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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第四章 『二月二日と少年』
104/237

異世界篇 3 『イェン=ミナト説。』

本日投稿の

1話目になります!




「亡骸や霊魂を操る魔法は非常に珍しい。

しかもガコゼさんのスキルは、

一度に複数の殭尸の、

細かい操作まで行える希少種。

その噂が、一人歩きしていた様ですが、

能力の所持者の人間性は、

どうしよう無いものでしたね」


「ちょい待て待てーー、おめー(イェン)

何サラッと会話に参加してんだよ?」


「え?駄目でした?」


「駄目だよコノヤローーー」


「連絡を貰ったものの、

ちょっと要領を得なかったので、

とりあえず来てみたんですが……」


「……私、ちゃんと説明したんだけどな」


「すみません。僕の理解が足りてなかったのでしょうね」


「イェン。遅いよ」


「スイさん。僕も常に暇な訳では無いんですが」


「忙しい訳でも無いんでしょ?

わざわざ来てくれたくらいなんだから」


「物凄い言い種ですね……」


「スイちゃん。この男は誰かの?」


具現派魔術師(ソーサリースフィア)のイェンだよ」


「なんじゃ、その胡散臭いのは?

大丈夫なんかの?」


指切り姫(ヤエファ)

国を一つ滅ぼしかけ、

数多の賞金首を手玉にとって血祭りにした、

亜人史上、始まって以来の悪女。

まさか、実際にお目にかかれるとは」


「なんじゃコイツ気持ち悪い」


「ヤエファ。イェンはね、少し可哀想なんだよ」


「スイさん……。僕も傷つかない訳では無いですからね……」


◆◆


「何やねん……。また新手かいな?

けったい(変な)仮面つけやがって、取らんかい」


「はじめまして。ガコゼさん。

貴方の能力を是非一度、拝見したかったのですが、

到着が遅れてすみません」


「どういう事や?」


「今の、そのザマでは、

もう能力を発動する事も出来ないでしょうね」


「クソ……、また腹立つヤツが来よってからに……」


「申し遅れましたが、

僕はソーサリースフィアのイェンと申します」


「知らんがな!」


「貴方は、ご存知無くても、

そちら(聖域教会)の、始教皇様なら、

我々の事を知っておられると思いますよ」


「イェン殿。

ソーサリースフィアの事は、

スイちゃんから聞いて知っているよ。

この度は、ご協力に感謝する。

しかし、今この男は護送の最中でね、

余り刺激をしてやらないでくれると助かる」


「イファル国将軍、クアイ殿。

イファル王直伝の、魔法戦闘術に依り、

異例の若さで大将軍へと抜擢を受けた」


「僕の事も知っていてくれるんだね。ありがとう」


「それに。

(レイフォン)

土鬼(メイ)歩く地雷(ミンシュ)……百目(ラクシェ)。錚々たる面子ですね」


「キモいヨ! コイツ、キモいヨ!」


「多分オタクだし! 知らんけど!」


「そういう趣味なのかなぁ?

あんまりぃ、好きじゃないぃ」


「キッしょ。ミンシュ、この人NGですーー」


「さ……、散々な言われようッスね……」


「……あの人(イェン)、こんな人だったんだ」


「……調べる事は仕事の一環ですよ。

優秀な人材のデータベースが必要なんです」


「ちょい待てや!

お前うち(聖域教会)の始教皇知っとるんか!?」


「その名称くらいなら、

誰でも知ってるんじゃないですか?」


「何者やねん!?」


「ところでクアイ殿」


「無視かい!?」


「僕は一応、

ソーサリースフィアからの使者と云う、

(てい)で来たんですが、

イファル王にお目通りは叶いますか?」


「それは勿論。

我々が(ルーファン)の王宮へと案内するよ」 


「大丈夫なんーー?

コイツやっぱ、めっちゃ怪しくない?」


ユンタ(クラウドナイン)さん。

貴女も鬼火のロウウェンの昔の仲間だったんですね。

以前、お逢いした時には、

すみません、僕の調査不足でわかりませんでした」


「勝手に調査しなくていーーから。

てかさ。

ウチ、あんたに聞きたかった事があんだけどさ」


「何でしょうか?」


「おめーー、ミナトか?」


「ミナト?」


「素直にゃ答えねーーと思ってたから、

別に良いんだけど。

マスク取って顔見せてくんね?」


「どうして、

そんな事をしなければならないのでしょうか?」


「好奇心」


「すみませんが……。

一応、顔を知られるとマズい仕事をしてますので」


「ま。ウチらの中じゃ、殆どミナトで確定なんだけど」


「根拠はなんなんですか?」


「あんたの立ち振舞いの全部かなーー?

独特な、むず痒さがあんだよね」 


「ちょっと僕には、解りかねますね」 


◆◆◆


「ミナト!!」


シャオ(白銀)さん? 

貴女も、そう考えているんですね」


「私は貴方(イェン)に訊きたい事があります」


「何でしょうか?」


「スイと……」


「はい?」


「スイと、ちゅーしたのは本当ですか!!?」


「……はい?」


「しかも! 嫌がるスイを抑えつけて、

唇を無理矢理!!」


「な……、何を言ってるのかが、

よくわからないんですが……」


「更に……スイの元カレだと云うのは本当ですか……?

さぁ!! 答えなさい!!」


「シャ……、シャオ!? それは本当なのかい!?」


「ええ。父様。確かな筋からの情報です」


「……イェン殿。返答の内容次第では、

僕は自分の持つ全ての権力(ちから)を持って、

貴殿と対峙しなければならないかもだよ」


「ちょ……、ちょっと待ってください!?

僕は、そのミナトと云う方では無いです!!

そんな事を訊かれても困ります!!」


「シャオ、クアイおじさん。

まだミナトだって確定はしてないんだから、

そんなに詰め寄ったら、イェンが可哀想だよ」


「そ……、そうですよ!」


「スイちゃん。君は美しい。

だから、君を慕う輩が居たとしても、

何ら不思議な事では無いよ。

だけどね!!

元カレ!?

おじさんは聞いてないよ!?

しかも!

あまつさえ、ちゅー!?

あの……、小さくて可愛かったスイちゃんが……、

娘の様に思ってるスイちゃんが……、

僕の知らないところで!?

ちゅー!?

得体の知れない男と!?

はぁぁぁぁぁぁ!?!?」


「おじさん。シャオにそっくり」


◆◆◆

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