5話 時をかける修羅。
5話 時をかける修羅。
リブレイ王国の近隣にある『森』に瞬間移動したセンは、
「整地ランク25」
高位の魔法を使って、
周囲の木々を伐採し、石を排除して、地面を固めると、
さらに、
「建築ランク25」
『家をつくる魔法』を使って、
一瞬で、なかなかの豪邸をたてる。
周囲に、『モンスターを警戒する結界』も張った上で、
家の中に入り、気絶しているノコをベッドの上に寝かせると、
『気絶から復活させる魔法』と、
『精神を安定させる魔法』を使って、
優しく、彼女を起こす。
――10000年間の間に、センは『多くの魔法』を獲得した。
魔法だけではなく、剣の腕も磨きぬいてきた。
すべてはノコを守るため。
彼女のナイトとして、センは完璧に仕上がっている。
「う……うーん……」
目を覚ましたノコは、
一瞬、状況が分からず、困惑した顔をしたが、
センから『精神を安定させる魔法』をかけられていたので、
「……こ、これは……どういう状況……? あたし……死んだはずじゃ……」
落ち着いて、状況確認することができた。
センは、そこから、丁寧に説明していく。
「まずは、すべて話します。あの瞬間、俺の身に何が起きたのか――」
ノコが殺されたことで、センは、
『ノコを生き返らせること』を心に誓った。
それから先の人生は地獄だった。
怒りと悲しみで心が何度もつぶれそうになった。
しかし、センは諦めずに、ノコを助けるために頑張った。
老いて体がボロボロになっても、
センは必死に頑張った。
自身が老いたことで、むしろ、『ノコに対する気持ち』はもっと強くなった。
『こんなにも苦しいのに……あなたは、病気の人々を救うために、誰よりも頑張っていたのですね……』
――『ノコを失った悲しみ』は風化することなく、
むしろ、時間が経つごとに強くなっていった。
『絶対に取り戻す。君を取り戻すためなら……俺はなんでもする』
『鋼の誓い』を胸に刻んで、
へし折れるほど、奥歯をかみしめながら、
センは、最後の最後まで、力と英知を求め続けた。
そうして、117歳になった。
死ぬ間際まで、センは、ノコを生き返らせる方法を探していた。
だが、100年そこらでは無理だった。
『死者の蘇生』は、恐ろしく高度な秘術。
『世界最高クラスの膨大な魔力』が必要最低限。
それだけの力を得ようと思うと、
『最低でも、1000年は鍛錬を積む必要がある……』
結論に至ったセンは、『時間を確保するための方法』を探した。
その結果、たどり着いたのが『過去の自分に、記憶と経験値を送る』という秘術。
本来、『タイムリープの秘術』は『死者の蘇生』以上に難易度の高い秘術だが、なぜか、センには、『タイムリープ』に対する強い適正があった。
『何度でもやりなおす。……絶対に君をとりもどす』
そうしてセンは多くの時間を積み上げていった。
苦しかった。
本当に辛い日々だった。
――けれど、センは、やりぬいた。
すべては、ノコを救うため。
愛する彼女を取り戻すため、
センは、時をかける修羅となった。
読んでいただき、ありがとうございます!
「面白かった」「続きが気になる」と少しでも思っていただけたなら、
下にある☆☆☆☆☆で、
「面白い!」なら★★★★★、
「まあまあ」なら★★★★☆、
という形で、評価していただけますと、モチベーションが上がります!
ブックマークも押していただけると、本当にうれしいです!
なにとぞ、よろしくお願いいたします!!