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綺麗にできたから、見せびらかしたかった




表を素顔で歩けない身体にしてやった。


「あーかいもみじのは〜♪

おててのようでかわいーな〜」


具体的には、全員のほっぺに平手をお見舞いして、真っ赤な葉っぱを付けてやった。超くっきり。


「凄いだろう?ポーションだろうが回復魔法だろうが数日は消えないのだ!」

『…ソレ呪いって言うんじゃないノ?』

「…はっはっは!」


違うもん。料理長が教えてくれた変色魔法だもん。そりゃあ、見た目だけではなく中身にも拘る我は、叩かれた時の痛みが継続するようにちょっと手は加えたが。


そしてそんな男共からフードを引っぺがして素顔を晒させた状態で、手を縛って堂々と、昼夜問わず歩き続け、目と鼻の先だった王都の関所まで連行した。

人間の最短移動記録を軽く更新してやった。


…ああ、子供達については、1番近くの街の病院に連れて行き、冒険者ギルドに寄って預けたぞ。流石に子供達に強いる所業ではない。


『ハァ。長かったワ。コイツら連れてなければ2日もかからなかったノニ。いっそ途中の森に括り付けてくれば良かったかしラ?』


まあまあ、とリィを宥める。

何故誘拐犯と怪しげな儀式をしていた輩達をそのままギルドに預けなかったのかって?


そんな事したら、折角付けた赤モミジを披露できんだろう。綺麗にできたのに勿体ない。


かつて料理長の教えてくれた犯罪防止の勧告書に面白い絵が描かれていてな。容疑は痴漢だったのだが、被害者女性から見事な平手打ちをくらい、三日三晩頬が手形に腫れてしまった男という面白い絵があったのだ。


「アイツらの顔を見れば、まあ、その勧告書を思い浮かべるだろうなぁ?」


実際したことは痴漢ではなく魔王降臨の儀式だが。…思い出しても腹が立つ。我、ロリコンでもショタコンでも無いやい!我に降臨して欲しけりゃ美味しい食べ物か美女連れてこい!


まったく。てっきりロリショタスキーの"奴"を喚び出そうとしてると思って焦ったのに。


『…カオがアレじゃなくても、背中の張り紙だけで十分堪えたでしょうケドね……』


ほっぺのもみじだけでは不十分だと思った我からの気配りにより、黒マント達の背中には漏れなく【ロリとショタを誘拐しました】や、【ロリとショタを集めて怪しいことしてました】という内容の張り紙を貼っておいてあげた。我、親切!!


通ってきた街の中にはコイツらの顔見知りが何人か居たようで、奴らの顔見て驚き、引き回す…訳では無いが手綱を握って練り歩いている我に文句又は質問を投げかけようと近くまで寄ってきて、その張り紙を見て知らん顔して去って行った。

王都に近付くほど増えるのだが、誰1人として結局我に声をかけることも、助けようとするものもなかった。人望も人徳も無いのだな、コイツら。


可哀想なことだ。思わず同情してしまう。我、優しいからな。

まあ、それ狙ってやったけど!



「とりあえず過ぎたことはどうでもよかろう!早速露店から制覇するぞ!」

『ハァ。本当に、食べ物が好きネェ…』

「うむ。食えるときに食えるものを食っておかねば。いつ毒盛られたりするか判ったものではないからな」


毒の心配のない美味しいものがどれだけありがたい物なのか、人はもっと自覚すべきだ。その点で料理長にも感謝。


「呆れなくても良いでは無いか。一仕事したし、何より今回はちゃんと関所通れたし!」

『アァ、ソウネ…。いつもはギルドカード見せても冒険者ギルドに確認取られて、それでも半信半疑で街に入れてもらえるモノネ…』


こういう、きちんと出入を管理してるような街だと、ギルドカードを出す必要があるのだが、何故かランクが上がるたびに疑われる率が高くなってきている今日この頃。何故だ。ギルドカードとは、身分証では無いのか。仕事しろよ。ギルドカード。


因みに、後日帰る際にこの話をして関所の衛兵を誉めてみたところ、


「いやー、俺らもお嬢ちゃんがあの不審者達を連れてなかったら疑ってたね!不審者の中に最近騎士相手に大立ち回りした上無傷で逃げた危ない奴もいたし、何より事前に王都のギルドからアリスっていう黒髪紅目の冒険者にはまったく見えない冒険者の女の子が来たら入れてくれって言われてたからな!」


と、言われた。……殴っていい?



…そんな事を言われるとは思ってもいない我は、王都に着き、漸く荷物(怪しいマント達)から解放され、意気揚々とアイスを探した。

凄いぞ!串焼きがこんなにも種類が豊富だとは!あ。照り焼き発見。

串焼き、果実を中に閉じ込めた氷、ふわふわした片手で食べられる不思議な焼き菓子と、料理長に作ってもらった事がない料理も多数あった。


…だというのに、アイスが無かった…残念。家を出る前に料理長に作って貰えば良かった。レシピ集には載ってなかったため、作れん。困ったものだな。

はぁ。どこかにアイスを作れる料理人はいないものか。


我は本日15本目の串焼きを齧りながら露店を離れ飲食店の並ぶ道を歩いていた。というか、遠くから我の鼻腔を刺激する、美味しい匂いがする為、大通りを外れて歩いてきた。


大通りから外れ、脇の細道の更に細道に、ひっそりとその看板は下がっていた。隠れ家的な様相のその店。

メニュー表の隣に飾られた画板には、本日のお勧めとあり、料理が描かれていた。我はそれを目にして迷わずその戸を開いた。


【本日のお勧め。シェフの気まぐれスイーツ。

氷果実のドリンク・濃厚ミルのアイス】


そして我は、天国を見た。

読了ありがとうございます。

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