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3話 老いたバカ王子。


 3話 老いたバカ王子。


 ジリジリと燃えるようなオーラを放つセンに、

 バルディの生存本能が刺激される。


「き、貴様……なんだっ……っ! 単なる平民出のナイトじゃないのか!」


 剣を構えるが、その手はブルブルと震えている。

 本能が理解している。

 目の前にいるバケモノと、自分の間にある、決定的な差。


「バルディ。お前には、死よりも苦しい罰をあたえる。苦しんで、苦しんで、苦しんで……そして、死ね」


 そう言うと、

 センは、魔法を使って、

 バルディから『若さ』を奪い取った。

 バルディの輝くような金髪が、どんどん抜け落ちて、シミとシワだらけの老人になる。


 センは、バルディから奪い取った『若さ』を、そのまま、ノコに流し込む。

 彼女の『真っ白だった髪』が、みるみるうちに、

 元の『神々しい金髪』へと戻っていく。


「なっ、なんだぁあ?! なんだ、これぇええ! なぜ、私の手が、こんなシワクチャにぃいいい!! い、痛い! 体が痛い! 腰も膝も! め、目もかすむ! げほっ……ごほっ……あ……苦しい……なんだ……なんだ、これは……」


「それが年を取るってことだ。俺も何度も経験した。辛いだろ? 苦しいだろ? 老人連中は、みんな言っているよ。としには勝てない。老いるほど怖いものはないって。俺も同意見だ」


 そう言いながら、センは、

 ノコを、優しく、お姫様だっこすると、


「普通に老いていっても苦しかった。日に日に体が弱っていく恐怖は、筆舌ひつぜつに尽くしがたい。……なのに、ノコは、その苦しさを背負って、俺やお前を救ってくれたんだ。そんな彼女に、お前は何をした?」


 バルディは、センの話など聞いていない。

 その場で、うずくまり、


「い、痛ぃ……背中が痛い……呼吸が……まともに出来ない……なんで……こんなに力が入らない……関節が……全部、痛い……いたいぃ……」


 ――骨がもろくなって、神経伝達が不器用になり、

 ――肉は枯れてカサカサになり、臓器の全てが悲鳴をあげる。

 ――『近い将来おとずれる死』に対して、真っ向からおびえながら、

 ――『痛みに苦しむだけの日々』を過ごさなければいけない。


 それが、老化の恐怖。

 年を取るということの、本当の怖さ。


「お前には、長寿の魔法をかけた。よほどのことがない限り死ねない魔法も。自殺が出来ない呪いもかけた。――老いたノコをバカにしたお前を、俺は絶対に許さない。同じ目にあって、とことん苦しめ」


 そう言ってから、

 センは、瞬間移動の魔法を使って、ノコと共に、その場から消え去った。


 残されたバルディは、


「痛ぃ……苦しいぃ……うぅう……体が……全然、うごかない……なんだ、これは……どうして、こんなにも苦しいっ! なぜ、私がこんな目にあわなければいけない! ぐほっ! がはっ!」


 と、ずっと、その場で絶望感に浸っていた。


「ぃ、痛いぃい……だ、誰か! ……助けてくれ!!」


 助けを求めるが、誰もバルディを助けることはできない。

 『10000年のながき』を積んで『神の世の力を得たセン』の『呪い』を解ける者など、セン以外には存在しない。



「誰か! ……せめて、この腰の痛みだけでも……誰か……っ!」




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