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第四十八話『粉砕する。』

お疲れさまでした!!


本日更新の、最後の部分です!!


今更ながら、

活動報告のページも利用する事にしました!

ので、更新情報等、載せます!


今日も読んでくれた皆さん、

ありがとうございました!!





突然現れたシャオが、

美しい華奢な腕で、

ゴアグラインドを殴り飛ばす姿を見て、

リクは空いた口が塞がらない程に、激しく混乱した。


(シャ……シャオ?!

格闘が得意とは言ってたけど……、

なんか……、

俺の思ってるエルフのイメージと……、

だいぶ……、

いや……、

かなり違うんだけど!!?)


───スパァァッッッッッッンッッッ!!!


ゴアグラインドの顔面を、

正面から放ったシャオの拳が捉えて、

鼻を砕いた後、

追撃の左フックが、

鋭く顎を打ち抜いた。

ゴアグラインドの意識は、

そこで半分以上飛んでいた。


しかし、攻撃は(ゆる)められる事は無く、


「───ハァァァァッッッ!!」

と云う、

猛禽類のような、

シャオの咆哮と共に、

放たれた中段の蹴りが、

ゴアグラインドの脇腹に、

しなやかに叩き込まれた。


女の脚から放たれた蹴りとは、

到底思えない重たさだった。


ゴアグラインドは、

自分のあばら骨がひしゃげる様な、

(むご)い音を聴いた後に、

ヒューヒューと、

苦しそうな呼吸を繰り返しながら、

(うずくま)り、

もう、それから動く事は無かった。


シャオは、

まだ怒りに満ちた顔で、憎々しげに、

ゴアグラインドを見下ろしていた。



「すっ……すっごいッス!!!!

それに……!

また……、どえらい美人が来たッスね……!!

それにスイちゃんのお嫁さんって……? え……?

え?!

え?!

え?!!」


ロロがそわそわとしながら、

落ち着き無く、スイとシャオを交互に見た。


「シャオ……。

あの娘は……。おかしな事を大きな声で……。

それに……。

大体なんでわたしが男役なんだ」


スイが溜め息混じりにそう言った。


「え……?!

ええぇぇぇぇぇえええええええええ?!?!」


ロロが、口を手で隠して抑え切れない驚愕の声をあげた。



「我がパーティーに(あだ)()す、

不逞(ふてい)の輩と見受けられます。

容赦は一切しません」


信じられないくらいに冷たい声だった。


「シャオ。殺したらダメ」


スイが、ヨロヨロと立ち上がりながら、

シャオに声をかけた。


「スイッッッッッッッッッ!!!」


シャオが振り返って、

スイに駆け寄った。

頬を赤く染めて、眼を潤ませながら。


「ああ……!!

こんなに服も顔も泥だらけに……、ひどい……。

ごめんなさい!!

私がもう少し早ければ……!!!

……あの男の仕業なんですねッッッ!!!」



スイの土汚れを払ってやったシャオが、

歯軋(はぎし)りをしながら、

再び、ゴアグラインドの方に向かおうとしたので、

スイが腕を掴んで引き留めた。


「わたしは大丈夫だから。落ち着いて」


「でも……!でも……!!」


シャオは幼い子供の様に、

駄々を()ね、スイを上目遣いで見た。


「わたしは、

シャオに人を(あや)めて欲しくない。

それに。

あれだけやってくれたら、もう仕返しは充分さ。

来てくれてありがとう。

シャオの姿を見たら、すごくホッとしたよ」


スイが優しい口調で、

シャオを安心せるように微笑みかけた。


それを聞いたシャオは、

肩を震わせながらスイの肩に頭を置いた。


「スイ……………。

私……。

私!!

スイの事守るって言ったのにぃぃーーー!!

怪我させちゃったぁぁーーー!!!

ごめんなさいぃーーー!!

こんなんじゃスイのお嫁さんになれないぃぃぃーーー!!!

スイィィィィィィ!!

私の事、嫌いにならないでねぇぇぇーーー?!!!」


シャオは大声で泣きじゃくりながら、スイに抱きついた。


「危ないところを助けてくれたじゃないか?

お嫁さんにはなれないと思うけど、

嫌いになるわけが無いでしょ。

わたしは君に感謝しているよ。シャオ」


スイはシャオの背中に手を回し、

赤ん坊を寝かしつけるように優しく背中を叩いてやった。


「ズーーーーイーーーーーー!!

ぅわああーーーーんッッッ!!

ぅわぁああぁーーーーんッッッ!!」


シャオは、

涙で顔をくしゃくしゃにして、

スイに抱き締められながら、

母親に甘える子供の様に泣き続けた。


「キィィィィィャヤァァァァァァァァッッッ!!!!」


その様子を見たロロが、

頬に手を当てて歓喜の雄叫びを上げた。

二人の様子を見守るロロの表情は、

眼を輝かせる乙女の(それ)だった。


「ロロ子って、色恋の話好きだなーーー」


そう言いながらも、

ユンタもニマニマと表情を崩しながら、

心躍る様子で、楽しそうにしていた。


「な……、なにが一体どうなってんスか?!

あの美人なお姉さんは、スイちゃんのお嫁さんで……、

スイちゃんがイケメンで………、

お、女の子同士なのに?!!

え?!

そ、それに、リクくんとは?!

どうなっちゃってんスか!?!?

パ、パーティー内で、

さ、三角関係なんスか?!

た……、

(ただ)れてるッスーーーッッ!!」


「めっちゃテンション上がってる笑」


「俺……、

城の宴の時に、

シャオと戦わせられてたら……、

マジで死んじゃってたんじゃないの……?」 


リクは、

スイに抱きついて、

未だ、グスグスと泣き止まないシャオを見て、

一人、背筋が凍る思いをしていた。


◆◆

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