第四十八話『粉砕する。』
お疲れさまでした!!
本日更新の、最後の部分です!!
今更ながら、
活動報告のページも利用する事にしました!
ので、更新情報等、載せます!
今日も読んでくれた皆さん、
ありがとうございました!!
◆
突然現れたシャオが、
美しい華奢な腕で、
ゴアグラインドを殴り飛ばす姿を見て、
リクは空いた口が塞がらない程に、激しく混乱した。
(シャ……シャオ?!
格闘が得意とは言ってたけど……、
なんか……、
俺の思ってるエルフのイメージと……、
だいぶ……、
いや……、
かなり違うんだけど!!?)
───スパァァッッッッッッンッッッ!!!
ゴアグラインドの顔面を、
正面から放ったシャオの拳が捉えて、
鼻を砕いた後、
追撃の左フックが、
鋭く顎を打ち抜いた。
ゴアグラインドの意識は、
そこで半分以上飛んでいた。
しかし、攻撃は緩められる事は無く、
「───ハァァァァッッッ!!」
と云う、
猛禽類のような、
シャオの咆哮と共に、
放たれた中段の蹴りが、
ゴアグラインドの脇腹に、
しなやかに叩き込まれた。
女の脚から放たれた蹴りとは、
到底思えない重たさだった。
ゴアグラインドは、
自分のあばら骨がひしゃげる様な、
惨い音を聴いた後に、
ヒューヒューと、
苦しそうな呼吸を繰り返しながら、
踞り、
もう、それから動く事は無かった。
シャオは、
まだ怒りに満ちた顔で、憎々しげに、
ゴアグラインドを見下ろしていた。
「すっ……すっごいッス!!!!
それに……!
また……、どえらい美人が来たッスね……!!
それにスイちゃんのお嫁さんって……? え……?
え?!
え?!
え?!!」
ロロがそわそわとしながら、
落ち着き無く、スイとシャオを交互に見た。
「シャオ……。
あの娘は……。おかしな事を大きな声で……。
それに……。
大体なんでわたしが男役なんだ」
スイが溜め息混じりにそう言った。
「え……?!
ええぇぇぇぇぇえええええええええ?!?!」
ロロが、口を手で隠して抑え切れない驚愕の声をあげた。
「我がパーティーに仇為す、
不逞の輩と見受けられます。
容赦は一切しません」
信じられないくらいに冷たい声だった。
「シャオ。殺したらダメ」
スイが、ヨロヨロと立ち上がりながら、
シャオに声をかけた。
「スイッッッッッッッッッ!!!」
シャオが振り返って、
スイに駆け寄った。
頬を赤く染めて、眼を潤ませながら。
「ああ……!!
こんなに服も顔も泥だらけに……、ひどい……。
ごめんなさい!!
私がもう少し早ければ……!!!
……あの男の仕業なんですねッッッ!!!」
スイの土汚れを払ってやったシャオが、
歯軋りをしながら、
再び、ゴアグラインドの方に向かおうとしたので、
スイが腕を掴んで引き留めた。
「わたしは大丈夫だから。落ち着いて」
「でも……!でも……!!」
シャオは幼い子供の様に、
駄々を捏ね、スイを上目遣いで見た。
「わたしは、
シャオに人を殺めて欲しくない。
それに。
あれだけやってくれたら、もう仕返しは充分さ。
来てくれてありがとう。
シャオの姿を見たら、すごくホッとしたよ」
スイが優しい口調で、
シャオを安心せるように微笑みかけた。
それを聞いたシャオは、
肩を震わせながらスイの肩に頭を置いた。
「スイ……………。
私……。
私!!
スイの事守るって言ったのにぃぃーーー!!
怪我させちゃったぁぁーーー!!!
ごめんなさいぃーーー!!
こんなんじゃスイのお嫁さんになれないぃぃぃーーー!!!
スイィィィィィィ!!
私の事、嫌いにならないでねぇぇぇーーー?!!!」
シャオは大声で泣きじゃくりながら、スイに抱きついた。
「危ないところを助けてくれたじゃないか?
お嫁さんにはなれないと思うけど、
嫌いになるわけが無いでしょ。
わたしは君に感謝しているよ。シャオ」
スイはシャオの背中に手を回し、
赤ん坊を寝かしつけるように優しく背中を叩いてやった。
「ズーーーーイーーーーーー!!
ぅわああーーーーんッッッ!!
ぅわぁああぁーーーーんッッッ!!」
シャオは、
涙で顔をくしゃくしゃにして、
スイに抱き締められながら、
母親に甘える子供の様に泣き続けた。
「キィィィィィャヤァァァァァァァァッッッ!!!!」
その様子を見たロロが、
頬に手を当てて歓喜の雄叫びを上げた。
二人の様子を見守るロロの表情は、
眼を輝かせる乙女の顔だった。
「ロロ子って、色恋の話好きだなーーー」
そう言いながらも、
ユンタもニマニマと表情を崩しながら、
心躍る様子で、楽しそうにしていた。
「な……、なにが一体どうなってんスか?!
あの美人なお姉さんは、スイちゃんのお嫁さんで……、
スイちゃんがイケメンで………、
お、女の子同士なのに?!!
え?!
そ、それに、リクくんとは?!
どうなっちゃってんスか!?!?
パ、パーティー内で、
さ、三角関係なんスか?!
た……、
爛れてるッスーーーッッ!!」
「めっちゃテンション上がってる笑」
「俺……、
城の宴の時に、
シャオと戦わせられてたら……、
マジで死んじゃってたんじゃないの……?」
リクは、
スイに抱きついて、
未だ、グスグスと泣き止まないシャオを見て、
一人、背筋が凍る思いをしていた。
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