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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第四章 『二月二日と少年』
136/237

異世界篇 19 『you can't judge a book by its cover。』

本日の最終話です!


あんまり投稿出来なくて、続けて見てくれてる人ごめんなさい!!


明日は1話だけの投稿になるかもですー


飽きずに読んでもらえるように精進します!



「転移者。

その状態(拘束された)でどうするつもりだ?

頼りの魔導書(グリモワール)も使えはしないだろう」


クジンはそう言っているが、

イツカを拘束している枝先には隅々まで魔力が行き渡っている。

強度や高度は鋼鉄などの金属よりも上回っているのだろう。


クジンは天恵者(チート)との戦い方を熟知しているつもりだった。


──バケモノじみたコイツらは、能力を一つ奪われた程度で戦闘不能には陥らない。


「転移者。

俺はチートと戦う時のメソッドを二つ持っている。

自分の能力を過信して、力に溺れている奴と、

自分の能力の特性の把握と状況整理を常に行う、

頭の柔らかい奴と戦う時のものを別けて考えている。

お前(イツカ)は間違い無く後者だ。

前者は()()()()()()()()()()()()()と思っているから、状況の変化に弱い。

だが後者は違う。

俺は後者と戦う時には、相手の能力の手の内を全て出させる事にしている」


「へえ。よく解んないけど、

まるでそれならチートに勝てるって言ってるみたいだな?」 


「そうだ。俺はそうやって何度かチートを倒しているからだ。敗けて半殺しにされた事もあるがな」


「イツカには勝てると思ってんのかな?」


「状況的にはな」


「イツカは、

お前の事あんまり好きじゃない。

話が長いな!」


「好かれようと思っていない」


「それにお前めんどくさいな!

強い癖に用心深い。

今も一生懸命イツカをどうやって倒すか考えてるな。

しつこいな」


「当たり前だ」


「だけど」


イツカはそう言ってニヤリと笑った。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


その時には既に、

イツカの魔力は気体の様に充満し、

彼女の魔導書と結合し繋がれた。


───『魔書索引(インデックス)!!』


黒い魔導書が魔力を帯びて、

所有者(イツカ)の命によって、

その頁を開いて見せる様に()()()()()()


「どういう意味でお前がそれを言ったのかが、

俺には理解出来ない」


クジンはそう言って、魔導書を破壊しようと、

攻撃魔法を放ち、

魔導書はクジンの攻撃魔法に因って、

炎に包まれていった。


炎に包まれる刹那、

魔導書はまるで意志を持っている様にして、

炎から避けようと動いていた。


巨大な火柱が立ち、皮膚の表面がパチパチと焼け焦げてしまいそうな熱波が周辺を包んだ。


こんなこと(炎柱魔法)如きで破壊出来るとは思わんがな」


火柱が鎮まった後に、

傷一つ無い魔導書を見て。

クジンはそう口にした。


「もう一度索引しようとしても無駄だ。

索引の途中で攻撃を与えれば発動は停止するらしい。

それに、

魔導書を破壊するまで攻撃を続けてやる」


クジンは二発目の攻撃魔法を放った。


巨大な氷塊が魔力に依って産み出され、

魔導書を突き破る為にその先端を剣の様に鋭くさせた。


◆◆


「魔法の同時発動。属性の変質。

詠唱の時間も極端に短い。

それに特筆すべきは魔力の量ですね。

充分人間離れ(バケモノじみて)しています。

流石クジンさん」


イェンは興味深そうに言った。


「圧倒的能力差の有るチートに対して、

臆すること無く戦うと云う、

その心理が僕には全く理解出来ませんね。

控えめに言って、完全にイカれてます」


「そのイカれてんのが、あんたの上司なんだけどねえ」


シンヒは可笑しそうにその言った。


「それに。シンヒさんは何故加勢しないんですか。

二人で戦った方が効率が良いと思います」


「クジンが嫌がるからに決まってんじゃないのさ」


「僕見立てでは、シンヒさん。

貴女もクジンさんと同等、

もしくはそれ以上の魔力をお持ちの筈なんですが」


「魔力だけで推し測れるもんなんざ、

あたしは興味が無いけどねえ。

それに。

クジンが()()()()()()()()()()()()

本当のバケモノが相手じゃ、あたしらが二人がかりでも勝てるとは限らないからねえ」


「ご謙遜を」


「らしくないねえ。イェン。

あんたも魔法使いなら、

物事を表面だけで判断してちゃあ良くないと、

あたしは思うんだがねえ」


◆◆◆


魔力の氷塊が魔導書を破壊しようと、次々に撃ち込まれ、

クジンは魔導書から眼を逸らさずに、

更に追撃の魔法を放つ用意をしていた。


(反撃をしてこないが。

攻撃を無効化する何かが有るな。

全く効いてる様子が無い)


属性への対応が出来るのは、魔導書も一緒だと考えながらも、

クジンは攻撃魔法の属性とパターンを次から次に替え、

考えつく限りに片っ端から撃ち込んでいった。


術者本体である、イツカへの警戒も怠らずに。


弾幕を張るようなクジンの猛攻に因ってか、

イツカに動きは無い様に思えたが、

その、

動きが無い事自体がクジンにはどこか引っ掛かる。


(こちらの魔力切れを待って、

再び索引で魔法を発動させる気だろうな。

本体を攻撃しても、俺は構わんが、

当初の目的から大きく外れてしまう。

殺さずに戦闘不能に出来るような容易い相手では無いしな)


とにかく、攻撃の手を緩める事は出来ない様な気がしていた。

クジンの勘のようなものだったが。


しかし、

密かに張られた罠に少しずつ追い込まれている様な感覚も拭いきれ無かった。


(いざとなれば、殺すしかない。

良くて相討ちかも知れんが)


クジンはそう考えながら、

何度目か解らない攻撃魔法を放った。


それまでよりも一際大きな爆炎が、

魔導書を焼き尽くそうとして放たれた。


その時、

イツカの口元が動いていたのを目視で確認する事が出来た。


(詠唱していたか……!?)



2()4()()


イツカは動かしていた口に合わせて、

ようやく言葉を発した。


爆炎が凄まじい音を立てながら魔導書を焼いている。


「……何がだ?」


「ご苦労様。

24回だな。お前が攻撃魔法撃った数。

()()()()()()()()()()()()()になるだろな?

ぼちぼち判定してもらおうかな?」


死神の宣告の様な不吉な響きを伴いながらも、

イツカの顔には満面の笑みが浮かべられていた。

年相応の女の子の、無邪気で愛くるしい笑顔だった。


(やはり罠か)


───『判定と審判(カフカ)!!!』


未だ燃え盛る炎の中で、

魔導書の頁が再び捲られていた。


◆◆◆◆

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