一際大きな通りへと、
スイを連れて歩いて行った。
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