表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/85

2話 10000年の記憶。


 2話 10000年の記憶。



「ぁ……ぁあ……ぁあああああ……っ」


 彼女を、強く抱きしめるセン。


 そんなセンに、


「お前、よく、そんな醜い老婆にさわれるな……気持ちが悪い。さっさと、その死体を運び出せ」


 その時、

 センの頭の中で、

 何かが、ぶっ壊れた。


「……っ……」


 ギリリっと、へし折れるほど強く奥歯をかみしめて、

 殺気のこもった目でバルディをにらみつける。


「……なんだ、その目は。まさか、私に文句でもあるのか? 言っておくが、王子である私に剣を向けたら、ただではすまないぞ」


 どうでもいい、とセンは思った。

 このクズを殺してノコを取り戻せるなら、100回でも殺してやりたいと思った。


 しかし、このクズを殺してもノコは帰ってこない。

 だから、センは、


「神様……どうか……ノコ様を……助けて……」


 両手をあわせて、天に祈りをささげる。


「俺の命を奉げます……だから、どうか……」


「はっ。だから、国宝の妖剣で切りつけたと言っただろう。貴様の命一つ程度ではどうにもならん。国の宝をナメるなよ」


 ――と、その時だった。

 センの頭の中に、






「……っ!!」






 未来の記憶が流れ込んでくる。

 ちょうど100年後、『117歳の時に死んだ直後』の記憶。


 センの頭に流れ込んできたのは、その100年分だけではない。

 その100倍。


 センは『この日から、117歳で死ぬまでの100年間』を、

 ――100回くりかえしていた。


 すべては、ノコを救うため。

 彼女を完璧に救うため、

 センは、10000年間、ひたすら力を求め続けた。

 たゆまぬ努力を続けた結果、

 センは、ついに、彼女を『完璧に救える力』を得た。




「……ノコ……」




 センは、彼女の頬に手を当てて、


「君ほど美しい命を……俺は、他に知らない。ながき時間を過ごしてきたが……心の美しさでは、間違いなく、君がナンバーワンだ」


 そう言いながら、

 『反魂はんこん神聖式しんせいしき』をくみたてる。


 彼女は間違いなく死んでいるが、

 『死』など、しょせんは、状態異常の一つに過ぎない。







「――死んでも守ると決めたあの日から……この覚悟は、わずかも揺らぐ事なく、『弱い俺』を支え続けてくれた。いつしか気付けば、『君への恋心』は、より強い輝きとなって、『暗闇に迷う俺』を導いてくれていた。いつだって、『君を愛している』という俺の『想い』だけが『俺の全て』だった。その事実が……俺は、他の何よりも誇らしい」







 センの魔力とオーラが躍動する。

 信じられないほど高次の輝き。

 命の華がゆる。


「……死ぬほど愛してる。そんな君を決して死なせはしない」



 そう言いながら、彼女の額に優しく口づけをした。

 すると、




「……かはっ……」




 息を取り戻した彼女を見て、

 バルディが目を丸くする。


「なに?! どういうことだ?! そのババアは、今、間違いなく死んだはず!」


 そこで、センはバルディをにらみつけ、




「……バルディ。覚悟しろよ。俺はお前を……絶対に、許さない」




 読んでいただき、ありがとうございます!

 「クソ王子が没落していくさまが見たい!」「二人はちゃんと幸せになれるのか!」と少しでも思っていただけたなら、

 下にある☆☆☆☆☆で、

 「高評価!」なら★★★★★、

 「まあまあ」なら★★★★☆、

 という形で、評価していただけますと、モチベーションが上がります!

 ブックマークも押していただけると、本当にうれしいです!

 なにとぞ、よろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「君ほど美しい命を……俺は、他に知らない。永き時間を過ごしてきたが……心の美しさでは、間違いなく、君がナンバーワンだ」  そう言いながら、  『反魂の神聖式』をくみたてる。  彼女は間違いな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ