第四十六話『凶行と積算。』
おはようございます!!
昨日の投稿分の
サブタイトルの話数表記を、ずっと間違えて記入してました!
42話と43話がたくさん有りました……
昨日は42話~45話までの投稿でした!
紛らわしくてすみません!!修正しときました!
◆
──『反響する悪意!!!』
───ズドンッッッ!
衝撃波を断続的に放つ攻撃魔法が、
鈍い音を響かせて、イェン吹き飛ばしていった。
「ペラペラペラペラとうるせぇんだよクソが!!!
てめぇも、この連中も全員ブチ殺してやるからよ……!!」
ゴアグラインドの眼には、
もはや正気の欠片は残っていないように思えた。
彼は本当に、
自分の命と引き換えに、
この場に存在する者全てを皆殺しにするつもりだった。
───『終曲不協和音!!!』
ゴアグラインドが再び呪縛魔法を放った。
全員が膝から崩れ落ち、
地面に叩きつけられるように倒れてしまう中、
ロロだけが、やはり持ちこたえていた。
「……ううッッッ!!!
ぐぐぐぐぐぐ……!!!
ま、負けないッスからね……!!!」
───『反響する悪意!!!』
───『慈愛の風壁!!!』
ゴアグラインドが魔法を放つと同時に、
スイが防壁魔法を発動させ、
ロロを攻撃から守った。
「ス……スイちゃん……ありがとうッス!!!
今……、
呪歌を、もう1回歌うッスからね……!!」
「間に合って良かった。
それにしても、
魔法を同時に発動させた。
同時発動のスキルが無いのなら、自殺行為だ。
本当に、命掛けの攻撃を仕掛けてくるね」
───『歪曲した衝撃波!!!』
───ヴヴゥゥンッッッ!!!
今度は、防壁魔法が間に合わず、
スイたちは衝撃波に襲われ、
───『反響する悪意!!!』
間髪を入れずに、
ゴアグラインドが攻撃魔法を放ち、
スイたちは散り散りに吹き飛ばされてしまった。
「……ッッッてぇぇぇーーー………!
ちょ……、マジでヤバくねーーー?
ハァ……。ハァ……。
あいつマジで後先考えずに…、
ハァ……、撃ちまくってくんだけどーーー!」
「……ハァ……ハァ……。
凄まじい……、ハァ……、執念だね。
ハァ……、負担は、相当なものだろうにね……」
「……ゼェーーー……、ゼェーーー……。
これって……、マジでやばいよな……?
こっちが持たなくないか……?」
「……みんなゴメンッス………!
自分が回復させたばっかりにこんな事になっちゃって……!
みんなの足引っ張って……、
ほんと自分が、頭悪すぎて嫌んなるッスーーー……!!!」
ロロは大粒の涙をポロポロと流しながら、
大声で泣き出してしまった。
「ロロ子。心配無いよ。てかヨユーだし」
「ロロは悪くない。だから、泣かないで」
「いや!ロロのこと誰も責めてねえよ!」
思わず大声で泣いてしまった、その声を聞いた途端に、
三人は声を揃えて自分をフォローしてくれた為に、
ロロは自分の不甲斐無さに、
余計に涙が止まらなくなってしまった。
「う…うううぇ……、びぃえぇぇーーーーーんッッッ!!
びぇえぇぇぇーーーーーんッッッ!!!」
◆◆
ゴアグラインドは、
自分の身体が崩れ出しているような感覚に陥っていた。
魔法を一つ放つ度に血反吐を吐き、
音を立てて、近づいて来る死の足音を、
ハッキリと聞き取る事が出来た。
それでも、
彼は攻撃の手を緩めるつもりは無かった。
自分を虚仮にした連中を殺せさえすれば、
あとの事は、本当にどうでも良いと思えた。
そして、ゴアグラインドは呪縛魔法の出力を上げた。
先程はうまくいかなかったが、
自分の生命を差し出して、蝕ばませてまで得た力によって、
スイたちの身体を、
更に抑えつける呪縛が発動する事が出来た。
地面に身体がめり込んで行くほどの重圧で、
耐えきれずに、痛みの悲鳴をリクが上げたことで、
ゴアグラインドは、残忍な笑みを浮かべて、
その様子を本当に嬉しそうに眺め、
己の、狂った嗜虐心が満たされるのを感じていた。
「もう、おめぇらも限界だなぁ?
さっきの妙な魔法も使えねぇ。
このスキルを教えてやろうか?」
悦に入り、
ニヤニヤとしたゴアグラインドの表情を見て、
スイは露骨に顔をしかめた。
「ちっ」
「舌打ちした笑
つってもーー……。ゼェ……、お前も長くは持たねーーだろ?
ゼェ……、ゼェ……。
ホントは失敗ったって、思ってたりしてーー」
「俺が死ぬより先に、おめぇらが挽き肉になる方が早ぇ」
ゴアグラインドは冷静だった。
ユンタの言う通り、彼の身体は朽ち果てていく寸前だったが、
妙な事に、意識だけは、ハッキリと冴え渡っているのだ。
意識がハッキリしている為、
傷んで行く、ボロボロの身体の感触は、
気味が悪くて仕方なかった。
「こんなクソみてぇな思いをさせられたんだ、
おめぇらは、もっと酷い目に遭ってもらうぜ」
「知るか。
くたばるんなら、勝手にしろやーー。
スイーー。
一か八か、ウチが仕掛けるから、
隙が出来たら、二人を連れて逃げて」
「そんなの、わたしが言う事を聞く訳無いよ。
魔力が殆ど残ってないのは、一緒だからね。
それに、
わたしは誰一人として欠けさせるつもりは無い」
「綺麗事抜かしやがって。
誰か、一人だけは助けてやるなんて言わねえからな。
仲良く全員でくたばりな」
「君は存外、忘れっぽいんだな。
わたしとユンタだけが戦力だと思っているなら、
大間違いだよ」
「けっ。
おめぇのハッタリは、もう聞き飽きたぜ。
ロロだって、連発して、喉はボロボロの筈だ。
もう呪歌を歌えねぇだろ?」
「安心したよ。
最初から最後まで、君の頭が悪くて」
「この野郎……!!」
「リク!!!」
威嚇する様に、スイがそう叫んだ。
ゴアグラインドは見落としていた。
スイとユンタの魔力が大き過ぎた為、
密かに、その傍らで、
積み重ねる様にして、
練られ続けていたリクの微弱な魔力を。
───『技能賃貸!!!!』
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