類が友を呼んだのだと思う
『アリス様、アリス様』
うむうむ。
『ご主人様』
うむうむ。
右からすりすり、左からもすりすり。ふわふわいっぱいコレクション。
我は今、エディンの冒険者ギルドにて、魔獣に囲まれている。囲まれるというか、猫のまたたび状態?
『って、現実逃避も大概にしなさいヨ!だから威嚇も程々にしろってアタシは言ったのヨーーー!!』
「あ。リィ、丁度いいところに」
外で操られていた従魔達を所有権の持ち主の所へ誘導していたリィが戻ってきた。これで冒険者ギルドにいるのは一番最初に暴走した魔獣達だけ。
『ご主人、甘やかしちゃダメって言っておいたワよネ?』
「う、うむ」
リィから妙な圧力を感じる。怒らないでくれ我が相棒。
『なのに、その腕の中に居るのは何かしラ?』
「!ど、道理で!何だか暖かいはずだ!」
『ご主人サマ〜!』
いつの間にか、抱き抱えるレベルのでかいヒヨコを我は両腕で抱いていた。驚いた!
『アタシだって抱っこあんまりされないのにィーー!』
「そこかー!?」
リィのご機嫌がナナメなので、ヒヨコを下ろすがそれを見計らって大きな猫と大きな狐が撫でてと両側からくっついて来た。やめて!離れて!相棒が嫉妬しちゃう!撫でるけど!
『…ご主人』
『まあまあ、落ち着いてくださいまし。リィーリィーさん。……お気持ちは分かりますけれど』
先程まで料理長とギルマス達と共に従魔の首輪の回収及び破壊をしていたルシアがリィの隣に立って我を見ている。我を、というか我にすりすりしている魔獣達を。
ど、どうしたのかな、ルシア。お前の魔法属性に水はない筈なのに何で背景に吹雪が見えるのだろうなッ!?
『ええ、ええ。どうせ私にはアリス様を誘惑できるだけのふわふわした毛並みはございませんわよ…!折角深潭の君好みの形になれたと思ったのにぃいい……!』
何故かルシアが急に泣き崩れた。え。こわい。
『る、ルシア!アンタこそ落ち着きナサイ!アンタ中々イイ女ヨ!このアタシがいうんだから間違い無いワ!』
『うぅ…っ、くすん…。リィーリィーさん…!』
『ルシア…!』
………何だかよく分からんが、2人の間で何やら絆が生まれたようだ。…よかったね?
我が魔獣を制圧した後、速やかに従魔は所有者の元へと戻り、魔獣も下位冒険者で対応可能なものについては逃された。全ての面倒は見てられんからな。そして我らは今、Aランク相当と思われる魔獣達と対峙している。魔獣達は皆我には逆らう事がない為、大人しく"おすわり"しているが。
「それで?この魔獣の山をどうするおつもりですか」
料理長からの質問は当然と言えるな。生息地まで帰れと我が言えば忠実に戻るだろうが、また同じように支配されて暴走されても困る。…となれば、従魔にするしかあるまい。
「…エンシェントライガーとエレメントゾーロについては群れですが?」
「探す家はデカくなるばかりだな」
既に誰かに従っている従魔を返し、Cランク冒険者でも対応可能な魔獣達を逃し、結果残ったのが、ネコとキツネだった。
………キツネ。
もしやと思って多少威圧の上、妖術か何かで魔獣の数を水増しして無かったかと問い詰めると、キツネの群れが消えた。
『どういう事、コレ』
『見ての通り、狐に化かされていたという事ですわね』
1匹残った青い狐を隠すくらいの煙が出た。姿が見えなくなったのは一瞬で、煙中から出て来たのは、吊り目気味の美人。ルシアと似た系統の反物を着ている。人間の形をとっているが、頭には三角の耳。尾は無い。
ルシアはおっとりめだからキャラ被らなくて良かった。と、思う我だったが、
『主様、どうか末長く、妾を可愛がってくださいませ?』
と、我の腹に抱きついて上目遣いで甘えるというか擦り寄るこの感じからすると、ルシアと同族な気がする。
『私のアリス様にべたべたしないでくださいます!?そもそも服装からして被ってますのよ!私の真似をしないでくださいませ!』
ベリっと音がしそうな勢いでルシアが狐美人を我から引き剥がした。そして始まったルシアの威嚇と狐の応戦。実害無いので放っておくことにしよう。
(最終的に、狐がクラシカルなメイド服を着る事で手打ちになったらしい。…何で?)
「エンシェントライガーは元々5体しかいないし問題無いな」
と、ネコの方を確認したら、そちらではリィがアタシの下に付かないならご主人について行くことなんて絶対認めない!と息巻いていた。周囲から見ると多分犬(注、フェンリル)と猫(注、エンシェントライガー)がお互いガウガウ吠えあっているようにしか見えない。
かわいいなぁ。
「…まあ、猫が5匹程度と思えれば、問題ありませんが……」
「多分、問題ない。リィが話をつけてくれるから」
案の定、ライガーはリィの下につく事にしたらしい。そして身体を小さくして、狐がいつの間にか用意していたバスケットに入り込んだ。……かわいい。手乗りサイズ…。
『ご主人?』『アリス様?』
伸ばしかけた手だったが、リィとルシアに呼ばれて止まる。笑顔だが、目が笑っていない。我が何をしたというのだ!可愛いものにデレデレして何が悪い!
『『…………』』
「……すみませんでした」
流石の我も、永久凍土を感じさせる目には耐えられなかった。
読了ありがとうございます。




