第二十六話『魔獣と命乞い。』
こんばんわ!!
今朝の投稿(25話)の続きになります!!
あともう1話、後ほど投稿します!!
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ツァンイーはトナカイの魔獣に睨みつけられて、
その場に座り込んでしまって動く事が出来なくなってしまった。
トナカイの名前は、クラウンレインディア。
元々は北方に生息しており、
その地を支配していた魔族を尽く撃ち破っり、
数多の伝承を残した、巨大な魔獣だ。
「炎は消えた。フーが魔族の女をどうするか聞いている」
クラウンレインディアは地鳴りの様な声を発して、
自分の毛皮の中に匿う様にして、
護っていたユンタにそう尋ねた。
「プハーーー!!
暑かったーーー!!
サンキュー!! トナちゃーーーん!!
熱くなかった??」
ユンタがトナの毛皮の中から転げ出てきた。
その奥にはチャガマを抱いたロロの姿があった。
「す、すっごい大きなトナカイさん!!ありがとうッス!!」
「トナ。ありがとう」
「熱くも痒くも無かった。
ただ、呼び出すのがギリギリすぎる。危ないぞ。
ユンタは炎に馴れすぎている」
「わりーーー。ごめんてーーー」
「ええ、ええ、ええ。
あの、すみません。
ユンタさん聞こえてましたかね?
ええ、ええ、ええ」
「あーーーフーちゃんもわりーー。聞こえてたよ。
女神の痕跡がそいつの腹ん中にあるかもなんだろーーー?」
それを聞いたツァンイーが慌てて弁明をした。
「し、知らない!!
ツァンイーは本当に知らない!!
とツァンイーは思う!!」
「ええ、ええ、ええ。
しらばっくれてるわけじゃあなさそうですな。
おそらく本当に気づかないまま飲まされたんでしょうな」
「そっかーーー。
やたら強えーなーて思ってたんだけど、
それが理由だったんかーーー」
「ええ。ええ、
悪趣味な趣向を凝らしてますな」
「ちょーど良かったわ。
ウチら痕跡の事探してたんだから、
ついでに吐き出させてゲットしちゃおーーぜ」
「ええ。ええ、
食べ物が詰まってるのとは訳が違いますからな。
彼女にかかってる術式を解かないと無理でしょうな」
「どーやって解くんだよーー?」
「ええ、ええ、ええ。あたしが知らない訳ないでしょう。ええ、ええ、ええ」
「相変わらずよく喋る。
御託は良いから、さっさとやれ」
トナがフーにそう言った。
「はい、はい、はい。
久しぶりに会ったと思ったら、ものすごく無礼。
相変わらず生意気なトナカイですなぁ」
「ユンタ。
一刻も早くこの喧しい熊との契約を解除した方が良い」
魔獣同士のやりとりに不安そうにしながら、
ロロはチャガマに尋ねた。
「フーさんとトナさんは仲悪いんスか?」
「悪い。いつも顔を合わすと、喧嘩になる」
「ええ。ええ。
あたしは悪か無いんですよ?
大体、先に喧嘩をふっかけて来るのはトナカイですからね」
「お前がふざけて、いい加減な事ばかりしてるからだ。
大体さっきだって、さっさとケリをつけてたら良かったんだ。
契約者を無駄に危険に晒すな」
「はいはいはい。
相変わらず生真面目な事ですな。 この頓痴気、あたしがそんなドジやると思ってんですかね?」
「呆れたな。
そんな判断もつかなくなるほどに老いたか。
それとも魔法を喰い過ぎて、おかしくなったか?」
「あーーー!
もーーーいーから!!
ウチ今動けないからーーー!」
「ええ、ええ、ええ。
そうでしょうそうでしょう。
ユンタさんの身体の自由が効くのは三体目までですから。
早くトナを引っ込めてやってください。ええ、ええ」
「黙れ。お前が引っ込め老害」
「ええ、ええ、ええ。
口の聞き方を知らないこのバカトナカイ。ええ、ええ」
「喧嘩すんなーーー!!」
「ええ、ええ、ええ。
それでは魔族のお嬢さん。
女性に手荒い事をするのは趣味じゃないんですがね。
少々我慢していただきますよ。ええ、ええ」
ジリジリと近づくフーを見て、
ツァンイーは金切り声をあげて威嚇した。
「く、来るな!!
お前……なんか気持ち悪い!!
だから来るな!!
とツァンイーは思う!!」
「ええ。ええ、ええ
まるで変質者扱いですな」
「おい!! 亜人!!
頼むからコイツを近づけないでくれ!!
とツァンイーは思う!!」
「さっきまでの調子こいてた時と大違いだなーーー?」
「だって聞いていただろう!!?
ツァンイーはイェンに騙されていたんだ!!
だからツァンイーは悪くない!!
とツァンイーは思う!!」
「大体さっきのイェンって奴なんなんだよ?
なんかキャラ作ってて、超キモかったんだけど?笑」
「よく知らない。
金をくれると云うから、
ソーサリースフィアに入ったばかりだ。
此処に来る前に初めて会った。
だから知らない。
とツァンイーは思う」
「金欲しさに、ロロ子の村襲ったのかよ?」
「ツァンイーはアイツの指示に従っただけだ!!
それに誰も殺したりしてない!!
それなのに、よってたかってツァンイーを苛めるのか!!?
あんまりだ!! ツァンイーが可哀想だ!!
とツァンイーは思う!!」
「お前も相当キモいんだけどーーー。
さっきの約束破ったのも許した訳じゃねーーからな?」
「黙れ!!
悪いのはツァンイーじゃない!!
とツァンイーは思う!!」
「情緒どうなってんだよ。
何か白けちゃったなーーー。どうしようかね?」
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