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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第五章 『ワールドエンドプレイヤーズ』
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『救援の声。』



スイ、ユンタ、ロロ、イツカの四人は、

転移魔法に依って、イファルからウクルクへと送り届けられた。


場所はウクルクの西部に広がるシファの森を越えた辺り、

広大な平原がどこまでも続く様な、のどかな地域だった。


ウチ(ユンタ)さーー、こっち側(ウクルク西部)て、

初めて来たかもーーー」


ユンタは移動用の魔獣の背中に乗って、

景色を眺めながらそう言った。


「見渡す限り何も無いな! 街なんて何処にあるんだ?」


「確か、この先にクオナンと云う街が在るよ」


「全然戦いが起きてるって感じじゃないッスねー?」


「警備隊の皆が頑張って食い止めてるのかな?」


「フッ……! もう頑張る必要は無いんだな!

イツカが来たからにはもう安心なんだな!!」


「手練れの魔法使いが何人か居るっつってたよねーー?」


「うん。ゼンが苦戦してるって言ってたね」


「つっても、ゼンってそんな強かったっけ?」


「うーん、まあ普通くらいかな?

威勢はいつも凄くいいんだけど」


「じゃーー楽勝か♪」


「ユンタ! くどいんだな!

イツカが居る! 楽勝でしかないんだな!」


「いや、今回はイツカは戦わないでいてくれるかな?」


「フッ! 元より承知……!

………………へ?」


スイの言葉に思わずポーズを崩し、

眼を点にさせて絶句した。


「わたしとユンタとロロの三人で戦うから」


「なんで!? 

なんでイツカは戦っちゃダメなんだ!?」


イツカは眼を潤ませながら、

プルプルと震えながらスイに訴えた。


「イツカが強いのをスイも知ってるのになのか!?」


「イツカが強いからだよ。

わたしはイツカと戦った時にちょっと思ったんだけどさ、

あの時にリクが居たら状況は違ってたかも知れない」


「なるほどねーー」


「どういう意味だ!? リクって誰だ!?」


「リクは、わたし達のパーティーのメンバーだよ。

今は居ないけど」


「イツカは居ないヤツに負けたのか!?」


「負けていたかも知れない。

スキルをコピーする能力を持っている相手だとしても、

イツカは勝てる自信がある?」


「やってみないとわかんないけどな!」


「しかも、その相手が、

能力の発動を一瞬だけ封じれる様な能力も持ってたとしたら?」


「余計わかんない!」


「イツカの語りの書(トーキングヘッズ)は確かに凄く強い能力だけど、

初手で出すには強すぎるんだ。

わたしがコピーする能力を持ってるなら、

まずイツカのスキルを狙う」


「イツカならコピーされても勝てるもん!」


「だけど不測の事態が起きる事もある。

例えば、リクはコピーの能力は不完全だけど、

相手のスキルを封じ込める事にかけては何故だか百発百中だ。

そういう例外もある」


「スイは意地悪だな!!」


「まーー。実際、

ナードグリズリー(フーちゃん)が魔法喰っちゃうのには対処出来なかったろ?

スイが言いたいのは、完璧な能力は無いって事じゃね?」


「……」


「そういうことさ。

イツカに手も足も出なかった、わたしが偉そうに言える事じゃないけどね」


「敵の能力次第だよなーー。

コピー能力を持ってるヤツが居るかも知れないから、

それに備えて、イツカは秘密兵器っつーー事で」


「秘密兵器……?」


「イツカは選ばれし者なんだろ?

ピンチを助ける方がかっこいーーじゃん?」


「……フッ!

その通り!! 我こそは運命の回廊を彷徨いし者!!

迷える民草よ!! 

救いを求めしその時には、我が名を呼ぶがいい!!

そう!

我こそは!! 東暁(ひがしあかつき)聿花(いつか)!! 孤高にして至高の天恵を持ちし者!!」


「イツカちゃん機嫌良くなったッスねー」


「負ける気はしないけど、

曲がりなりにも相手は聖域教会だ。

警戒を怠らない方が良い」


「それにーー。ちゃちゃっと終わらせて、

コトハに逢いに行かないとだしねーー」


「うん。

コトハさんも、あの時、

わたし達の方へ向かって来てたんだ。

もう少しだ。

もう少しで逢える」


「それな。

コトハも気づいてたら、今頃探し回ってるぞーー」


「嬉しいな。ユンタはさ、コトハさんに逢えたら、

まず、どうする?」


「ウチはねーー、あ、金返してもらわなきゃだ!!

最後に金貸して、返してもらってない!!」


「あはは。でも、きっと持ってないよ」


「だろーーね笑 スイは?」


「わたしは……、

昔みたいに一緒に手を繋いで出かけたい。

チョコレートを買ってもらいたい」


「尊ッ!!! スイちゃん健気過ぎるッス……!!」


「コトハもきっと、

スイの事甘やかしたがってるぞーー。

あんにゃろめ、フラッと帰って来やがってーー♪」


ユンタは嬉しそうに笑いながら言った。


その時。


──『イファルからの救援か!? こちらはウクルクの警備部隊だ!! 至急、応援を頼む!!

怪我人が大勢いる!! 至急応援を求める!!』


連絡魔法の声が、四人の耳に届いた。


「ゼンの声だ。

思ったより、状況が良くないらしい」 


スイは嬉しそうに緩んでいた表情を引き締め、

いつもの冷静な顔つきに戻っていた。


その頃には既に、クオナンの街は四人の視界に写り、

街のあちこちから煙が上がっている事が確認できた。


◆◆

本日投稿分です!


人物紹介ページ、未だ作成途中なので今しばしお待ちを!

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