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みいりのいい仕事
「 キヘイジは、おマチさんに、『みいりのいい仕事がはいった』としか言わねえで、でかけたそうだ。 十日ほどで帰る、ってきいてたおマチさんは、十日すぎてもなんのたよりもねえんで、まず、世話になってる『棟梁』をたずねてみたら、いつもどおりキヘイジから『彫り』の仕事で、しばらくやすみがほしい、ってねがいがでてた」
キヘイジの腕をかっている大工の棟梁は、『彫り』の仕事があれば、そっちを優先しろと言ってくれるような人のいい大工だ。
「棟梁の紹介じゃねえのかい?」
普段は棟梁の紹介しかうけていないはずだ。