41話 クズを侮蔑するセンエース。
41話 クズを侮蔑するセンエース。
あっさりと降参した『アブライの構成員』たち。
そんな彼らを見て、グリド王国の侯爵令嬢『トワネ』は、
「簡単に降参するんじゃないわよ。使えない連中ね」
さげすむように、そういうと、
非常に優雅な態度で、センとブロールをにらみつけ、
「ブロールが強いのは知っていたけれど……そっちのナイト……えっと、センだっけ? あなたも、なかなか強いじゃない」
などと、上から目線でそう言ってくる。
彼女も、貴族なので『それなりの存在値』を持つのだが、
『ただ生まれつき数値が高い』というだけで『戦った経験』は非常に少ない。
『魔法学校』に通っていた時に、『教官との魔法戦訓練』や『モンスター相手の実践』を行ったことはあるが、しょせんは『お稽古』の領域を出ていなかった。
そのため、『ブロールとセンの間にある、圧倒的な差』など、わずかも理解できていない。
先ほどの『センとブロールの戦闘』を見た上での、トワネの感想は、
『まだ、どっちも本気を出していないから分からないけど、ブロールの発言から鑑みるに、センの方がちょっと強い感じ?』
という程度のもの。
だから、トワネは、センに対する不遜な態度を崩さず、
「ゴミを相手にした『おしゃべり』は苦痛だけれど……それだけ強いのであれば、まあ、私としゃべれる権利ぐらいはあるわね。……それで? あなたの目的は? もしかして、私のナイトになりたくて志願しにきたのかしら? ノコ・ドローグのナイトなんてしていても未来はないものね。あなたなら、まあ、雇ってあげなくもないわよ。ルックスは微妙だけれど、ブロールとやりあえるだけの力があるのなら、まあ、及第点以上だし」
などと、脳内お花畑なことを口にする彼女に、
センは、ゴミを見下す目で、
「ぴーちくぱーちく、うるせぇよ、クソ女。なんでノコのナイトであるこの俺が、お前みたいなカスのナイトに志願しなくちゃいけないんだ。笑わせるな」
つい、イラ立ちから、口調が荒くなる。
センは、トワネのような女が本当に嫌いだった。
虫唾が走るレベル。
「……随分と生意気ね。バッパー王子の婚約者であるこの私に、そんな態度をとって許されると思っているの?」
トワネの声が三段階ほど冷たくなった。
センの態度が、よほどお気に召さなかったらしい。
そこらのナイトであれば、トワネの貴族令嬢的な冷たい威圧感に震えることしか出来ないだろうが、センの場合は違う。
むしろ、より強い態度で、彼女に接する。
「俺は、誰かに許してほしいなんて、一ミリも思っちゃいねぇよ。誰の顔色をうかがうこともなく、ワガママに、風雅に、『自分の意地』を通すため、俺は、多くを積んできた」
そう言いながら、
センは、ゆっくりと、トワネの元に近づいていく。
そんなセンに、トワネは、余裕の表情を崩さず、
「言わなくても分かっていると思うけれど、私に手をだしたら、王子が黙っていないわよ。私は、王子に愛されているから。私たち、ものすごく相思相愛なの。かたぁい絆で結ばれた運命のベストカップルなのよ」
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