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ソッチ でも


「 だって、きんだぜ? そりゃあ、元締めの顔のひろさはわかってるから、野暮なことはきかねえさ。 だがよ、その金をつかえるようにする《テヅマ》とおなじ《スジ》なんじゃねえのかい? だったら教えてくれよ。 《元締め》には、迷惑かけたくねえが、このままじゃ、マチさんの腹の子があぶねえかもしれねえんだ。 せめて、キヘイさんがどこにいるのかがわかりゃあ、すこしは気もおさまるだろうし、安心できるって、大家もいってるんだ」




「 まあ、・・・そう思うのはわかるが・・・。 おれがさっき言った『めんどうなスジ』は、そのへんでつかまる『スジ』のもんじゃあなくて・・・、まあ、ヒコさんなら、ソッチ でもいいのか・・・」


 なにやら、腕をくみうなるような息をひくくはきだすと、ほいさ、と勢いよく立ち上がって、部屋のすみの箪笥から、紙と筆をとしだした。



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