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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第四章 『二月二日と少年』
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異世界篇 14 『南の小さな国へ。』

本日投稿分の2話目です!



「ラロカって国に行ってきて欲しいんだよね」


ラオが、スイ達にそう告げた。


「ラロカ?」


「南方に在る小国だよ。

イファル(うち)とは交易を少し(おこな)っている」


「どうして?その国に何かあるんですか?」


「公式には発表されてないんだけど、

ラロカには数年前に異世界からの転移があったと、

言われててね、

公式に発表されていないもんだから、

その時の痕跡が見つかったのかどうかが判ってない」


「ちょい待ち。まさか、

ソレちょーだいって言いに行くんじゃないだろなーー?」


「ま。聞いてよ(ユンタ)

痕跡が有れば確かに戦力の増強にもなるし、

貸してもらえるものなら貸して欲しい。

だけど、(ラオ)としては、

転移者の存在が気になってる」


「発表されてないってさーー。

何なん?

何かマズい事があって発表してないんじゃないの?

その転移者もヤバいヤツかもじゃん」


「それを確かめたいんだよね。

転移者達は何故だか軒並み、

優れた能力を持って転移をしてくる。

もしも、その転移者が人格者で、有能な人物だった場合、

協力を仰ぎたい」


「痕跡はダメでも、

人なら貸してくれるかもってワケーー?」


「そんなに上手く事は運ばないかも知れないけどね。

どんなヤツなのか、知れるだけでも良い。

それに長い旅路にはならない。

転移魔法でラロカまで送ってあげるから」


「役人でも無い、

わたし(スイ)達が行って良いんですか?」


「勿論さ。

(むし)ろ、君達が行ってくれた方が有難いよ」


「どうして?」


「今、君達は有名だから。

君達は鬼火を倒したんだぜ?」


「噂が広まるにしては早すぎる気がしますけど」


「僕が言い触らしてるから」


「やっぱり」


「それに。リクって云ったかな?

あの餓鬼の行方の手がかりになるかもだよ?」


「それは、そうかも知れないけど」


「イファル王。

まさか、その使い走りに俺達(ソーサリースフィア)も同行しろと言うのか?」


「無論だよ。君達が居れば更に箔がつく」


「くだらん」


「クジンさん。(イェン)は賛成です。

仮にも痕跡が見つかった場所だとしたら、

何かしら収穫があるかも知れませんよ」


あたし(スンヒ)はどっちだって構わないよ。

クジンが決めなよ」


「イファル王。

もしも、

ラロカの周辺で痕跡の破片でも見つかった場合には、

俺達が貰っても良いか?」


「ま、構わないよ。

あまり期待はしない方が良いと思うけど」


「それなら行く」


「……あの。(ハツ)も行かないとダメ……?」


ヤエファ達が去った後、

ハツはイファルに残った。

ヤエファ曰く、

義妹だと思っているし一緒に連れて行きたいが、

元々所属していた組織への義理も果たしておくように、

との事だった。


「お前はソーサリースフィアのメンバーだろう?

指切り姫にも言われていただろう」


「……それはそうなんだけど」


「ちょっとクジン。そんなにグイグイ言ったら、

この娘引いちゃうでしょうが?

もっとソフトに人付き合い出来ないもんかね?」


「グイグイ言ってない。事実を言っている」


「ま。そういうワケで満場一致で良いかな。

転移魔法の準備をクアイにさせてるから、

ちょっと待っててくれ。

人数も多いし。

……って、シャオ? どうした?」


シャオが一人だけ、

とても納得のいかない表情でラオの事を見つめている。


「……陛下。私は小さい頃から、

陛下の事を見てきて、

陛下の事をよく知っているつもりです」


「うん。そうだね。僕もだ」


「それを踏まえて。

この度の急な遠征の話、

私はとても怪しいと思っています」


「怪しい?何がさ?」


「陛下が、

こうやって有無を言わさずに話を進める時には、

大体裏があると存じ上げてます」


「おいおい。すごい言い種(いいぐさ)だね?

それじゃ、まるで僕が君達を騙してるみたいじゃないか」


「何か危険が伴う事があるのではと、私は思ってます」


「まあ、そりゃ遠征だからね。多少は」


()()()()()()()()()

もしも、スイが危険な目に遭うようなら、

私は行きません。

スイも行かせません」


「参ったな。スイ。どうする?」


「わたしとしては。

リクの行方の手がかりがあるなら、

行った方が良いと思うかな。

それに、もし転移者が居るなら、

会ってみたい」


「スイ!目を覚ましてください!」


(ラオ)が騙してる前提なんだ」


「大丈夫だよシャオ。

皆強いし。

そもそも話し合いに行くだけだし。

それに、

わたしには君が居てくれるじゃないか。

それじゃダメかな?」


スイが首を傾げて尋ねた。


「くッ……!」


「ダメなの……?」


「か……、可愛いけどダメです!!」


「なんだ。お前達のパーティーに居た転移者は、

大した戦力にならないと聞いていたが?」


「クジン。そう云う事ではないんだよ。

(リク)は仲間だ。

探してあげなきゃ」


「理解できん」


「シャオ。リクは君にとっても仲間でしょ?

早く見つけてあげないと可哀想だよ」


「仲間だとは思ってますけど……。

だ……、大体ですね……、

スイは少し、リクさんに甘いと思うんですが……」


「そんな事ないよ」


「じゃー私が居なくなっても、探してくれますか!?」


「当たり前じゃないか」



「なんか、ちょっと修羅場ッスね……」


「論点がズレてきてるねえ。

イファル王。

もしも、その転移者が居たとして、

こっちに敵意を示す様な時にゃ、どうするんですかね?」


「まあ。

その時にはラロカ側に隠蔽の問題を問うかな。

友好条約の結んでいる国同士では、

痕跡の独占を良しとしないからね。

我が物顔で独占しようとしてるのは、

ネイジンくらいのもんだ」


「と云うことは、

戦闘になる可能性も有るって事ですねえ」


「ほら! やっぱり危ないじゃないですか!?」


「可能性の話ではあるけど。

ラロカに、イファルと戦う程の兵力は無いよ。

かといって、上から抑えつける様なやり方はしたくない」


「ワガママだなーーー」


「とにかく。

向こうの外務役には話を通しとくから。

是非行ってみてほしいな」


ラオはそう言って、何とか場を取り繕おうとしたが、

シャオは未だ膨れた顔をしたままだった。


◆◆

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