17話 エグゾギア。
17話 エグゾギア。
「俺のことは、『ノコが持っている剣』だと認識しろ」
そう言いながら、
センは、ゆったりと武を構えた。
静かな構えだった。
それを見たヒキーレは、
(……この威圧感は、いったい……)
『リブレイの王族』は、みな、強大な力を持っている。
この世界において、貴族位を持っている者は、みな、例外なく高い能力を持つ。
その中でも最高の実力者がリブレイ王族。
そんなリブレイの歴史の中でも、最高格の才能を持つのがバルディ。
魔導師団は、そんなバルディと、何度か実践訓練をしたことがある。
王子は強かった。
性格はクソだが、彼は本当に強いのだ。
(バルディ殿下が……ゴミに思えるほどの覇気……この男は、いったいなんだ……なぜ、ただのナイトが、これほどまでのオーラを放てる……っ)
困惑していると、
センが、アイテムボックスから、指輪を取り出して、
それを、右手に装着する。
「……エグゾギア、起動」
そう宣言すると、指輪がカっと光を放った。
その光は、センの体を包み込む。
1秒後、センは、強大な力を放つパワードスーツに包まれていた。
それを見て、ヒキーレは、
(……高位の『機動魔法』?! そ、そんな『高度な魔法が込められたアイテム』を切り札に持っていたのか……っ)
機動魔法と呼ばれている『マシンゴーレムを身に纏うことができる魔法』を指輪に込めて使用する、センのオリジナルマジックアイテム、通称『エグゾギア』。
『一兵器』として、これ以上ない性能を持つアイテム。
――センは、
「行くぞ、まばたきするな」
そう言って、空間を駆け抜ける。
とんでもない速度で、ヒキーレとの距離を詰めると、
彼の目の前で、地面に向かって、思いっきり拳をたたきつけた。
ドゴォオオオオンッッ!!
と、爆発的な音が世界に響き渡った。
ヒキーレが、反射的に視線を下に下げると、
まるで、隕石でも落ちたかのように、地面がえぐりとられていた。
その一連の動きを、まばたきすることなく見届けたヒキーレは、
「ぁ……ぁあ……」
ヘナヘナと、力なく、その場にへたりこむ。
腰をぬかした彼に、センは言う。
「俺がその気になれば、ここにいる全員……2秒以内に全員殺せる」
「……」
「選べ。これはお前に与える最後の選択肢だ。ノコか、リブレイか……お前はどっちを取る?」
ヒキーレは、
「き……君が……すごいというのはよくわかった……信じられない力を持っている……それは、もう、疑いようがない」
そう言いながら、どうにか、立ち上がり、
「……一つだけ、約束してほしい……私にもしものことがあった時は……妻を守ってほしい……それを約束してくれるのであれば……君を選ばせてもらう……」
そこで、センは、エグゾギアを解除して、
指輪を外すと、
「自分の女は、自分で守れ。俺は、ノコを守るので手一杯だ」
そう言いながら、ヒキーレに向かって指輪を投げ渡す。
指輪を受け獲ったヒキーレは、困惑した顔で、
「な、なぜ、これほどの宝を私に……」
「これから『俺がつくる国』の『防衛の要』がソレだから」
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