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チグハグの始まり

「私と貴方は政略的な意味合いで婚約しただけであって、私の心まで手に入れたなどと思わないでいただきたいわ!」


「…分かった」


声高らかに宣言したのは彼との婚約に対しての不満


…なのだけれど、私、シルビア・リリージアは彼のことが好きで好きでたまらない

なぜか、彼を目の前にすると彼を拒絶するような発現しか出てこないのだ








思い出しても頭が痛くなる、ルークとの初めて顔を合わせた日

初めましてであんなことをいう女なんて、自分が男だったとしても願い下げである


「もうルークに会いたくないわ…」


思わず声に出てしまうが、間違いなく心からの本音である


「お嬢様、明日が入学式でございます。ルーク様への拗らせについてはもういくところまでいってしまっておりますのでご準備をお願いいたします。」

「なんでそんなこと言うのよ!」


この失礼な物言いの侍女は私付きのアンナ

私の乳母の娘で、幼少期から共に過ごした私の心許せる友人のような存在


そんな長い付き合いのアンナはもちろん私とルークとのことも嫌というほど知っている


「お嬢様が月に一度のルーク様とのお茶会を無断で欠席したり、一緒に居合わせたガーデンパーティーでルーク様のことを避けに避けまくって、それでも婚約解消になっていないのですから、明日からの学生生活も問題ないかと」


私は幼少の頃に決められた婚約者がいる

ルーク・マドラージュ公爵子息だ


初めて会った時、こんなに素敵な男の子がいるのかと思った

初恋である


それなのに、私は初対面から今の今まで自分の気持ちとは真逆の態度と言動しかできていない

社交の中では仲の悪さは筋金入りと噂されるほど


顔を合わせ話をするとなると、酷い言葉しか出てこないため可能な限り彼とは接してきていない

だが、幼少期から変わらず私は彼が好きで、彼以上の人はいないと思っている


明日から入学する学園には一つ年上のルークも通っている

学年が違うため会うことは少ないかもしれないが、入学を機に態度を改めようと、彼が入学した一年前から心に決めていたのだ


…いたのだが


「無理無理無理無理!!!絶対に無理!!!人の目が多い学園で無視したり、避け続けたり、挙句話しても暴言だなんて、周りになんて言われるか!!!」

「お嬢様、入学後はルーク様との関係改善に尽力するのではなかったのですか」

「いざ入学ってなったらできる気が全くしない!!!!」


大好きなルークに嫌われたくない

どうしてかわからないけど真逆の態度しか取れない

素直になりたいのに…


嘆きながらもどうにか明日からの学園生活がうまくいくよう、天に祈ることしかできなかった





もうどうにでもなれ!と令嬢らしからぬ投げやりな気持ちで迎えた入学当日


ルークに会いたくない、でも制服姿はみたい、いや会いたくない…


側から見たらなかなかに様子のおかしいシルビアなのだが、本人は至って真面目である


「シルビア…シルビアってば」

「あ…カレン…」


同級生であり、昔からの友人のカレン・ノーブル伯爵令嬢

シルビアの拗らせに拗らせた恋心を知る、数少ない人物である


「シルビア…初日からそんな様子でやっていけるの…?」


穏やかで優しいと評判の彼女だが、拗らせた友人に対しては非常に毒舌だ


「ううぅ…どうにかしないととは思ってる…」

「どうにかって…まず会いたいのか会いたくないのかぐらいはっきりしないと」


溜め息をつきながらカレンはいう


成り立つことが不可能な、完全なる矛盾を抱えていることはシルビア本人も分かってはいるのだ

わかっているのだが、そう簡単に結論を出せるわけがない

なんてったって拗らせ歴約10年である


「だって…制服姿だよ?絶対かっこいいに決まってるじゃん…」

「見れたところで好感度がより下がれば、貴女が見たくてたまらない花婿衣装のルーク様は見れないわよ〜」

「絶対会いに行きません、向こうの視界に入る場所には一歩たりとも近づきません」


そもそも顔を見れない・話せない・近づけないの三重苦の時点で結婚なんてできっこないのだが、シルビアは全く気づいていない

カレンもそれをあえていうことはない

なんやかんや拗れてはいるが、一途にルークを好いているシルビアを応援しているのだ

それに、大好きな友人が悲しむところなんて見たくない


(私もこの状況をどうにかしなきゃな…)


今も必死に悩む友人を見ながら気持ちを新たにするカレンなのであった

拙い文ですが、気長にお付き合い頂けますと幸いです。

よろしくお願いします!

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