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昇格を頼んだ覚えはない




我、無事にエディンに到着せり!


門番達が我を見て驚き、街の人たちも久しく我を見て驚き、一部喜び、子供たちやお年寄りの方や手伝っていた店関連の皆にはお帰りと言われてちやほやされた。うむうむ。


それにしても、なにやら我を見る目が前と違うような…?


『アリス様が神々しいまでに可愛らしいからですわね〜』


前回までと違う所。リィが元の大きさで隣にいること。ルシア(外見は色々ギリギリな美女)が一緒にいること。

服を新調したこと。


……ルシアに抱きつかれてるから男衆からの妬み嫉みの目が加わっているのか。羨ましいだろうこのむっつりどもめ!


「…いや、それはさて置き、本当に珍妙なものを見るような目が若干減っているような…?」

『ご主人様を、そんな目で見る輩がいるのですか…!?』


うむ。どうやら我、冒険者にはどうにも見えないらしくてな。


「でも構わん。だって冒険者1可愛い自信あるからな」

『大きく出たワね、ご主人。そんな自信家なところも嫌いじゃ無いケド』


…ちなみにこんなやり取りを、我らは冒険者ギルドの受付付近の椅子とテーブルが設置されあたりでやっていた。ギルマスに呼び出されたのでな。しかし来たというのに呼び出した本人が遅刻しているのだ。ちょっと殴ってもバチ当たらんよな?


「いや、"悪食"マリム様の方が可愛いだろ」

「良い勝負だとおもうけどなぁ」

「俺アリスさん派」


こそこそ話しているつもりだろうが聞こえているぞ。我の聴力舐めんな。ちょっと表出ろ。あと1番最後に発言したやつ。中々見る目あるぞ。飴玉ひとつくらいならやろう。


ところで、"悪食"マリムとは誰だ?


「二つ名持ちSランク冒険者だ。喧嘩売るなよ?」

「ギルマス。遅い。我は喧嘩など売らん。買ってるだけだ。ところで待たせられた分殴っていいか?」

「駄目に決まってんだろ。どこの独裁者だ」


元は魔王という名の独裁者だったぞ。と試しに言ってみたものの、冗談だと思われたらしくそれより、と話を続けられた。解せぬ。


「…そんな不満そうな顔するな。遅れたのは悪かったよ。娘から連絡が入ったんだ」

「む。そうか。家族からの連絡なら致し方あるまい。そういう事なら日を改めてもよかったぞ」


ギルマスには娘がいて、週末にはギルドの手伝いをしてくれているそうなのだが、最近王都に長期で滞在しているらしく、なかなか会えていないらしいのだ。そんな親子の貴重なコミュニケーションを邪魔するような無粋な我ではない。


「問題ねえよ。ありがとな。それより、お前の昇格が決定した」


ん?それ、こんな皆間で言うべき内容か?


「Aランク通り越してSランク昇格決定だとよ」


ちょっと待て。我、今Cランクだったのでは?

ルーエン達は間違いなく、Aランク昇格って言ってたぞ?どこをどう間違えてそこに飛んだ?そして昇格決定してるのだ?


我の混乱を他所に、周囲で分かりやすく聞き耳立てていた冒険者やら依頼人やら受付嬢達に動揺が走る。


「飛び級でSってやべーだろ!?」

「じゃあ回収場に持ってきてた魔物って本当に自分で狩って来てたってことか!!?」

「俺たち、よく殺されずにすんだよな……」


など、驚愕と安堵でざわめきが広がっていく。


「おっと、悪いな。この街で史上2人目の快挙だったもんだからな。

とりあえず、おめでとう。いつかはやると思ってたが、まさかこんなに早いとは思ってみなかったよ。

続きは部屋で話そうぜ」


そういう割には口滑らした罪悪感が無い。つまりは、わざと此処で言うことで周囲へ牽制したのだろう。死にたく無いなら我に喧嘩売るんじゃねえぞ、と。ランクという物差しで最上位に位置する相手に、易々と手を出す輩など、普通はいないから。


考えがわかる以上文句という文句はないのだが…同時に思う。偶に闇討ちしに来る能力把握力の弱い冒険者達は、我の良いガス抜きになっていたのに。と。


…文句じゃないからな。残念に思ってるだけだからな。


(まあ、後々わかる事だが、我の心配を他所にその後暫くはそういった輩が出現する。願ったり叶ったりである。)





「Bランク以上に昇格しろって言ったのは俺だけどな、急すぎるだろ、嬢ちゃん…」


ギルマスの部屋に入って椅子に座ったギルマスは、堂々と驚きもなく淡々と皆の前で淡々と我に昇格を伝えた時とは打って変わって、頭を抱えて言った。


「いやぁ。それ程でも」


えへっ、と。笑いながら応えると、溜息までつかれた。何故。どう見ても可愛いだろうに。


「そもそも我、自分からランク上げてくださいなんて一言も言っとらんし。周りが勝手に驚いて勝手に昇格昇格言って上げてるだけだし」

「…そうだな、そうなんだけどな、言い方に気をつけろ。俺だから言わんが、王都のお偉方がそれ聞いたらブチ切れかねないからな?」


しーらんぺっ。


「……」

「……」

「……まあ、いいか。確かにお前の場合は、俺ら管理側がコイツ下位にしといたらヤベエ、つー判断で昇格させてるしな」


まじか。


「…でもまあ、俺らギルマスでも出来るのは陳情までで、実際Aランク以上に認定するか決めるのは王都のお偉方達だ。本来は試験代わりに何件か王都ギルドが選抜した依頼をこなすんだが、それが無いっても気になる。お前、エディンから王都に着くまでに何した?」


話すのはやぶさかでも無いのだが、我が何かやらかしたと断定しているのが腹立つので、忘れたことにして良いだろうか。


読了ありがとうございます。

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