『ブックワームミミック。』
5章開始します!
投稿時間が相変わらず定まらないので、
継続して活動報告に更新情報上げて行きます!
そして話数のカウントをよく間違えるので、
5章では表記止めてみますー
引き続きよろしくお願いします!
◆
天恵者であるイツカの能力であった、
語りの書の攻撃は既に発動を停止していた。
「さて。ようやくゆっくりと話が出来るかな?」
グズグズと涙声で文句を言うイツカを、宥める様にしてスイが声をかけた。
「まさか攻撃を仕掛けねーーなら無害とはなーー」
ユンタが笑いながら言った。
「うるさい!
イツカはトーキングヘッズが判決と審判を発動している間は、
他の魔法が使えないんだ……。
君達はズルい!!」
「ズルくねーーよ笑
つっても、今は発動してないんだし、
やろうと思えば戦えるんだろ?
それでも大人しくしてるって事は、
こっちの話を聞いてくれるって事だろ?」
「だって、そこの熊は魔法を喰ってしまうんだな。
イツカは魔法しか使えないから勝ち目が無いんだな」
「ええ、ええ。
熊では無くて、魔獣ですがね。
ええ、ええ」
「しかも喋るんだな」
「パンツさん」
「パンツさんじゃないんだな!
イツカなんだな!!」
「トーキングヘッズを手放す絶好の機会だと、
あたしゃ思いますがね。
詳しい経緯はよくわかりませんが、
魔書使いのイツカさんの手元にトーキングヘッズが訪れたのは、偶然じゃあ無いと思います。
おそらく、
貴女のチート故の莫大な魔力に寄生しようと企んだんでしょうな。
魔法を喰ってみたら解りましたが、
アレに、
製作者の魔術師の意識なんて、
もう塵ほども残ってやしませんでしたね」
「そーーなん?」
「魔導書を媒介にして、所有者の魔力に寄生する、
ブックワームってえ魔物の一種ですな。
ミミックとかの類です」
「魔物だったんだ」
「媒介にされる最中に、
意識は喰われて無くなってしまったんでしょうな。
とりあえず、
ありゃ野放しにしとくには危険なシロモノです。
宿主のイツカさんの魔力を供給されて、
元々のモノよりも格段に強化されてますからな」
「えーーー。フーちゃん倒せねーの?」
「そりゃ、あたしなら、ちょちょいのちょいですがね。
そこのお兄さんに退治してもらった方が今後の為になるかも知れやせんね」
「どういう意味だ」
クジンがフーを睨み付けた。
「あなた、頭固いですから」
「どういう意味だと聞いてる!!」
「意味がわかんないなら、試してごらんなさい。
先刻、言ったでしょう?
頭のネジを弛めるんですよ。
馬鹿って意味じゃあないですよ?
思考を柔らかくするんです。
ゴホン。
思考を柔らかくするって事は、
創造する力の可能性を広げるって事です。
魔法が無効化されるからって、
匙を投げてちゃあ良くないんです」
「俺の能力では太刀打ち出来なかった。
それは事実だろう」
「あのね。
講釈を垂れてすみませんがね。
属性だの相性だのなんてのは小手先の学問の話です。
あたしゃ今、もっと本質的な事の話をしてるんですよ。
魔法って云うもんは、
創造を想像して行使する世界ですがね、
そこからもう一歩だけ踏み込んでごらんなさい」
「魔法の本質か、
それが出来るからこそのチートだろう、
俺はチートではない」
「チートってのは可能性の一つに過ぎないと、
あたしは思うんですがね」
「お前の話は抽象的過ぎる。
もう少しわかりやすく話せないのか」
「ま。
魔法使いなら魔法使いらしくしろって話ですよ。
どっちにしろ理から外れてんだ、
チートだろうが無かろうが、
魔法使いってのは世界の常ってものを、
根底から覆すぐらいでいなきゃならない。
だって、魔法使いなんですからね」
「だから、俺の魔法では倒せんのだ」
「いけませんね。お兄さん、だいぶ意固地ですな。
ま。
確かに勿体ぶった話にゃなってると自覚はありますよ。
ええ、ええ」
「話にならん」
「ま。
今日んところは此処ら辺りにしておきますか。
続きは次回の講釈にて」
「勝手に締めんなよーー!
どーすんだよ?アレ」
「イツカさんにスキルの発動を止めてもらったらどうでしょ?」
「……そりゃそっか」
◆◆
「ハンさん。ごめんな。
イツカは負けてしまったんだな」
イツカは涙を流して外交官のハンに謝った。
「とんでもない!!
イツカ様は私どもを再び守ってくださろうとしていたんです!!
特使の皆様方!! 罰するのであれば、
どうかイツカ様では無く、
この私めを裁いてください!!」
「そう言われても。裁くも何も無いよ。
イツカの存在が確認出来た以上、
わたし達はラロカに協力を申し出たいだけだから」
「協力ですか?」
「うん。
ネイジンと聖域教会と戦う為の戦力になって欲しい。イツカに力を貸して欲しい」
「……力を貸せば、
ラロカの人達に手を出さないって、
約束してくれるかな?」
「約束する。
元より、わたしはそんなつもりは無いから」
「……それなら、協力するんだな」
「ありがとう。それからスカートを捲ってごめん」
「……本当に恥ずかしかったんだが」
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