異世界篇 1 『可能性について。』
本日投稿分、2話目です!
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「え!? なになになにーーー!?
アイツ何処!? 消えたん!?」
「さっきまで、そこに居たッスよね!?」
「どうかの?この辺りで何か反応はあるかの?」
「ちょっとぉ、わかんないかもぉ」
「……彼の魔力が微弱過ぎて。
その辺の小動物とかと区別がつかない……」
「これって、まさかリクさんが、
また転移をしたって事でしょうか?」
「うーん。リクは本当に突然、
この世界に来たと言っていたから、
信じがたいけど、その可能性もあるのかな」
「そうは云うても、転移なんて代物、
魔法以外の方法で、そう簡単に出来るもんでもなかろ?
転移に相当する様な、他の魔力なんて感じんかったがの」
「異世界特有の、
こっちの世界には無い理や法則があるのかな。
ヤエファの言う通り、魔法や装置無しで、
転移をする事なんて、わたし達には想像が出来ないね」
「大丈夫なんスかねー……。ていうか!
うわ!! ビックリした!!」
ロロは突然大きな声をあげた。
ミンシュが、
いつの間にか自分の腕に巻き付く様にして、
隣に居たからだ。
「ロロたむーーー♪
さっきのロロぺー、
めーーーっっっちゃカッコ良かったーー♪
ロロちょがーー、歌うとこ見て、ミンシュ、
ほんとにキュンキュンヤバかったーーー。
可愛くてカッコ良いとか、マジ最強ーー♪」
「名前を統一する概念は無いんスね……」
「こりゃ、ミンシュ。
あんたも姿が見えん思うたが、何処へ居ったんじゃ」
「げ。
ヤエちゃんーーー。ごめんなさいですーー。
ミンシュ、
ゾンビとかアンデッドNGじゃないですかーー?」
「知らん。わっちだって、別に好きじゃないけ」
「あーーーん。怒んないでくださいーーー」
「逆に、あの状況で何処に隠れてたんだヨ」
「そーだし。ミンシュずるいし。知らんけど」
「レイフォンもメイもごめんーーー♪」
「軽いんだヨ!」
「ま。
そりゃ良えわ。
とにかく、リクちゃんが何処へ行ったんかを、
調べにゃならんの。
クアイちゃんが来とるなら、
ガコゼも易々と逃げられんじゃろ」
「でも、魔力が感知出来ねーーーんなら、
探すの無理じゃね?」
「仕方無かろ」
「もう帰って来れないかな」
「ん?」
「リク。此処にはもう、戻って来れないかな?」
「あっちこっちに、行き来が出来るものなのかは、
わっちには、わからんが。
突然、リクちゃんがおらんくったんじゃからの、
出来るものだと考えた方が、建設的じゃの」
「建設的」
「そうじゃ。
大体、女神の思召で、
よその世界から来とる時点で、
わっちらの考えの及ぶところでも無かろ?
簡単に諦める方が野暮じゃ」
「そうかな」
「そうじゃ。ほいじゃけ、
そげ哀しそうな顔をしんさんな。
疼いてしまうでの。
それとも、誘っとるんかの」
「違う」
「初いヤツじゃの」
◆◆
ガコゼはクアイの率いる兵士達に取り押さえられ、
魔力を封じ込める拘束具に依って、
既に魔法を使えなくさせられていた。
「よ。ガコゼ。久しぶりーー」
「ユンタも居ったんかい!!
イカれ女だけかと思うとったのに、
お前まで、ワイを殺そうっちゅうんかい!!」
「ダッセ」
「おまけに、えらいゾロゾロ連れて来やがって!!
俺の殭尸、皆おじゃんにしくさりやがった!!
どないしてくれんねん!!」
「殭尸じゃねーーだろ。ロウウェンだ」
「あのアホンダラ!!
折角、死んだ後にも有効活用したろ思うたのに、
使えんやっちゃでホンマ!!」
「おちょくって、
どうにかなる状況でも無いと思うがの?」
「おしまいなんは、お前らや!!
ワイは聖域教会の特使やぞ!?
こないな真似して、
教会と喧嘩する覚悟はあるんやろな!?」
「教会がお前を守るならの。
ほじゃけど、
ロウ兄の居らん様になったお前を、
教会は本当に必要とするかの?」
「じゃかあしい!!
ロウウェンが居らんようなったかて、
ワイは一人で軍隊を造れるんやぞ!?
死の恐怖を感じん、殭尸の軍隊や!!」
「とりあえず、都へ護送します。
国王直々に、取り調べに立ち会うとの事です」
「クアイ君。あのさーー、その前に、
コイツ一発殴ったらマズいかなーー?」
「ユンタさん……。お気持ちは察しますが……」
「腹立つーーー!!」
「ユンタ!! お前も、ワイと同類やぞ!!
戦争終わってから、人間に巧いこと取り入って、
伸う伸うとして生きとった分、
お前の方が性質悪いかも知れへんな!!」
「……んだとーーー?」
「ロウウェンを嵌めて死なせたワイを、
殺しとうて仕方あらへんのに、
見逃し続けたんは何でやろな!?
平和惚けした生活から、
抜け出すんが怖かったんやろが!?」
───『“黙れ”』
ガコゼの唇は、
縫い付けたられた様に固く閉じられた。
「不愉快な男だろうなとは思っていたけど、
ここまでとは」
「んーーーッッ!! んん!!? んーーー!?」
「うるさい。
君に訊きたい事がある。
クアイおじさん。良いかな?」
「勿論さ」
「ありがと。
ガコゼ。七年前に、ネイジンで行方不明になった、
コトハと云う女の人を知ってる?
わたしに、嘘は通用しないから、
そのつもりで返事をしてくれ。
分かったら、右手をあげろ」
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読んでくれた方、ありがとうございました!
第3章は、
2つの物語が、平行して進んで行きます
“イセカイ篇”と“異世界篇”、
イセカイ篇は、元の世界に戻ってしまったリクの視点から、
異世界篇は、リクが消えた世界での、
スイ達の行方を描いて行きます!
明日からも、投稿続けますので、
よろしくお願いしますー




