表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/85

20話 『バカ王子』地獄サイド(3)。


 20話 『バカ王子』地獄サイド(3)。



「マルファイ……もう一度……言ってくれないか?」



 バルディに言われて、マルファイは、

 額に汗を浮かべながら、


「はい、殿下……ノコ・ドローグの討伐に送り込んだ魔導師団は、敵側に寝返り、ガルム隊長は見せしめに殺されました」


「……」


 バルディは、腰の痛みに顔の表情をこわばらせつつ、


「……サロメを……呼べ」


 妻を呼ぶように伝える。


 マルファイは、一度頭を下げて部屋を出た。

 その十数秒後に、

 サロメが、バルディの自室に入ってきて、


「あなた、お体の具合はどうですか?」


 優しい口調と笑顔でそう声をかけるサロメ。


 いつもなら、ここで、彼女に対する愛をささやくバルディだが、


「……貴様と一緒になってから……何一つ、いいことがない……」


 憎しみのこもった声で、そうつぶやく。

 その声には、殺気と怒気がこもっていたので、

 サロメは、何も言えず、息をのむばかり。


「……ノコと婚約している時は、すべてが順調だった……何一つ、問題のない人生だった……だが、お前と一緒になって以降……ずっと、苦しいばかりじゃないかぁあああああああ!! ごほっ! おほっ! おぇっ!」


 大声を出したら、セキこんで、むせてしまう。

 喉と肺の機能が低下している証拠。


「疫病神めぇ!! 貴様なんかと一緒になるべきではなかった! ずっと、ずっと、ずっと、何一ついいことがない!」


 理不尽な怒りをぶつけられ、

 サロメは、心の中で、


(……ついに、精神が壊れてきた……このまま放置していたら、いつか、逆恨みで刺されかねない……バレることを恐れて、手をこまねいていたけど……もう、後先考えず、抹殺することに集中した方がいいわね……今度は、一人じゃなく、暗殺者を複数雇って……)


 と、真剣に、バルディの殺し方を考えていると、


「おい、貴様、その目はなんだ! 殺気を感じたぞ、サロメぇえ!」


 つい、思考に集中しすぎて、

 表情の作りこみを怠ってしまった。


 『貴族としてのたしなみ』があるので、『あからさまな表情』をしていたわけではないが、『悪意に対して、変に敏感になっている今のバルディ』のセンサーに引っかかる程度の殺気はこぼしてしまった。


「ご、ごかいです。殿下の体を心配していただけで、殺気など――」


 どうにか、『バルディの思い違い』で済ませようと、

 サロメは、バルディの体にしなだれかかり、

 彼の背中を優しくさする。


 いつもなら、これで落ち着くのだが、

 気がたっている今のバルディには逆効果で、


「触るなぁあああああ!!」


 ――老化したとはいえ、

 バルディの存在値は500という、とんでもない数値。

 一般人からすれば化け物のように強い。


 普段は、ちゃんとコントロールできている力が、

 この瞬間は、うまく制御できず、


「きゃああああっっ!!」


 つい、本気で吹っ飛ばしてしまった。

 吹っ飛んだサロメは、壁に頭を強打して、

 そのまま、ピクリとも動かなくなった。


 それを見たバルディは、


「あ、いや……ちが……殺す気は……」


 体を起こし、のそのそと、重たい体をひきずって、

 サロメの元に近づいていく。


 彼女の体に触れてみた。

 息をしていないし、脈もない。

 割れた頭からは血が流れていた。


 読んでいただき、ありがとうございます!

 「面白かった」「続きが気になる」と少しでも思っていただけたなら、

 下にある☆☆☆☆☆で、

 「面白い!」なら★★★★★、

 「まあまあ」なら★★★★☆、

 という形で、評価していただけますと、モチベーションが上がります!

 ブックマークも押していただけると、本当にうれしいです!

 なにとぞ、よろしくお願いいたします!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ