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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第五章 『ワールドエンドプレイヤーズ』
148/237

『我が名は。』



「てかさ。

のんびりしてる暇無くね?

直接ウクルクに送ってくれたら良かったじゃんーー」


ユンタが若干イラついた口調で言った。


「全員を一遍に送る訳にもいかないでしょ。

明らかに聖域教会はこちらを挑発してきてる。

乗ってやる必要なんて無いが、救援は必要だ。

スイとユンタ、

それからロロの三人で先行して向かってくれ」


「じ……、自分(ロロ)もッスか?

なんかおこがましいッスね……」


「君の能力はもはや不可欠だ。是非頼みたい」


(クジン)達はイファルに残るのか?」


「そうだね。滞在してもらって、

君達には(ルーファン)の警護をしてほしい」


(シャオ)は行かないんですか!?」


「シャオはイファルに残って、

クアイと救援部隊の編成と進軍を指揮してもらう」


「スイについて行きたいです!!」


「聞いてやりたいが、少しだけ我慢してくれ。

お前のカリスマ性に僕は一目置いているからさ。

親父(クアイ)よりも立派な将軍になれる」


シャオは不服そうだったが、

それ以上は何も言わなかった。


王様(ラオ様)

襲撃を受けたのはウクルクの何処の辺りですか?」


「西の国境付近の街のようだよ。

シファの森を越えた辺りだ」


(ウィソ)ではないんですね」

 

「警備部隊が進軍を食い止めているらしい」


「ゼンだ」


「敵の数はーー?」


「2~30人だそうだ」


「少なッ! 舐めてやがんなーー」


君達(スイとユンタ)が留守なのを判ってるんだろうな。

それに手練れの魔法使いが何人か混ざっているらしい。

ゼンとかいう餓鬼も確か中々の実力者だったろ?

それでも手こずってる。

じゃないと、わざわざ救援の要請なんてしてこないさ」


「王様。

それを終わらせたら、

また直ぐにラロカに送ってもらっても良いですか?」


「え?何か忘れ物でもしたのかい?」


「コトハさんがラロカに居るんです。リクも」


「コトハが?コトハに逢ったのか?」


「逢えてません。

王様が無理矢理こっちに呼び戻したから」


スイがスンとした表情でそう言った。

明らかにラオに対する嫌味だった。


「ごめんって。ところで……、

そっちの可愛いお嬢さんがラロカの転移者かな?」


「そうです」


「イツカだ!! 

さっきから偉そうにしてるけど、お前誰だ!」


「イツカ。この人は、この国の王様だよ」


「へー王様だったんだな! それはまあ良いんだけどな」


「反応が薄いよイツカ」


「なんでイツカまでこっちに来させたんだ?

スイ達に協力するとは約束したけどな、

こんなに急に話を進められたら困るんだな。

ラロカの皆も心配するからな」


「悪いね。こっちも急いでいたものだからさ」


「そっちの事情はイツカには関係無いんだな。

さっさとラロカに戻すんだな。

イツカにも準備が要るんだな」


「ラロカは君の存在を隠していた。

この世界じゃ、それは立派なルール違反だ。

言い方は悪いけど、ラロカは罰せられて、

君の身柄は拘束されてたっておかしくはないんだぜ?」


「ラロカに手を出してみろ。

イツカはお前も、この国もきっと滅ぼしてやるからな」


「王様。イツカは天恵者(チート)です。

それにかなり厄介な能力を持ってる。

イツカが暴れ出したら、イファルもただじゃ済まない。

一度、ラロカに帰してあげる事は出来ませんか?

それか、わたし達が一緒にウクルクへ連れて行きます」


スイの言葉に、ユンタも捕捉をする様に続いた。


「まーー。

今んとこ、ウチの召喚獣で抑えれるから。

ラロカに帰して、

態勢を整えられたく無いってのがラオ君の本音でしょ?

イファルに置いとくのも危ねーーし。

ウチらと居るのが一番安牌だろ。

イツカも無理に揉めるよりさ、

一旦落ち着いてからラロカに戻るんじゃダメかーー?

ウチらもどーーせ、もっかい行くし」


「ふん。

ラロカに手を出さないって約束を守るんなら、

言う事を聞いてやっても良いけどな」


「王様。イツカに約束してください。

ラロカに手を出さないって。早く」


「スイ。何か急いでるのかい?」


「ウクルクを襲撃した連中をとっとと蹴散らして、

コトハさんに逢いに行きたい。

それから、終わったら、

わたしを直ぐにラロカに送る事も約束してください」 


「そうだな。おい王様。

約束をしてくれたらイツカも、

その悪者達をブッ飛ばすのを手伝ってやるからな」


「この度の転移者は……、

また規格外の娘が来たもんだね……」


ラオは珍しく、やや引き攣った様な表情で、

スイとイツカに気圧されてしまっていた。


「フッ……! 当たり前なんだな!

我が名は東暁(ひがしあかつき)聿花(いつか)

世界に選ばれし、宿命の旅路を辿る者なんだな!」


──決まった。


圧倒されるラオの顔を、

のけぞった様な決めポーズで上から見下ろし、

イツカは満足そうな表情を浮かべていた。


◆◆

本日投稿分です!

昨日たくさんアクセスありがとうございましたー!


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