覗き見をされつつも心からの言葉を送った
おはようございます。
本日の更新は5時、9時、12時、15時、18時、21時です。
「さてゾドムよ。1ついいだろうか」
「……何だ」
「あのモヒカン達のモヒカン削り取って奴らの墓の前に供えようと思う」
「……それは一体何の報告だ?」
これからあのモヒカン達追いかけて縛って吊るして大型魔物の目の前にさらしていいか?の意訳なのだが、理解できていないあたり、どうやらゾドムはやはり脳筋のようだ。
「コイツが連中の話に出てきた化け物だろうな。胴体がデカいし長過ぎる……頭だけ持ってアイツらに追いつくぞ。縛って一晩くらい森の深部に吊るしてやれば反省するだろ」
ギルドには危険行動者として報告してから回収させればいいだろうと言っているあたり、割と怒っているようだ。それでも息の根を止めようとしないあたりが優しいな。……懐に入れた人物には甘いってこういう意味か!え?縛って一晩森に吊るすのは下手すれば魔物にぱっくりいかれるから最悪死ぬだろって?
何を言う。腹に縄かけてある程度高く吊るせば、余程の鳥型の魔物以外は足ぐらいにしか届かんだろ。人間両足食われたくらいじゃギリ死なん。料理長が言ってたもん。足を掻っ攫われたら一先ず血を止めて掻っ攫っていった魔物ぶっ潰してから足をくっつけて縫って回復させれば元通りって。
アレだろ?我がうっかりやっちゃった時に、蘇生させるようなものだろう?
「我はアレらよりもこの樹の方が気になるのだが?」
「レア素材かもしれねえなら切って持ち帰ればいいだろ」
それもそうだな。しかし斬り落とすのはな…。…我の収納なら問題ないし、木の根の先まで入れてしまえばいいだけか。
木だけでなくその周辺の土含め全体を収納する。ついでにヘビもな。
ゾドムが驚きの声を上げた。いいぞいいぞ。もっと慄け!そして我を敬え!!
「たとえお前が神だとしても俺はお前を敬わない」
「そこまで真面目に断言されると、逆に許せるのだが」
なぜだろうな?
そんなこんなでリィも起きたから来た道を戻り、あの別れ道まで来た。あのモヒカン共はまだ奥で宝石探ししてるらしい。何故わかるって…。だって我、影に仕込ませてるもん。ついでに先ほどからあのモヒカン共がぶつくさ言ってることも盗み聞いている。折角だからゾドムにも聞かせてやってる。
"「クソ、見つからねえなぁ。休憩だ休憩!…アイツら、今頃ヘビの腹に収まってるかな」"
"「だろうなー。何せ、Bランクの冒険者が逃げ出した化け物だぜ?見ただろ?あのデカさ!
あのちっこい女の子も、ガルボデラグの旦那に喧嘩売らなきゃなぁ〜」"
モヒカン達が言っていた、Bランクパーティーも逃げ出したという化け物とはあの蛇の事のようだな。
その後暫く下世話な話を聞き流し、話に憤慨して今すぐ奴らの喉笛噛みちぎりに行きそうなリィを宥めながら待つ。
…なるほど?化け物を叩き起こし、我を囮にして置き去りにして、先程の別れ道まで戻って別の道を進みごろごろ転がっている宝石を拾って、我が蛇に負けて食われたのを確認して逃げよう、と?
もしゾドムに助けられて、死なずに合流となったとしても、そんな死闘の後ではゾドムの体力も尽きる。我にとどめを刺してゾドム共々蛇の餌にして、ギルドへ戻り依頼達成の報酬を貰い、グトーからの任務をこなして金をもらい万々歳…と。ふむふむ。
うむ!紛う事なき外道の所業!ぎるてぃ!
「ちょっと頭と胴体お別れさせに行ってくる!」
『女の敵ヨ!二度と使えないように噛みちぎってやるワ!!』
「待て待て待て待て」
「うおっ、」『きゃんっ!』
おのれゾドムチョ!婦女子の頭の飾りとリィの尻尾を掴むとは何事か!飾りのリボンは取れやすいんだぞ!
「頭を鷲掴みにするとは何だ!アレか?!掌デカいぞアピールか!?」
『どこ触ってんのヨ!エッチ!!』
「もがくな吠えるな!あとそんなアピールの意図はない!」
手を離されたもののとりあえずこの場にいない奴よりこの場にいるやつの始末を優先したいので、動かずにリィと呼吸を合わせ、ドムチョが一瞬気を抜くのを待つ。…虎視眈々と。
……ドムチョは一瞬黙った。…何かに気を取られている…?
「あー…。俺が悪かった。お前らを止めようとした以外に他意は無え。とりあえず静かにアイツらが出て来るのをこの場で待つ。宝石が出てくればアイツらは嬉々としてここまで来るだろうからな。そこを殴って縛って連れ帰るぞ」
「え〜?我、未遂としてもやられそうになった事はやり返すべきと思うのだが。さっきまで出て来てた魔物いっぱい捕まえて奴らの前に放り込んじゃダメ?」
「却下。アイツらの処分はもう決まってる。下手に手を出したら、"バレる"からな」
誠意のない謝罪だろうがした事実に変わりはない。ドムチョがそんな事をするなんて!じゃあ地面にめり込むくらい額を擦り付けて我に頭を下げても同じだろ。やれや。…ああ、そう思うがそうじゃないな。…何故、謝った?
リィと顔を見合わせて再度ドムチョを確認。…ああ、ピアスか。迷宮に入るまではしていなかった。入った後洞窟型の迷宮の薄暗さに目が慣れるまでに装着したようだな。魔道具、…誰かがあのピアスについている魔石を通して、洞窟に入ってからのことを全て見ていると仮定して相違ないだろう。
恐らくギルマスか、エルサが一部始終を見ているのだろう。それはよかった。これで逃げる事は不可能だろう。
そしてよかった事はもう一つ。
……一応我も、奴らの会話を盗み聞きする際に何の変哲もないただの魔石を見せておいてよかった。我が単身いつでも、影を使って監視行動ができる事を隠せる。
恐らくこのドムチョもギルマス達も、我が奴らに一対の通信用魔石の片方を仕込んでおいたと推測するだろうから。
「…暴れ足りないなら、帰り道で湧いて出てる魔物とかは任せる。好きにしろ」
マジかよっしゃ。
「流れ弾当てるが気にしないでくれ!」
口が滑った。
ドムチョは引き攣った顔で後退った。
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