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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第四章 『二月二日と少年』
103/237

イセカイ篇 3 『花緑青。』

本日、最終投稿です!


ブックマークしてくれた人、ありがとうございます!!

更新遅くなってごめんなさい!



「い……、いやいやいやいやいや……」


女が嘘を()いているのだと俺は思っている。


()()()()()


「ちょ……、おま……、流石にそれは……」


「流石にそれは?」


「無理があるでしょー……?

だって……、アイツ(スイ)、十九歳だって言ってたんだぞ? 

歳上じゃん。

お前(二月二日)が母親だとしたら、

年齢がバグを起こしとるわ」 


「何だ。そんな事か」


「いや、重要でしか無いだろ」


「それも含めて説明をしてあげるよ。

今から十分後に家を出てくれ。

君の家から近くの、

大きな交差点の所のコンビニで会おう」


「え!? おい! もしもし!?」


──『通話終了 05:27』


「マジかよ、超怖いんだけど……」


俺はそう言いながらも、

女の言う通りにするべきだと思っている。


女が仮に、俺に幾つも嘘を吐いているとしても、

あの世界(異世界)に繋がる何かを、

女が俺にもたらしてくれるなら、

それに縋りつかなければいけない。


俺は、女に言われた通り、きっかり十分後に、

家をソッと抜け出して、

女が指定したコンビニに足早に向かった。


“二月二日ことは”と、

スイがいつも嬉しそうに話すコトハさん。

到底、同一人物だとは俺には思う事が出来ないが、

ただ、名前が一致しているだけでも、

どんな、こじつけに聞こえたとしても、

俺には興奮を抑える事が、かなり難しくなった。


あの世界への繋がりを、

俺はどうしようもなく求めている。


(よく考えれば……、

コトハさんも日本から来たんだもんな……、

あながち……、ていうか、絶対確定じゃないのか?

それ以外無いだろ)


そう考えると、俺は少し、

本当のところ、かなり、

期待をせずにいられなかった。


◆◆


家から近いので、普段は絶対利用しないコンビニ。

いつもは夜中でも人が大勢居るように見えたが、

今日に限って、何故だか客が少ない。


だから、俺は店内を一周して探す前に、

二月二日をすぐに見つける事が出来た。

正確には、二月二日らしき女を。


彼女は、スイーツのコーナーでしゃがみ込み、

並べてある商品を次々と手に取りながら、

何やら真剣な眼差しで品定めを続けていた。


商品カゴを使えば良いものを、

スイーツを持っている反対の手には、

おにぎりやらサンドイッチやら、

お菓子、カップ麺やらを、

抱えきれ無い程に持ったままで。


(………もしかしたら、違うんじゃないかな)


俺は彼女の姿を少し離れて眺めながら、

そう考えていた。


猫耳の付いた黒のパーカーに、

ルームウェアの様な短パンに、厚底のサンダル。


異世界感ゼロやないか。


そして何よりも、

俺が違和感を抱いたのは彼女の髪の色だ。


青緑……、エメラルドグリーン?

あの有名なボカロの髪の色。


俺が最後に二月二日ことはを見たのが、

いつだったのかは、もう思い出せないし、

彼女と会話をした事も無い、

それでもあまりにも印象が違うのだが、

俺は、

彼女の事を、名前以外、何も知らない。


俺が声を掛けても、良いものか悩んでいると、

カップのスイーツを熱心に品定めしていた筈の彼女が、

ようやく俺の存在に気づき、

じーっと、こちらの様子を伺ってきた。


「…………えっと、二月二日か……?」


「誰?」


「な……、夏目だけど?」


「ナツメくん?君が?」


「展開というか、流れというか、

どう考えても、そうだろ……?」


「すまない。眼鏡を忘れてね。殆ど見えてないんだ」


二月二日は目を細めて俺の事を見ていた。

片手に抱えた商品が、

バサバサと雪崩の様に床に散らばって行った。


「しまった」


「カゴ使えよ……」


「ああ、ゴメン。ありがとう拾ってくれて」


声と、話し方から、

印象の違う見た目は置いとくとして、

間違い無く、

この女は、二月二日ことはに間違い無い。


「こんなに食うの?」


「一日じゃ食べ切れないよ。

残ったら、明日食べるんだ」


「あの……、二月二日なんだよな?」


「そうだよ?ここで会おうとさっき言っただろう?」


「そ……、そうなんだけど……。

お前って、そんな感じだったっけ?」


「ん?部屋着なんだけど、何か変かな?」


「い……いや、髪の毛とか?」


「ああ。

良い色だろう? 

バイト先で勧められた美容室でやってもらったんだ」


「バイトしてんの……?」


「そりゃするさ」


「へ……へえ~……、な……、何のバイト?」


「カフェ」


「随分、派手な色でもオッケーなんだな」


「僕が働いているのは、メイドカフェだから。

それより、お会計をしても良いかな?」


「メ!?」


「それから、こっちと、こっちのデザート、

どっちが良いかな?」


「こ……、こっち……?」


「うーん。迷うけど、じゃあそうしようかな」


「あ……、あのさ」


「とりあえず、僕の家に行こう。

それから、ゆっくり話そう」


「え……?え……?」


「それと」


「な……、何?」


「悪いんだけど、お金。

少し貸してもらえないかな?

財布も忘れてしまった」


彼女は、俺の選んだデザートを手に取り、

躊躇う事無く、スタスタと真っ直ぐとレジに向かい、

俺の方を振り返ると、


“早く来い”


と言わんばかりに手招きをした。


猫耳の付いた、彼女のパーカーには、

(しっぽ)も付いてる事に、

俺はその時に気づいた。


◆◆◆

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