8話 暗殺部隊の襲撃。
8話 暗殺部隊の襲撃。
センの話を聞いたノコは、心の中で、
(美貌と家柄が釣り合うかどうかが基準点……だから、自分はリストに入れていない……と。センは、昔から、自己評価が低いところがあるのよねぇ……あたし、あなたの顔、かなり好きなんだけど……それに、それほどまでの力を得た今のあなたなら、世界を征服して皇帝になることも楽勝なんじゃ……)
タメ息交じりに、心の中でそうつぶやく。
彼女からすれば、この状況で『セン以外を選ぶ』などありえないのだが、センにとっては『そうでない』というのが無性に腹立ただしい。
(あたしのことを想ってくれているのは分かる。けど、ここまでしてくれたのであれば、『俺のものになれ』と強引にさらっていくのが普通じゃない? なんで、冷静に、他の男をみつくろってんの? 意味が分からない……)
『ノコには最高の男と幸せになってほしい』というのがセンの本音。
ノコの幸せが第一であり、自分の想いは二の次。
(本当は『あたしと結婚したい』と思っているくせに、『自分では役者が不足しているからダメだ』と、本気で思っているから、辞退しているんでしょうね……あいかわらず、バカな人……昔から、ずっとそう)
……と、ノコは『センの気持ち』を推測した。
ちなみに、それも事実である。
だが、センが、自分を『ノコの旦那候補』から外している『一番の理由』は容姿や家柄じゃない。
実は、センは、
(……ノコから奪い取った呪いで、俺は数日以内に死ぬ。死ぬことが決まっている俺と一緒にさせるわけにはいかない。ノコを未亡人にさせてたまるか)
『国宝の妖剣』の力は、本当にすさまじく、
今のセンの力を持ってしても、リスクなく、完全に呪いを解くことは不可能だった。
――あの時、センは、ノコの額にキスをしたが、その時に、彼女の『呪い』をムリヤリ、自分の体に移したのである。
この『呪い』は間違いなくセンを殺す。
助かる術はない。
10000年間もの間、必死に探し続けて、その上で導き出した結論なので、間違いはない。
(俺が呪いに殺されて死ぬまで、まだ猶予はある……その間に、ノコが幸せになれる下地を完成させる。まずは、ノコの身の安全……彼女を守る部隊が必要不可欠)
――と、考えていた時だった。
「……お、きたか……」
センは、顔をあげて、そうつぶやく。
そんなセンに、ノコが、
「え、なに?」
少しだけ不安そうな顔をした彼女に、
センは、『絶対的な余裕』を張り付けた表情で、
「バルディが送り込んできた暗殺部隊が、俺の結界内に忍び込んできた。家の周りを包囲している」
「……バルディの暗殺部隊って、まさか、『クダラ』?」
「そのようだ」
そう言いながら、
センは、首をまわしてストレッチをする。
「行くの? 大丈夫? クダラは、世界最高クラスの暗殺者集団よ」
「これまでの10000年の中で、クダラとは、何度かやりあっている。全部で、7~80回ぐらいは全滅させたかな」
本当は、そんなに闘ってはいない。
今のは、ノコを安心させるための嘘。
センは、ノコのためなら、どんな嘘でもつくと決めている。
「何も心配しなくていい。今の俺なら、君を完璧に守れる」
そう言い残してから、
センは瞬間移動で、この場をあとにした。
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