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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第六章 『巡アラウンド・ザ・クロック』
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『信頼を寄せる。』



(グニグニしてて柔らかかったな)


リクは惚けた様な顔で、

そんな事を考えていた。


「『ヤダヤダ言ってた割には、

なんだかんだ乗り気だったじゃねぇか』」


リクの背後から声が聴こえる。


「うるせえな。つーかお前、人前で喋んなよ?」


そう言ってリクが振り返ると、

そこにはカワウソと何かを足して2で割った様な、

羽の生えた生物が宙に浮いていた。


「『喋る使い魔なんて珍しくも無えぞ?』」


「見た目と声が合ってねえ」


「『オメーが意識を貸したくねえって言うからだろ?』」


「たりめーだ!!」


ミズチの服を脱がして、

彼女の下着姿を見た後に、

リクは躊躇して手が止まってしまい、

痺れを切らしたリクの中の声(スキル)が意識を乗っ取ろうとしたのだが、

それを拒否され更に、

アレコレと頭の中で指示されるのをリクが嫌がった為、

リクですら、その存在を忘れていた、

ウーたん(魔族の使い魔)に、

その意識を移していたのだ。


その後結局、

ウーたんの身体を乗っ取った彼ら(スキル)から、

事細かく手ほどきを受ける事になったのだが。


「『まア、魔力を貰うのは成功だな。

アメビックス(魔族)の術式に入り込んだものの、

どこかのタイミングで弾かれるかと思ったけどよ、

もうアメビックスの支配が及ばなくなっちまった。

使い魔に供給してる魔力より、

お前の魔力の方が量が多かったんだな。

あの女(ミズチ)、思ったより魔力を持ってやがった』」


「確認だけどさ、死んでないよな?」


「『死んでねえ。つっても、

殆ど根こそぎ奪ってやったからな。

しばらく足腰立たねえ』」


リクはミズチに閉じ込められた部屋から、

既に脱出していた。


しかし、

扉を出ても、そこには無数の扉が立ち並ぶ、

長い廊下が無限に続く様な、

見知らぬ空間が広がっていた。


「『想定内だけどな』」


「ほんとかよ?もう随分歩いてんぞ?」


「『アメビックスの工房(ブティック)も一緒だったろ?

空間拡張魔法だ。

似たような景色ばっかで気が滅入るかもだけどよ、

この手の魔法は術者が近くに居ねえと、

底は直ぐに見えてくるもんだ。

俺達が部屋を出ると自動で発動する様に、

ミズチがトラップを張ってたんだろうな。

だけど、こりゃ装置で張られた魔法だ。

装置を壊せば消える』」


「その装置までが遠くね?」


「『うるせえ野郎だな。黙って言う通り進め。

そこの右手のドア開けろ』」


「ほんとに合ってんのかよ……。

おんなじ景色ばっかで飽きたんだが?」


「『オメーこそ、ほんとに感知出来てねーのか?

基礎魔法も覚えろ。死ぬぞ』」


「出来てねえよ。どうやんの?」


「『呆れたな。今まで散々見てきただろうが』」


「教えろよ」


「『出来るからやってみろ』」


「だから、わかんねえって……」


そう言いながらもリクは、

なんとなく眼を閉じて、

眉間に皺を寄せながら、

某レーダーを頭に思い浮かべ、

眼に見えない気配を探るイメージをしてみた。


声の言う、

右手のドアの奥の部屋、

映像的なものは全く浮かばなかったが、

熱源が其処に在る様な、

身体の奥を少し波立たせる気配を感じる事は出来た。


「コレ?この何か熱そうなやつ?」


「『それだな。

でも今後は熱いか冷たいかは考えんな』」


「何でよ?」


「『逆感知って魔法も在るからな。

こっちがイメージした感覚を掴まれて、

魔力の質が読まれる。

そうなると厄介なんだ』」


「どうなるん?」


「『まア、魔法使いとしちゃ終わりだな。

思考のパターンから、魔法の系統、

能力の手の内まで全部バレちまうかも知れねえ』」


「そんなん説明も無しにやらせんなよ」


「『オメーのヘボい感知じゃ、

未だ魔法の体を成してねえから平気だ』」


「皆、そんなの考えながら感知してたのか」


「『魔法使いってのは最初に神経をやられるからな』」


「怖えーよ」


「『だけど覚えろ。

見た能力を再現しようとするのがオメーの強味だ。

本来なら短い詠唱が要るが、

スキルレンタル持ちのオメーなら端折れる』」


「俺、スキルレンタル使ってねえぞ」


「『馬鹿だな。

ステータスが上がってんのが判んねえか?

それに、さっきあんなこと(閨中術)しただろうが?

魔力で支払える対価なら、

第三の声(アンサイクロペディア)が知ってる魔法は使える』」


「マジか」


「『でもミズチも言ってたけどな、

オメーの能力はそれで百点って訳じゃねえ。

一人でシコシコやって満足すんなら差し支え無えが、

対人でスキルレンタルを成功させなきゃ、

俺達が居る意味も無え』」


「つってもなぁ」


「『対価』」


「は?」


「『ミズチの話聞いてたか?

要は対価だ。スキルレンタルの肝は、

てめえの魔力の消費だけじゃねんだよ。

相手に支払う対価を考えろ』」


「それがよく解んねえだけど」


「『あのなぁ、対価ってのはな、

要求に釣り合う報酬の事だろ?

相手の要求を見極めろ』」


「……はいはい」


「『何だお前?俺の事疑ってんのか?』」


「いんや。でも相手の要求て?

そんなん敵が教えてくれるんか?」


「『そりゃ当然の疑問だな。

そこでだよ。()()()()()()()()()()()()()()()』」


「第五の声?」


「『そうだ。オメーなら出来るだろ?

ナビゲーター、インストラクター、

アンサイクロペディア、スキャナー。

自分に都合の良い自分を造り続けてきたんだ、

オメーなら出来る。

造れ。相手の要求を知る声を』」


「また無茶な」


「『無茶なもんか。

お前なら出来る。信じろよ。

俺はお前なんだぞ?

自分で自分を信じなくて、

()()の事なんて、

他の誰が信じてくれんだよ?』」


「……」


◆◆


♪英リサ『APT.』


この曲知らない人居たら、

YouTubeで検索してみて。

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