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49話 グリドを終わらせる。


 49話 グリドを終わらせる。


(……誰か助けて……この状況から、私を救い出して……おねがい、おねがい、おねがい……っ)


 奥歯をギリギリとかみしめながら、『救いのヒーロー』の登場を待ちわびるトワネ。


 そんなトワネの心情を察したのか、

 ココが、トワネに、冷たい目を向けて、


「助けをもとめている顔ね。今のあんたの気持ち、手に取るようにわかる。『あんたに人生をめちゃくちゃにされてから』は、ずっと、その気持ちを抱えて生きてきたから」


 吐き捨てるように、そう言ってから、

 より、いっそう冷たい声で、


「――誰も、あんたなんか助けない。自分の国の兵隊にズタボロにされて死ね」


 怒りをぶちまけるココ。

 そんな彼女の頭をなでながら、センが、


「ココ。お前の怒りは分かる。『ゲスな欲望』だけで大事な人を殺された気持ち。俺も同じ思いを抱えて長い時間を生きてきたから。……けど、その女には使い道がある。『貴族の力』は貴重なんだ。トワネの背後に魔法を撃ったりは絶対にするな。これは、正式な命令だ。背くのであれば、俺がお前を殺す」


「……絶望の底に沈んでいた私を救ってくれた御方の命令に背くことなどありえません。私は、永遠に、あなた様に付き従わせていただきます」


 そういって、花のような笑顔を見せるココ。


「さっき言っただろう。お前が忠誠を誓う相手はノコ・ドローグだ。俺は、ノコの剣。それを忘れるな」


「……はい、セン様」


 丁寧に返事をしているが、しかし、ココは、『会ったこともない相手』に従う気はさらさらなかった。


 『すべてを失っているココ』にとって、

 『絶望の底で、ただ一人手を差し伸べてくれたセン』だけが、唯一の支えであり希望。


 ココは『センが死ぬときこそ自分の死に時である』とまで考えている。


(セン様……あなただけが、私の光……)


 これは、『依存』である。

 もともと恋愛体質でもあるココは、

 センに依存することで『生きる希望』を見出した。


 これは、あまりよろしくない傾向で、はやめに処理しておいた方がいい案件なのだが、『女性の感情』に対してうといセンは、その辺の機微に気づかない。


「さぁて、それじゃあ、そろそろ行くか。――グリド王国の兵力はざっと5万。『4』VS『5万』の闘い。誰もが驚きを隠せないであろう、至高のジャイアントキリングをきめて、この国の腐った歴史を終わらせる」



 ★



「――兄上は、間違いなく殺されました。腹部を貫かれて、即死です」


 『望遠』の魔法を使い『バッパーの死』をまのあたりにした『グリドの第二王子パラミ』が、ボソっとそう言うと、その場にいる王族は、全員、静まり返った。


 ここは、グリドの王城内。

 センの宣戦布告を受けた直後、玉座の間にて、緊急会議が開かれた。


「間者の報告によると、兄上を殺したのは、ノコ・ドローグのナイト『センエース』。リブレイから送られた資料によると、存在値200程度の、どこにでもいる平均的なナイトとのこと。その程度の雑魚が兄上を殺せるとは思えません」



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