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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第四章 『二月二日と少年』
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異世界篇 5 『怪物。』

異世界篇 第5話になります!



イファル王立ち会いの下、

王宮でガコゼへの取り調べが行われた。


妄言や戯言で挑発を繰り返すから、

と云う理由で、

スイ達が取り調べの場に来る事は許可されなかった。


「なあに。心配要らないからねー。

(イファル王)が居るんだからさ。

任せてよー」



◆◆


「聖域教会から、使者が来るってさ」


ガコゼの取り調べが終わり、

ラオは謁見の場にスイ、ユンタ、ヤエファ、イェンの、

四人を通した。

正確には、

大勢で押し掛けて、

国王に失礼があってはいけないから、

義妹達は連れて行かないとヤエファが言ったからだ。

それを聞いてシャオに(ルーファン)案内を頼み、

ロロ、それにハツも、

義妹達に同行する事にした。


「それは、教会がガコゼを救いに来るって事ですか?」


「ざっくり言うとそうだねー。

交渉の場を設けて欲しいとの事だったけど、

実際には、どういう意味合いなのかは測りかねるね」


「攻撃を仕掛けて来る可能性もあるという事ですね」


「まあ、そうだね」


「それで、国王様はガコゼをどうする御見積(おつも)りかの?

あっさり教会側に引き渡すんかの?」


「まさか。

あの男(ガコゼ)の能力を、

ヤエファちゃん達も見たでしょ?」


ラオはニコリと笑った。


「亡骸を使って戦力を増加させる能力なんて、

厄介だし、悪趣味で不愉快でしか無いよね。

あの男は、この国で僕が必ず裁く」


「そうかの」


(ヤエファ)の兄の様な、

実力者をまた利用されないとも限らないからねー」


「その通りじゃの。まさか百年も前に死んだ者を、

能力で操れるとは知らんかったけ。

アイツ(ガコゼ)は、自分の能力について、

未だ嘘をついとるやも知れん」


「鬼火のロウウェン。

その妹君が、こんなに美人の、

良い女とは知らなかったなぁ。

ユンタ、君はガコゼの能力について、

どこまで知ってた?」


「ウチもヤエファと同じだよーー」


「つまり、あの男は、

仲間にも自分の能力の詳細を明かして無かったって事か」


「そーーなるね」


「と云ってもね、

ガコゼの能力でロウウェンに勝てる訳が無いし、

幾ら、ガコゼがズル賢いと言っても、

逆らう気すら起こらないと思うんだよなぁ」


「どーーゆー事?」


「ガコゼを(そそのか)したヤツが居る。

ガコゼに仲間を裏切る様に仕向け、

当時、

ロウウェン一派(いっぱ)と戦ってたファーレン(西方の国)とガコゼを繋げた人物がね」


「百年前だぞーー?居たとしても人間じゃねーな」


「まだ生きてるだろうね。

そして、おそらく、

その人物は重要な手掛かりに繋がると、

僕は思うんだよねー。

ガコゼなんかが、個人で、

ファーレンや聖域教会を渡り歩けると思う?

誰かの手引きが無いと、間違いなく無理さ」


「その人物の事についてガコゼは?」


「訊いてはみたけどね。

何も教えてはくれなかったね。

口を(つぐ)むのは、

ガコゼの意思だけの力じゃ無かった。

魔法で口封じをされてる。

スイ、君の言葉の精霊ならさ、

ガコゼの口を割ることも出来るかな?」


「出来ます」


「少しは悩めよー。

僕の解析魔法じゃダメだったんだぜ?」


「わたしの精霊と、

国王様の魔法じゃ術式が違うからじゃ無いですか?」


「あっさり言うなよー」


「魔法の事は、国王様の方が詳しいでしょ?」


「そうは云うても、

今スイちゃんの魔力は低下しとるからの。

すぐすぐには、どうにもならんじゃろ」


「スイの魔力が回復するより先に、

使者が来るだろうねー」


「なんかポーションとかねーーの?」


「そりゃ有るさ。

でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

自然の回復じゃないと駄目なんでしょ?」


「まあ、そうですね。

何か、難儀な身体でごめんなさい」


「いいさ。

それも踏まえて、僕はスイを気に入っているから。

可愛い娘だ」


ラオは嬉しそうだった。


「とにかく、

ガコゼを聖域教会に引き渡す事は出来ないね。

あのクソッタレは、

世界を陰鬱に覆ってる暗部を、

引き摺り出す為の鍵かも知れないと僕は思ってるからさ」


「暗部?」


「超長生きするとね、

見えてくるモノがあるんだよねー。

女神と、国々と、聖域教会。

暗部はさ、それらに気づかれ無い様に、

その上に乗っかってる巨大な怪物だ。

ガコゼは、その巨大な怪物の間接の一つだね」


「イファル王は、

とんでもなく長生きと存じ上げとるがの、

何やら意味有りげに、話しんさるのも、

埒があかんの。

もっと核心に触れた話が聞きたいんじゃが」


「急かすなぁ。

僕は王様だよ?少しくらいゆっくりと語らせてよ。

それとも、二人きりだったら、

もう少し僕の口も軽くなるかな?」


「そりゃ光栄じゃがの。

わっちは、どちらかと云えば女が好きじゃけ。

すまんの」


「わーーん!! クアイ聞いたか!?

僕が! この僕がフラれたぞ!?」


「陛下……。僕としても、もう少し砕いて話して下さった方が理解が追い付くのですが……」


「君達はせっかちさんの集まりだ。

なら、結論から言おう。

この世界には、何やら怪しい勢力が、

ずっと長い間、蠢き続けている。

聖域教会やネイジン、イェン君のソーサリースフィア、

そんなチャチなもんじゃあ無い」


ラオはイェンの反応を伺ったが、

特に何も変化が無く、つまらなそうに溜め息をついた。


「それはもう、ずっと遥か昔から、存在していてね。

現存する古い神々でさえ、

その存在を知る者は少ないと思う。

神すらも欺く見えざる手に依って、

この世界に干渉をし続け、

時には歴史に改竄を施し、

都合の良い様に操り、造り変えている連中がね」


「一体、何じゃろうな?その連中とは」


「その存在に気づいている、

僕を含めた数人の連中は、

彼らの事を管理者(ミニチュア)って呼んでる」


◆◆◆

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