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発端
何処の世界にも、影響を受け易い人と言うのは居る。
俺達が、産まれてから言葉を覚えるのが、両親の模倣である様に、それが必ずしも悪い事だとは言わない。
言わない、けど。
「ショウ君!ショウ君!」
何事にも、限度と言うものがある。
分別の付く大人であれば、尚更。
「小説、書きたい!」
「唐突ですねぇ」
仕事の休みが重なった日の朝、リビングで。
ルームシェア相手の、セツさんが、又、思い付きで物を言い出す。
慣れっ子だが、一応、事情を訊いてみる。
「何で、又?」
「皆が書いてるの見てたら、楽しそうでさ!
俺も、書いてみたい!」
俺達は、漫画やら、アニメやら、
日々、何かしらの物語に触れているから、
こんな事を言い出す日も来るだろう、とは思っていた。
彼自身、実は、本好きで、そこそこの読書量があるのである。
それで、何でこんなに漢字が読めないのか、と正直、思うが。