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13話 魔導師団。


 13話 魔導師団。


 ノコの元に差し向けられたのは、

 リブレイ王国が誇る精鋭『魔導師団』。

 12人の高位魔法使いで形成された最高火力部隊。


 そんな『魔導師団』の隊長である『ガルム』は、

 目の前に立ちふさがるナイトに対し、


「ノコ・ドローグのナイトだな。何をしにきた?」


「交渉」


「はっ……交渉だと? ふざけたことをぬかすな。貴様にできることは、這いつくばって慈悲を請うことだけだ。もっとも、どれだけ命乞いをしたところで、結果は変わらんがなぁ!」


 ガルムは、高い能力を持つ者特有の『おごり』にまみれた男。

 『リブレイの王族』に匹敵する、ゆがんだ自己愛と選民意識のかたまり。


「我々は、殿下から、『貴様らに対しては何をしてもいい』という許しを得ている。おろかにも殿下を裏切った『エキドナの部隊』と『殿下に呪いをかけたノコ・ドローグ』は、徹底的に犯しつくした上で殺す」


 気持ちよく歌い上げているガルムに対し、

 センは、感情の薄い声で、たんたんと、


「……交渉内容を伝える。ノコの配下になると誓え。それ以外の道を選択するのであれば、絶望を知ってもらう」


「あぁ?! この私に対し、ナイト風情が、偉そうな口をきくな! まさか、エキドナの部隊がついているから大丈夫だとでも思っているのか? バカめ! 確かに、あの女の『暗殺者としての腕前』は最高峰だが、正面からの殺し合いで、我々に勝てるわけがない」


「だろうな。お前らは優れた部隊だ。力だけは認めている。だから、交渉してやっているんだ」



「二度言わすなぁああ! この私にぃいい! 貴様のような下等な虫けらが、ナメた口をたたくなぁああああ!! 不快だぁあああ! 死ねぇえ、極炎砲ごくえんほうランク16!!!」



 すさまじい威力の火炎放射。

 リブレイ王国が誇る魔導師団隊長という地位は伊達ではない。


 けれど、


「……本当に、魔法の腕前だけは一流だな。人格も伴っていればよかったんだが……まあ、エキドナのようなタイプは少ないよな……」


 まったくダメージを負っていないセンの姿を見て、

 魔導師団隊長のガルムは、


(っっ!! ……わ、私の極炎砲を受けて無傷?! ぁ、ありえん……いったい、どうやって防いだ……?)


 間違いなく直撃したはず。

 魔力もシッカリと込めた。

 ――なのに、どうして?

 頭の中が疑問符で一杯になる。


(も……もしかして、生まれつき、炎に対する耐性が高いのか? いや、それにしても……む、無傷はありえない……)


 理解できない状況に動揺している。

 そんな彼に、

 センは、変わらない態度で、たんたんと、


「――『人形化』の魔法をかけて、完全に支配することも不可能ではないが、それをすると、どうしても、弱くなってしまう。ガルム。お前はカスだが、才能だけは本物だ。だから、最後に、もう一度だけチャンスをやる。ノコの配下になると誓え。そうすれば『まともに生きていける権利』と『正当な報酬』をくれてやる」


「ほ、炎に対する耐性が高いだけのナイトが、調子にのるな! 迅雷撃じんらいげきランク16!!」




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