第四十一話『合間。』
読んでくださった皆さんありがとうございました！！
明日からもポツポツ投稿しますので、
また読んでいただけら嬉しいです！！
おやすみなさいー
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「おい！！ 女！！！！」
ゴアグラインドは、召使でも呼びつける様に、
スイに向かって怒鳴り声をあげた。
その声は、とても不愉快な響きを持って、
周囲の者を苛立せるものでしか無かった。
「なんだよもう……。
そんなに大きな声で呼ばなくたって聞こえてるよ……」
「俺に選べったって、俺が村人の居場所を教えた途端に、
お前が裏切らねえとは限らねえ」
「それで？」
「お前が、俺の安全を保証するって証拠を見せろ」
「卑屈で臆病な上に、おまけに偉そう」
「うるせえ！！」
「保証って何？どうして欲しいんだい？」
「ロロだ。ロロに俺を回復させろ！！
腕が痛くて仕方ねえ！！」
「やり過ぎてしまったかと思ったけど、
君は随分元気だね」
「黙れ！！ 痛ぇって言ってんだろうが！？」
「幾ら、君が性根の腐り切った存在だとしても、
死なれては寝覚めも悪い」
「だから早くしろよ！！」
「だけど、君とイェンを、
わたしはとても危険な存在だと思ってる。
果たして、傷を治療したりして、
これから先に、君達が、この国にまだ被害を与える様なら、
わたしはロロに、それをお願いする事はしない」
「はァ！！？」
「いいかい？
わたしはこう見えて、今とても怒っているんだ。
仲間をいたずらに傷つけられた事も、君の傲慢な態度にも」
「村人がどうなったって良いのかよ！！？」
「良くないさ。
でも、わたしは精霊使いだよ。
精霊を使って、この森を隈無く探知をする事くらいはする」
「クソッッッ！！ おい！ ガキ！！
ニホンから来たガキ！！」
「お……俺？」
「この精霊使い何とかしろよ！！
お前の女なんだろ！！？」
「は……はァ！！？ 違うわ！！」
「この女マジでヤベえじゃねえか！！！
しっかり言う事聞くように言っとけよ！！」
「だから違うっつってんだろ！！
なんなんだよお前！！ 敗けそうになったからって、
必死すぎる！！」
「ああん！？」
スイはその様子をジトッとした眼で、
黙って眺めていた。
「え！？ スイちゃんとリク君って付き合ってるんスか！？」
「違うよ。ゴアグラインドが何か勘違いしてるんだ」
「嘘吐け！！ さっきイチャついてたじゃねーか！？」
「ええ！？ ふ……二人で何やってたんスか！！？」
「ロロ。少し落ち着いて？」
「にゃはは。ロロ子、めっちゃ食いつくじゃん」
「はぁ……。違うのに。なんか疲れちゃったな……。
ロロ。全快しない程度に、
ゴアグラインドの傷を回復させる事は出来るかな？」
「え？出来ると思うッスけど……。
大丈夫なんスかね？
元気になって、また皆を傷つけるのは困るッス！」
「ここまで消耗してたら、心配は無いと思う。
とにかく、早く村人達を助けてに行こう」
「それより、あっちの方どうするーー？」
ユンタがイェンの方を指差していた。
「そろそろ動けなくさせるのも限界じゃね？」
「どうしようか。
魔法を解いて、襲いかかって来る彼を撃退……。
出来そう？」
「いやーー。正直、もうヘロヘロなんだーー。
スイは？」
「わたしも無理かな」
スイはそう言って、イェンを動けなくさせていた魔法を解いた。
「……良いんですか？ もう貴女達は限界だと、
今言ってましたよね？」
イェンは、スイの本心を探るようにそう訊いた。
「うん。
だから、一旦休戦にしたい」
「僕がそれを受け入れるとでも？」
「身体は動けなくても耳は聞こえてただろう？
さっきの話、ちゃんと聞いてた？」
「え。ええ……。まあ……」
「わたし達は戦えないと言って、
それでも君を自由にしてあげた。
この意味がわかるだろうか？」
「すみません。わかりません」
「戦えないと言っている人間を、
君は無理矢理に戦わせるつもりなのかい？
一体、何をどうしたら、そんな思考に辿り着く事が出来るのか、わたしにはとても疑問だ」
「て……敵だからでは無いでしょうか？」
「疑問だ。
その敵に、お情けで自由を与えられておいて、
感謝するどころか、再び攻撃を仕掛けようと思うなんて」
「え……。ええぇ……？」
イェンは困惑した。
スイの言葉の意味が、全くわからないのだ。
それなのに、スイはとても堂々としたもので、
その姿が、更にイェンを惑わせる事になった。
(僕がおかしいのだろうか……？
この女は、一体何を言っているんだ……？)
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