表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第五章 『ワールドエンドプレイヤーズ』
160/237

『祝音。』

本日(3/15)の投稿分です!


時間ある時にどうぞー



「ち……、違うが!? 断じて違うんだが!?」


イズナは明らかに取り乱しながら、

コトハの指摘を否定している。


(イズナ)は転移者などでは無い!

貴様(コトハ)こそ転移者だろう!?」


「うん。だからそう言ってる」


「クッ……! 卑怯な……!!」


「ひょっとして君は転移者である事を隠しているのかな?」


「そそそそそ……、そんな訳あるか!!」


「慌てている。絶対にそうじゃないか」


「くッ……!! 

南方司教である、

このイズナをここまで追い詰めるとは……」


「僕は何もしていないよ」


「少しは察したまえ! 

転移者である事を悟られない様にと教わったんだ!」


「誰に?」


「それは教えられん!!」


「まあ、聖域教会の誰かかな」


「何故それを!?」


「君はネイジンに転移した日本人で、

そこで君をエスコートした聖域教会の人間が、

この世界でそう振る舞う様に教えたんだね?」


「き……、貴様はエスパーか何かなのか……!?」


「うん。そう。君の考えてる事なんてお見通しさ」


コトハは面倒臭くなったのか、

若干投げやりな言い方だった。


「そ……、そんなバカな……」


イズナから膝から崩れ落ちてしまい、

我を失った様に茫然としている。


「貴様がエスパーだとしたら……、

私に勝ち目は無いではないか……」


「イズナ様!? お気を確かに!!」


「それじゃ、僕の勝ちって事で良いかな?」


「コトハ……、確かに私の負けだ……。

だが、此処を通す訳にはいかないんだ……。

私に委ねられた宿命が、そう私に語りかける……」


「言っている意味がよくわからないけど、

国境の警備が厳しいと云う事は、

何か大きな戦でもあったのかな?

僕はエスパーだから、

君が教えてくれなくたって、勿論わかるんだけどさ」


「そこまで既に知られていると云う訳か……。

敵ながら天晴れだ……」


「中央諸国と、南方の国の関係は悪くなかったと記憶しているんだけれどね。

僕が知り得るのは七年前の情報だけど」


「確かに国交は貴様の言う通り、悪くなかった。

だが、この戦はそれとはまた違う。

イファル、ウクルクを中心とした国々が、

我が聖域教会へ牙を剥いたのだ。

決して許される事では無い。

これは女神の意思の下、

導かれる我々(聖域教会)が、

それに準じない悪しき輩どもを打ち砕く為の聖戦なのだ」


「それで、君達(聖域教会)はこの街を封鎖して、

中央諸国に攻め込もうとでもいうのかな?」


「フッ……!

それは違う。攻め込もうとしているのは、

中央(イファルやウクルク)の方だ」


「イファルやウクルクが?」


「そうだ。

奴らは事もあろうに、聖域教会に棄教を宣言した。

教会への信仰を禁じ、信徒への明確な刑罰、

教会設備の廃絶、そして、

教会の宣教師が使用する転移門の破壊だ。

これは立派な侵略だ。

この街をはじめ、

南方には信仰心に篤い国々が多数存在している。

それらの、

どの国も我々聖域教会の本部と繋がるゲートを所有している。

中央は南方、いや、信徒の多い国々に攻め込んで、

次々にゲートを奪うつもりなのだ。

我々はそれを防ぐ為に、この街に馳せ参じたのだ」


「それだけ聞くと、

まるで中央が悪い様に聞こえるけれど、

事情を知っている人間からすれば、

長年の不満が爆発したって事にも捉えられる」


「不満だと!?

それはあり得ない!!

我らの信仰心を捧げる最高位の神は、

あの女神だぞ!?

唯一無二の絶対の存在だ!!

我らに異を唱えると云う事は、

女神の存在を否定し、冒涜するのと同義だ!!」


「そういうとこじゃないかな?

一つ疑問が有るんだけど、

君はどうして、

そんなにも、あの宗教にのめり込む事が出来たのだろうか?

僕が元々、そういう事に関心が薄いのだとしても、

理解が出来ない。

洗脳でもされているんじゃないかなと、

どうしても訝しんでしまうんだけれど」


「フッ……!

()れた事を。

理由など他ならぬ、

私が転移者であるからに決まっているだろう」


「それはどういう意味なんだろう?」


「何だ?コトハ、貴様、知らない訳でもなかろう?

我ら転移者が、

いかに女神からの加護の恩恵を受けているのかをだ」


「知らない」


「そんなにも強い魔力を持っているのにか?

まさか、祝音(コード)の事も何も知らないとでも言うつもりか?」


「コード?」


「まさか……。そんなまさかな……?

いや、有り得るのか……?

女神の意思が、

教徒で無い者には伝導されていないというのか……?」


「一体何がなんだか、まるでわからない。

もし良かったら教えてくれないかな?」


「……。どうやら本当に何も知らないのだな。

とても恐ろしい事だ。

いいか?

我々、転移者は女神からの加護を、

この世界の者達よりも遥かに多く受けているのだ。

思い返してみろ。

貴様が他の転移者をどれだけ知っているのかは、

わからないが、

そのどれもが軒並み桁外れに強かった筈だ。

貴様の知る言葉でいうところの、

天恵者(チート)とでも呼ばれている事だろう」


「うん。確かにそうだね」


「だが、転移者を指し示す言葉は本来は違う。

チートの能力と、

女神の加護を授かった我々の能力には根源的に違うもので、そこには明確に大きな差が有る。

コトハ、貴様もその授かった力は、

この世界でとても大きなモノな筈だ」


「まあ、そうかも知れないね」


「私も同じだ。

女神からの加護を受けている、

それが教会への篤い信仰に繋がる。

一体、何が不自然な理屈になるというのだ?」


「うーん。僕には少し理解が足りないのかも知れない。

それだけで、僕はそうはならないかも知れない」


「フッ……!

それはお前が信仰をしてないからに違いない。

知るべくして、私はそれに気づいていったのだ。

そして、女神から授かった力を、

女神の為に使うべきなのだとな」 


イズナはそう言うと、

自らの強力な魔力を呼吸でもするかの様にして、

規則的に放出をし始めた。

とても自然な動作に見えたが、

それによって、僅かに空気が震え、

大地が揺れた様な感覚を周囲に与えて止まなかった。


「無知なる者どもよ。

聖域教会南方司教、このイズナが貴様らに、

女神の加護の結晶、

祝音(コード)を与えられし天選者(ギフト)の真髄を、

その(まなこ)にとくと見せつけてやろう……!!」


◆◆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ