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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第四章 『二月二日と少年』
112/237

異世界篇 7 『使者とは名ばかり。』

本日投稿の最終話です!


明日は夜に投稿しますので、

よろしくお願いします!



聖域教会からの使者がイファルを訪れたのは、

ガコゼが捕えられた翌日の午後だった。


ラオの待つ、

謁見の間に通されたのは三人の男だった。


黒い法衣を羽織っている、

中年の男二人を引き連れて、

若い男が、まず口を開いた。


「どーもどーも。

この度はお招きに預かりまして。

お初にお目にかかります、

(わたくし)、聖域教会より参りました、

ジンガ、と申しますので、以後お見知りおきを」


ジンガと名乗った男は、

若そうな見た目とは相反して、

熟年者の様な軽妙な口調だった。


「この度は、我らが教会に所属しておりました者が、

貴国にて大変な御迷惑をお掛けしまして、

先ずは、謝罪をさせていただきます」


()()()()()

もう、あの男は君達とは関係が無いと云う事かな?」


「ええ。ガコゼ殿の除籍は決定事項ですから。

かといって、我々に責任を問うな、

と云う事ではありません」


「当たり前じゃん。

そんな事わざわざ言う必要があるのかな?」


「それは失礼しました。

では、結論から言いますけど。

教会はガコゼの行動には、一切関与しておらず、

誤解を招いてしまった事を謝罪し、

イファルとの和解を望んでいます。

そして、ガコゼの処刑に関する全ての事を、

教会が負担し、それを執り行います」


「だから、ガコゼを解放して寄越せと?」


「まあ……、そうですね。

勘違いしないで下さいね?

教会なりの貴国への配慮ですよ? 

ガコゼをネイジンに連れて帰る、

それから処刑。

それでおしまいです」


「配慮? 何かの間違いでしょ。

わざわざ、

ガコゼを自国に連れ帰る意味がわからん」


「自国の罪人の処刑を、

他国に任せるバカは居ないと思いますが?」


「いやいや。

ガコゼに利用価値が、まだ有るからってのが、

見え見えでしょ?

ガコゼは引き渡さないよ?イファルで裁く」


「困りましたね。それでは我々にどうしろと?」


「クソして寝ろ、って事かな。

わざわざ来てもらってご苦労だったね」


◆◆


「って感じでさ、お帰り願ったワケだよ」


ラオはそう言った。


「なんつーーやり取りだよ?

そのジンガって奴、本当に使者なんかよ?」


「聖域教会には、マトモな奴なんてのが少ないからね」


「そんなんで、よくすんなり帰ったな?」


「あのジンガって男は、

強行突破でガコゼを取り返しに来るだろうね」


「そんで?」


「牢破りだぜ? 合わせ技で完全にアウトだよ」


「捕まえてから、ガコゼと一緒に処刑?」


「いや。すぐには処刑しないね。

ガコゼに見切りはつけてるものの、

聖域教会は、

まだガコゼを利用したいみたいだしね」


「こっちもガコゼを利用しようって事?」


「そうだね。

人間性は、とんでもないクズだけど、

ガコゼの能力は実際使える。

聖域教会との戦力差を埋めれる」


「言う事聞くかなーー」


「大丈夫大丈夫。洗脳魔法と云うものがある」


「それでも、そのジンガとか云う使者、

かなり手練れじゃろ?

従者を連れとるにしろ、

たった三人で敵地に来るとはの。

おそらく、イファル王の言う通り、

真正面から牢破りに来るぞ」


「舐めてるよね」


「勝てん事は無かろうが、

街中で派手に暴れられても困らんかの?」


「案ずるなよヤエファー。一発で決める」


「待て待て待て。王様自ら行くんじゃねーーだろな?」


「そりゃ、流石に宜しう無いの。

かと云って、下手に人員を割くのも得策じゃないけ」


「じゃあ、どうする?」


「わっちが行こう」


「義妹達は?」


「ミンシュを連れてこう。

あの娘、昨日はサボっとったけの。罰じゃ」


「余裕だね。それに美人だ。

出来たら、僕もヤエファに罰せられたいんだけど」


「王よ。わっちは女の方が好きじゃ」


◆◆◆


「えーーーー。

何でミンシュだけ行かなくちゃなんですかーー?」


ほいじゃけ(だから)言うとるじゃろ。

サボった分の罰じゃ」 


「やだやだやだーーー! ヤエちゃんーー!

許して欲しいですーー! 

ミンシュ、まだロロピーと一緒に居たいですーー!」


じら(ワガママ)を言うとるの。

チャチャッと終わらせりゃ済む話じゃけ」


「いーーやーーだーー!!

じゃーロロメロも連れてっていい!?

それだったら行きますーー!!」


「やれんの」


「あの、ヤエファさん。

ご迷惑じゃなかったら、自分ついてくッスよ?」


「きゃわわわわわわわ!! 

ロロペンギン、ミンシュの事、

心配してくれてるんですーー♪」


「そうは言うてもの。

ロロちゃん、呪歌を歌いっぱなしじゃったじゃろ。

まだ喉が回復しとらんじゃろ?」


「そうなんスけど。

相手は三人なんスよね?頭数はそれで揃うッス。

スイちゃんや、ユンタちゃん達が行くよりも、

自分が行った方が戦力の分散にならないと思うッス!

……自分、戦闘は出来ないんで」


「やれんの。

惚れてしまうかも知れんの。

おぼこい顔して、胸がデカいのも高得点じゃ」


「ダメーー! 

ヤエちゃん、本当につまみ食いしちゃうからーー!!」


「あの……、自分そういう趣味無いんで大丈夫ッスけど」


「きゃわわわわわわわわわ!!!」


「ロロちゃんの好意に甘えて、同行を願おうかの。

ミンシュ、怪我せんように守ってやらんとの?」


「合点承知ーー♪」


「それじゃあ行くかの。

人外の者を舐めとる、

聖域教会の連中に思い知らせる()え機会じゃ」


◆◆◆

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