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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第五十六話『夜更けと寝息。』

本日投稿の1話目になります!



(眠い……。何処か他で、眠れるところを探さないと……)


考えた結果、

夜が明けるまでには、

未だ、時間が有るので、

スイは、ユンタの部屋に行って、

一緒に寝ても良いか頼もうと考えた。


部屋を出る時に、

シャオが気持ち良さそうに眠る姿を見て、

舌打ちをしながら。


どの部屋も灯りは消えて、

誰もが寝静まっている時間に、

気をつけていても、

ギシギシと音を立てる、

宿の廊下を歩くと、

まるで自分が、

この夜の中に紛れ込んでしまった、

侵入者の様な気分になっていた。


ユンタの部屋のドアを静かに開けて、

ベッドの横に立ち、

眠っているユンタに、

小声で声をかけた。


「ユンタ……。ユンタ……」


「がぁーーー……。がぁーーー………」


「ユンタ……。起きて……」


「がッッッ!!!?

は!?

あ……。え……?スイ?……どしたん?」


半分以上、

開いていない眼を(こす)りながら、

ユンタがスイに言った。


「あ、ああ……。

トイレ?

ちょっと待って、今起きるからーーー……」


「ち……、違うよッッッ……。

子供の時と同じ事を言わないでよ……。

シャオが、

わたしのベッドに入って来て、

眠れなくて困ってるんだ……。

今夜だけ、一緒に寝ても良い?」


「なんだよーーー……。

そうだーー……。

スイは大人になったんだった……。

トイレは、ついてかなくても、

一人で行けるかーーー……。

いいよーーー……。

どぞどぞ……」


ユンタは、

寝ぼけた口調のまま、

掛け布団を(めく)ると、

スイに向かって手招きをした。


「昔の夢でも見てたの?」


「んーーー?

どーーだったかなーーー……。忘れた」


「ユンタ……。

夜中に、トイレについてきてもらっていた話とかは、

皆の前で、しないでね?」


「にゃはは。

わかったわかった。

まだ、ちっこい時だったもんね?

可愛かったなーーー」


「約束だよ?

わたしにも、一応恥じらいは有るからね」


「りょーーーかい」 


「さっき、コトハさんが出てくる夢を見たんだ」


「そーなん?」


「うん。すごく久しぶりに見た」


「そっかーーー。

それでエモくなっちゃって、

ユンタちゃんのところに来たんかーーー?

可愛い奴だなーーー。うりうり」


「ぷっ。

あはは。

ユンタ。くすぐったいよ。

それに、違うよ。

もう一度、寝ようとしたけど、

シャオが居て、眠れなかったんだよ」


「シャオちんも、健気で可愛いよなー」


「相手が自分じゃ無かったら、

とても微笑ましく見ていられるんだけれど……。

シャオは行動が突飛で、

極端なところがあるから……」


「ちゅーされたのまだ怒ってる?」


「………わからない。

とても恥ずかしかった。

わたしは、

恥ずかしくて仕方無かったのに、

シャオはケロッとしてる。

何だか不公平だよね」


「大好きなスイと、ちゅー出来たんだもん。

そりゃーー嬉しいでしょ」


「はぁ……。

シャオとこれから、

どうやって接して良いのか、

わからなくなった」


「あの娘は、多分変わんないからなーー」


「そうなんだよ。

はぁ……。冷たく当たりたい訳じゃ無いんだよ?」


「わかってるってーー。

シャオちんは変わんないだろーから、

元通りになるまで、

ゆっくり時間かけても大丈夫でしょ。

ウチも女と、ちゅーした事無いから、

どうしたら良いのか、わかんないのは想像出来るし、

辛くなったら、

ウチが相談聞くからさーー」


「うん。ありがとう」


「そんで。

どさくさに紛れてさーー、

話飛んじゃったけど、

あのイェンて奴が、

ミナトかも?って話だったよね」


「うん」


「もしもさ、ほんとに、

ミナトだとしたら、

ややこしくねーーー?」


「そうだね。

よくわからない宗教だか、

組織だかに所属していて、

使い走りのようなことをして、

変なマスクを着けている」


「しかも、ウチらに攻撃してきたもんなーー」


「記憶を失くしたって事なのかな」


「わかんねーーー。

何かの事件に巻き込まれたんかなーー?」


「でも、ミナトだからなぁ。

記憶を失くしたって、

思い込んでたりして」


「そーーーなんだよなーー。

()()ミナトだからなーーー。

リクっちとは、

また違うタイプのアホだったもんねーーー」


「うん。

えーと……。

なんだっけ?

あ。

『こじらせてる』だ」


「自分は勇者だ。って、

信じて疑わんかったもんなーーー」  


「彼は世界を救う為に、

旅に出たんだからね。

それが今では、

紆余曲折が有って、

変なマスクを着ける事になり、

下手な暗躍に精を出しているのかも知れない」


「うわーーー……。

だとしたら痛いなーーー……」


「あり得てしまうところが、

ミナトらしいね」


「しかも、アホだったけど、

強さだけは本物だったよねーー?」


「うん。

チート(天恵者)的な強さだった」


「スイには、頭上(あたまあ)がんなかったけどなーー」


「そうだったかな?」


「スイが怒るとさ、タジタジだったじゃん」


「あはは。

わたしの事が苦手だったんだよ」


「苦手な相手と、ちゅーしないでしょーー」


「それは……。

きっと何かの気の迷いだったんだよ。

それに、そんなに色っぽいモノでは無かったんだよ?

(くち)(くち)が、

たまたまぶつかったって感じで」


「童貞だったしな。笑

今度会ったらさーーー……。

ウチ聞いてみるわ……」


「うん……。

もし、本当にミナトだとしたら……。

何か……。

コトハさんに繋がる手がかりが……。

あるかも知れない……」


「そーーだとしたら、マジ嬉しいな?」


「嬉しい……。

コトハさんに逢いたいなぁ……」


「ウチも…………」


そして会話が途切れ、

スイとユンタの二人は、

身を寄せ合うようにして、

小さなベッドの中で、

お互いの温もりを、

心地良く感じ合いながら、

静かに寝息を立て始めた。


◆◆

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