9話 破格のセンエース。
9話 破格のセンエース。
暗殺部隊クダラの隊長『エキドナ』は、
自分たちの目の前に立ちふさがった騎士に対し、
「……ノコ様のナイトか。私たちの目標はノコ様だけ。死にたくないならどけ」
そう言い捨てた。
エキドナは妖しげな雰囲気の美女。
『闇のバラ』と呼ばれている冷徹な暗殺者。
普通なら、彼女にニラみをきかされた場合、震えあがって縮こまることしかできない。
――そんな彼女に、センは、堂々とした態度で言う。
「ノコ・ドローグを殺したからったら、まずは俺を殺せ」
「……その忠義は見事だが、ただのナイトに、私たちを止める術はない」
そう言い捨ててから、
エキドナは、センに向かって。同時に8本の毒ナイフを投げつけた。
一発でもカスれば即死するという凶悪な毒ナイフ。
そんな投擲を、
センは、
「相変わらず、いい腕だ。毒ナイフを投げさせたら、お前の右に出る者はいないな」
すべて、両手の指の間に挟んで受け止めた。
受け止めると同時に、魔法で毒を消していく。
その様子を見たエキドナは、
目を丸くして、
「……な、なんだ……どういうことだ……ナイトの中に、『私のナイフを受け止めることができる者がいる』など聞いていないぞ……」
「その認識は正しい」
10000年前のセンでは、もちろん、こんなこと、出来なかった。
世界最高峰の暗殺部隊クダラの隊長エキドナ。
彼女の暗殺術は、まぎれもなく世界一。
エキドナは、本物の一流。
だから、動揺を引きずることなく、
「想定外の強敵! ミッションに支障をきたす不穏分子! 全力で排除する! 何名かの死を前提として動け!」
10名の配下に命令してから、影に溶けていくエキドナ。
『影に忍び込む魔法』は見慣れているので、
センは、わずかも焦ることなく、
「どいつもこいつも、本当にいい動きだ。惚れ惚れする」
そう言いつつ、
『四方八方から襲い掛かってくる暗殺者たちの攻撃』を、
あざやかに回避して、
「呪縛ランク20」
相手の動きを止める魔法を使って、一人一人、丁寧に捕縛していく。
エキドナの配下10名を捕縛するのにかかった時間は、ほんの数秒。
(ら、ランク20だとぉ?! ただのナイトに、なぜ、そこまで高位の魔法がつかえる?! あいつは、いったい、何者だ?!)
影に潜んでいたエキドナは、
センの『異常すぎる高性能さ』におののく。
そのスキをセンは見逃さない。
「闇縫ランク23」
「うぐっ!!」
影の中で捕縛されたエキドナ。
身動き一つとれなくなったところを、
「よいしょ……と」
センに引きずり出された。
(か、体が……まったく動かない……口を開くことさえできない……い、いったい、どれだけの魔力を込めたら、こんなことが出来るんだ……信じられない……)
魔力のケタが違うセンを前にして、
さすがのエキドナも冷静さを保つのが難しくなってきた。
センのステータスは、とにかくズバ抜けている。
この世界において、強さの値は『存在値(レベルを底値とした総合評価)』という項目で扱われるのだが、その数値において、センは『1000』で、エキドナは『390』。
バルディ王子は、世界全体を見渡しても最高峰に位置する天才で、
存在値は『500』。
世界最強格でも500が精々。
センの『1000』は文字通りケタが違うのである。
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