異世界篇 6 『ラオの後悔。』
本日投稿の1話目になります!
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「おいおいーー。
超キナ臭いんだけど?
んじゃ何か?
この世界に起きた悪い事は、
全部ソイツらの仕業って事?」
「そうだ。とまでは言わないけど。
だけど、僕は悪だと認識してるね。
この世界に害を為すモノだと思ってる」
「害ーー?」
「これは僕の考え方だけどね。
管理者達が行ってきた事、
僕が把握しきれている内容だけど、
世界の方向性みたいなモノに干渉を続ける行為が、
僕には、世界にとっての害に思えるんだ。
余りにも、
不自然な流れを無理矢理に造り出して、
誰にもわからない様に、
それをソッと張り巡らして行く。
考えただけで、何か気持ち悪くない?」
「そう言われてもの。
わっち達には、ピンと来んのじゃが」
「国王様の他に、管理者の存在を知っている人達って?」
「詳しくは教えてやれないんだ。
だけど。
一人は始教皇。聖域教会のトップだ」
「口軽ッッッ笑」
「あの餓鬼は、
どっちかと云えば擁護派だけどね。
下手したら、管理者と繋がっていて、
と云う可能性も僕は疑っている、
いや違うかな、
疑っていた。
最早、その疑念は確信に近い。
それと、
聖域教会とネイジンは、実質、
始教皇の傀儡の様なものだからね。
他の国と国交を持ちたがらなかったり、
入国が難しかったりとか、
やたらと秘密主義なのは、
管理者の存在を隠蔽する為の、
隠れ蓑の可能性もあるね」
「そんな国が、痕跡の世界一の保有率を誇るんかの?
どう考えても怪しかろ?」
「ちょい待って。
アンタさ、
ネイジンが、そんなヤベー場所だって知ってて、
七年前にコトハが招集されたのを止めなかったの?」
「知ってたよ。だから、後悔してるよ」
「ちょまちょまちょま……、
アレ……、なんだろーー?バカなのかな?
コトハ、アンタに代わってくれって頼んだんだよな?
何で代わってやんなかったんだよ……?
そんなヤベーとこに、コトハ送り込んだのかよ?
……返答次第じゃ、マジでぶっ殺すぞコノヤロー……」
「ユンタさん……!!落ち着いてください……!!」
「ユンタ。駄目だよ」
「クアイ君、スイ、ゴメン。
でも、ちょっとマジで頭来ちゃった……!!
おい、王様。
ちゃんと説明してくれんだろーな……?」
「やれんの。
ユン姉、こげ所で、
召喚術なんか使うたら、やれん事になるけ。
ちょっと落ち着きんさい」
「僕も王宮を壊されるのは困る。
話を少し聞いてもらっても良いかな?」
「聞いてやるっつってんだろコノヤローーー!!!」
「僕がコトハを止めなかったのには理由がある。
一つはね、この間も言ったけど、コトハ自身に、
ネイジンに行かないといけない理由があったから。
これは、コトハの意志とは別に。
もう一つは、コトハが僕よりも強かったからさ」
「だからって!!」
「ユンタ。
君は、この世界でコトハと一番長く過ごしたんだ。
彼女の能力の事は、君はよく知ってるだろう?」
「……」
「この世界で、
過去から現在に至るまで、
天恵者と呼ばれる存在の中で、
コトハよりも強かった者を、僕は知らない」
「……だから、
危険な場所に行かせても平気と思ったとか……、
おめーらバカじゃねーの……?」
「バカだった。
僕達は、幾ら強いと言っても、
一人の女の子を危険に晒してしまった。
そして、彼女の大切な娘と友人にも、
長い間辛い思いをさせてしまった。
スイ。ユンタ。
本当に、すまなかった」
ラオは玉座から立ち上がると、
スイとユンタに頭を下げた。
床に、額を擦りつける様にして。
「だから。
僕はコトハを君達の元に帰したい。
本当にそう考えている。
聖域教会とネイジンが、
コトハの居場所を知っているなら、
全力で叩き潰して、
それを聞き出す。
必ず、約束する」
「……ホントにそんな事出来んのかよ?」
「やる。
しかし、その為には、まだ力が足りない。
君達にも、協力をして欲しい。
長く生きた、老人の愚かな誤ちの尻拭いを、
させてしまう事になるが」
「僕としては」
突然、それまで黙っていたイェンが口を開いた。
「聖域教会が保有している、痕跡と、
女神の魔法に関する資料、
その他諸々を、提供していただければ。
勿論、全部とは言いませんが」
イェンは言葉を続けた。
「それと、貴方の知っている、
管理者の情報を僕達にも共有してもらえますか?
世界を好き勝手に造り変えてきた、
この世界の暗部。
おそらく、その暗部と、
女神、転移してくる異世界人、
全ては無関係では無いでしょう。
非常に興味が湧きます」
「そんな事知ってどうするの?」
「スイさん。魔法や、
その他に存在する不思議な力は、
この世界の全てだと貴女は思いませんか?
魔法の根源を解き明かすのは、
僕達、魔法使いの使命ではないでしょうか?
その為に、世界の深淵に触れる事が、
僕にはとても重要な事に思えます」
「わたしにはよくわからないな」
「……まあ、いいです。
イファル王、そういう訳で、
僕達は全面的に協力をします」
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